なぜ横山裕は「性加害をアテンドする役」を引き受けたのか…『街録ch』三谷三四郎が震撼した、旧ジャニーズの闇に肉薄する“劇薬”ドラマの正体
地上波からNetflix、さらにはAbema、U-NEXTまで――。コンテンツが乱立する今、人を真に熱狂させるのは「面白い」の先にある「ヤバい」番組だ。1000人以上の剥き出しの人生を記録し続けてきた『街録ch』ディレクター・三谷三四郎が、エッジの効いた一作を独自のバイアスで読み解く。
連載「今、ヤバい番組」第1回は、旧ジャニーズの闇をオマージュで描いた、問題作に迫る。

ABEMA公式ホームページより
目次
禁断の「旧ジャニーズ」オマージュと横山裕が演じる“最悪”な役どころ
第1回に僕が取り上げたいのは柴咲コウさんが主演のドラマ「スキャンダルイブ」。
年末年始 Netflixでは『イクサガミ』のような超大作アクションや、『ラヴ上等』のようなエッジの効いた恋リアがランキングを席巻していた。そんな中で、ABEMA制作の『スキャンダルイブ』はNetflixでも公開されており、公開時に何度か上位にランクインしてはいたものの、超ヒット作とは呼べない程度にとどまっていた。
そんな作品になぜ自分が惹かれているかというと、この企画に協力する芸能事務所やタレントがいるということと、「これをどんな気持ちで演者がOKしたのか?」また「芸能事務所が許可を出したのか?」と想像することに楽しみを覚えていたからだ。
設定は、大手芸能プロダクションマネージャーを独立し新プロダクション「Rafale」を立ち上げた柴咲コウ演じる井岡咲が、古巣の芸能事務所のNo.2(社長。父が会長)で創業者の娘・鈴木保奈美演じる児玉蓉子に徹底的に妨害されるという話。おそらくこれは、旧ジャニーズの藤島ジュリー氏(ジャニー氏の姪)とSMAPを育て上げたマネージャー飯島三智氏との確執をオマージュしているのだと推察される。
そして、そんな内容のドラマにこともあろうに、旧ジャニーズ事務所のタレントである横山裕が、かつて井岡(柴咲コウ)が勤めていた大手芸能事務所2代目社長・児玉(鈴木保奈美)の部下としてキャスティングされている。横山演じる明石隆之が登場する最も衝撃的だったシーンは、自身が担当する大物俳優の性加害を彼自らが「アテンド」するというものだった。
狂気のマッチポンプ…性加害を「アテンド」した末に
ドラマの中での性加害は「大物俳優による女優の卵や女性アイドルへの加害」という形で描かれている。おそらくジャニーズ騒動になぞるのであれば、創業者による男性アイドルへの加害となるはずだが、そこは制作側が配慮したのか。もしくは、当初はもっとジャニーズ騒動に寄せた設定だったが、キャスティングを進めていくうちに、変更されていったのか。もしくは、実際の被害者の方々の胸中を察し、そこは倫理的にはよろしくないという結論に至ったのか……。そんなことを考えながら見るのもこのドラマの楽しみ方の一つである。
さらに衝撃的なのは、その後の展開だ。マネージャーの明石(横山裕)は、性被害にあった女優が週刊誌に告発するも、その出版社に圧力をかけて告発をもみ消すことに奔走。さらに、その裏で並行して、新たな性加害の場を大物俳優にセッティングし続ける。この「消火と引火」を平然と繰り返す狂気のマッチポンプ。
上司からの恫喝から逃れるため、倫理観のリミッターを外し、大物俳優の暴走をアシストするマネージャーの姿は、芸能関係の仕事をしていない一般サラリーマンにも、共感できる部分が少なからずあるはずだ。普通の人が、普通の顔をして、ヤバいことをしているなんてことは、どんな会社でも起こり得ることを無機質に可もなく不可もない芝居で演じているのもまた乙である。