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崩壊寸前の中国経済に専門家「実質GDP成長率は約5%なのに失業者が続出している」2025年、習近平が粛清を強化して軍幹部が大量追放された本当の理由

(c) AdobeStock

 日中関係の屋台骨が揺らいでいる。その背景には、中国経済の暗い将来がある。中国の政治経済に詳しいエコノミストの柯隆氏は「習近平政権こそが、中国の経済成長の妨げになっている」という。2026年、中国経済はどうなるのかーー。

 みんかぶプレミアム特集「2026年大予測」第1回。

目次

崩壊寸前の中国経済…実質GDP成長率は約5%なのに失業者が続出しているのはなぜか

 今、世界でもっともわかりにくい国といえば、おそらく中国である。中国政府が公表するマクロ経済統計をみると、中国経済は至って健全に成長しているようにみえる。たとえば、これまでの3年間の中国経済の実質成長率は2023年5.2%、24年5%に達し、おそらく25年も5%成長になるだろう。しかし、経済は5%成長しているのに、なぜ完全雇用が実現できず、若者の失業率は高止まりしているのだろうか。オーソドックスな経済理論では、説明できない。

 中国社会をみると、謎が多い。都市部で出稼ぎしている労働者は仕事に就くことができなくて、その一部は農村に戻っている。そのなかで、農家の収入はもっと減少しているはずである。にもかかわらず、習近平政権から発展途上国などグローバルサウスの国と地域への経済支援がほとんど減額していない。自国民の一部は苦しんでいるのに、なぜ助ける手を差し伸べないのだろうか。それに関する唯一の説明は民主主義の選挙が行われていない専制政治だから政府の経済政策は低所得層(弱者層)に傾けないということである。

習近平政権になってから、中国社会がパワーダウンした理由

 50代以上の中国人に「人生のなかでもっとも希望を持てたのはいつごろか」と聞くと、おそらく多くの人は1980年代と答えるだろう。実は、1980年代の中国経済はまだ離陸していなかった。では、なぜ多くの中国人は希望を持てたのだろうか。当時、改革・開放が始まったばかりだが、国が発展していく方向が少しみえてきた。しかも、言論の自由も少し出てきた。むろん、民主主義の国と比べることはできないが、その前の毛沢東統治の暗黒時代に比べれば、わずかな自由が付与されても、人々はかなりの幸せを感じ、希望を持てるようになった。

 習近平政権になってから、政治、経済と社会に対する統制が著しく強化されている。言論の自由が奪われた社会から活力が急速に失われている。現在の中国社会を考察すると、すべては政府によって決まるようになっている。中国社会はパワーダウンしている。

2025年、習近平が粛清を強化して軍幹部が大量追放された本当の理由

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この記事の著者
柯隆

柯隆(か・りゅう) 1963年中国・南京生まれ。88年来日、94年名古屋大学大学院、経済学修士号取得。長銀総研、富士通総研を経て、2008年東京財団政策研究所主席研究員に。中国政治、社会関連の著書多数。「『中国「強国復権」の条件』(慶応義塾大学出版会)が第13回樫山純三賞を受賞、近著は『ネオ・チャイナリスク研究』(2021年、慶応大学出版会)。日本と中国双方の政治、経済に精通したオピニオンに定評。

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