年収500万円でも不動産が買える!金融機関が重視するポイントと日常での注意点とは

「富裕層の投資法」とも思われがちな不動産投資。しかし創業以来2000戸以上のマンションを販売してきた株式会社エイマックス代表の天田浩平氏は、「不動産投資は年収500万円でも始められる」と話す。不動産投資に興味を持つ人が知っておくべき、金融機関が重視すべきポイントなどについて、天田氏が解説する。全3回中の3回目。
※本稿は天田浩平著『インフレ時代に始める 東京〈中古〉マンション投資の教科書』(ビジネス社)から抜粋・再構成したものです。
第1回:令和の「マンション投資」の新常識は?やっぱり買うべきは「東京23区」!
第2回:自己資金10万円から始める不動産投資……「金利上昇」は不動産投資家にとってチャンスでしかない
目次
年収500万円でも数千万円の借り入れが可能
中古マンション投資の大きな魅力の一つは、会社員や公務員の方が、安定した職業を武器に資産形成できる点にあります。金融機関から融資を受ける上で、その人が持つ「信用力」は、現金資産と同じくらい、あるいはそれ以上に重要になるからです。
この「信用力」を、金融機関は「属性」という言葉で評価します。属性とは、年齢、職業、勤務先、勤続年数、そして年収といった、個人の返済能力を判断するための総合的な指標です。そして、この属性さえクリアすれば、年収500万円の方でも、数千万円の融資を受けてオーナーになることが可能なのです。
具体的な融資の目安としては、以下の3点を覚えておくとよいでしょう。
- 年収500万円以上
- 勤続年数3年以上(ただし、近年は緩和傾向にある)
- 年齢25歳以上
これらが、多くの金融機関が設定している最低ラインです。もちろん、これはあくまで目安であり、勤務先の規模や安定性によって、条件は変わってきます。
金融機関が何よりも重視するのは、年収の絶対額よりも、「収入の安定性」です。その点において、毎月決まった給料が支払われる会社員や公務員は、収入が不安定になりがちな個人事業主や経営者に比べて、極めて高い評価を受けられるのです。
「勤続期間が短くてもOK」のケースが増えている
しかし近年、この状況にも変化が見られるようになりました。
これまで個人事業主や会社経営者に対する融資には消極的だった金融機関の中にも、働き方の多様化を背景として、受け入れるところが出てきたのです。
物件価格の2~3割程度の自己資金を用意するなどの条件は付きますが、会社員以外の方にも、不動産投資のチャンスが確実に広がってきています。
かつて、金融機関のローン審査において、「勤続年数」は極めて重要な指標でした。終身雇用が当たり前だった時代、一つの会社に長く勤めていることは、そのまま収入の安定性と社会的信用の証と見なされていたからです。
しかし、時代は大きく変わりました。転職がキャリアアップのための当然の選択肢となり、一つの会社で定年まで勤め上げるという価値観は、もはや過去のものとなりつつあります。こうした社会の変化に伴い、金融機関の審査基準も、より柔軟なものへと変化しています。
現在、多くの金融機関では、勤続年数が3年以上あれば、審査のテーブルに乗ることができます。さらに、より良い条件を求めて転職する、いわゆる「ステップアップ転職」の場合、勤続年数が1年未満、場合によっては半年程度であっても、融資が承認されるケースが増えてきています。
新卒2年目でも融資の承認が下りた理由
では、金融機関は勤続年数の代わりに、何を重視しているのかと言えば、答えは「勤務先の安定性」です。
具体的には、勤務先が上場企業であるか、資本金はいくらか、従業員数は何人か、業績は安定しているか、といった点が厳しくチェックされます。
個人の勤続年数が短くても、その人が将来にわたって安定した収入を得られる可能性が高い「優良企業」に勤めているのであれば、金融機関は喜んで融資を行います。実際、大手商社の新卒2年目の社員の方が、2回目の源泉徴収票が出たタイミングでローンを組めたという稀なケースもあります。
これは、不動産投資を考える上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。それは、「信用力の高いうちに、行動を起こすべきだ」ということです。
例えば、あなたが現在、誰もが知る大企業に勤めているとします。その大企業の「看板」は、低金利で多額の融資を引き出すことができる、非常に強力な武器となります。
もし将来、独立したり、スタートアップ企業に転職したりすることを考えているのであれば、その信用力が最大限に活かせる「今」、不動産投資を始めておくべきなのです。
実際に、私の会社の社員にも、前職のサラリーマン時代にマンションを購入しておいたおかげで、その後の独立・転職という人生の転機を、家賃収入に支えられて乗り越えた者がいます。
会社員の勤務先は、本人が思っている以上に、金融市場において価値のある「ブランド」です。そのブランド力を最大限に活用できるタイミングを逃さず、将来のための資産を築いておく。それもまた、賢明なライフプランニングの一つと言えるでしょう。
高年収でも融資を断られるケース
年収も高く、上場企業に勤め、勤続年数も十分。ローン審査に通る条件はすべて満たしているはずなのに、なぜか融資が承認されない──。このようなケースは、実は決してめずらしくありません。その原因の多くは、本人も気づかないうちに、個人の「信用情報」に傷がついてしまっていることにあります。
金融機関がローン審査を行う際、年収や勤務先といった「属性」と同時に、必ずチェックするのが、信用情報機関に記録されている金融取引履歴です。これには、クレジットカードの利用状況や支払履歴、カードローンやキャッシングの借入残高など、お金にまつわるあらゆる個人情報が含まれています。
そして、この信用情報に問題があると、どんなに属性の良い人であっても、融資を断られてしまうのです。
特に注意すべきは、以下の2点です。
・クレジットカードや携帯電話の分割払いの「支払い遅延」はないか?
「うっかり口座の残高が足りず、クレジットカードや車のローンなどの引き落としができなかった」といった経験を持つ人が、いるかもしれません。しかし、たとえ一度の遅延であっても、信用情報に「延滞」として記録されてしまいます。
これが繰り返されれば、金融機関はその人を「お金にルーズな人」「返済能力に疑問がある人」とみなし、融資をためらうようになります。携帯電話の分割払いの延滞なども見落としがちですが、これも信用情報に影響します。
・多額のキャッシングやカードローン残高はないか?
キャッシングやカードローンは、手軽にお金を借りられる便利なサービスですが、その利用は、金融機関から「手元にお金がなく、高金利でも借りなければならないほど、資金繰りに困っている人」というネガティブな評価を受けることにつながります。
以前、私のお客様で、年収1700万円という高所得者の方がいらっしゃいましたが、800万円ものキャッシング残高があったために、どこの金融機関の審査も通らなかった、ということがありました。年収の3分の1を超えるような借入残高がある場合、ローンを組むのは基本的に難しいと考えてください。
金融機関は、お客様の信用情報を把握しています。ローンを申し込む際に、これらの情報を隠して虚偽の申告をしたとしても、審査の段階で必ず発覚します。そして、虚偽申告が判明した時点で信頼を失い、二度とその金融機関から融資を受けられなくなる可能性すらあります。
マンション投資を検討しているのであれば、まずは自分の信用情報をクリーンに保つことが何よりも重要です。日々の支払い管理を徹底し、不要なキャッシングは利用しない。この当たり前の積み重ねこそが信用力を高めるのです。
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