AI時代に「人間の価値」はどこに残る? けんすう氏が辿り着いた「始める力」と「問いを立てる力」の正体

AIの進化が止まらない。知的生産のあり方が問われ始めている中、インターネット黎明期から業界の最前線を走るけんすう氏は、「AIの衝撃は体感でネット黎明期の10倍くらい」とし、人間の聖域だった「思考」さえもコモディティ化するのではないかと語る。
本稿では、同氏が肌で感じる「思考のアウトソーシング」というパラダイムシフトの正体や、AI時代に生き残るための生存戦略、愛用する具体的なAIツールに至るまで、激変する世界を楽しみながら勝ち抜くための知見を語っていただいた。全5回の第4回。みんかぶプレミアム特集「AIで稼ぐ『シン・仕事術』」第14回。
目次
けんすう氏がプライベートで「めちゃめちゃ使う」AI活用法
――日常生活やプライベートでもAIは使われていますか?
もちろん、めちゃめちゃ使ってますね。
例えば掃除機が壊れてメーカーに送らなきゃいけない時も、全部プロセスを聞いて、どこにメールすればいいのかとか、メールの文面とかも教えてもらったりしました。
あとChatGPTだと「ショッピングモード」みたいなものがあるんですけど。例えば、電子ケトルが置いてある場所を写真に撮って、「ここにいい感じでドリップコーヒーのセットとかを収納したいんだけど、何を買った方がいい?」って聞くと、「これがいいっすよ」みたいなのが出てきて。それが信じられないぐらいフィットしていたんです。
「ここになんか置きたいな」みたいな時って、なんて検索したらいいのか分からないから、自分では探せなかったんですけどショッピングモードによってかなり解決するようになりました。
――AIでお買い物の仕方にも変化が。
変わりましたね。例えば、よく「これとこれを繋ぐケーブル、何を買えばいいのかよくわからん」みたいなことがあるじゃないですか。「なんとかモードがついてないとダメ」とか、「これをディスプレイに繋ぐ場合はUSBのこの規格じゃないとダメ」とか。
最近だとARグラスのケーブルを探していたんですけど、もうわからないので。だからChatGPTのブラウザ(Atlas)でそのARグラスのサイトに行って、画面について質問できる機能を使って、「これを繋げたいんですけど何を買えばいいですか」って聞いて、教えてもらったものを買いました。
今まではAmazonとかの文章を一生懸命読んだり、規格を調べて理解してたりしたんですが、その辺りは一才要らなくなったのが楽です。
AI時代、人間の価値はどこに残る? けんすう氏が辿り着いた「始める力」と「問いを立てる力」の正体
――次々とAIが人間の仕事を代替していく中で、人間の価値って結局どういうところに残っていくのでしょうか。
やっぱり1つは、圧倒的に「始める力」だと思っています。
チームみらいの安野さんとかもよくおっしゃっているんですけど、「こういうのを作りたいな」と思ったら、AIはすごいサポートをして進めてくれます。でも、AIが勝手に気を利かせて「先に作っておきました」というのは、今の所難しいんです。
なので、「こういうのを作りたいな」という欲望を人間が出さないとスタートしない。そこはすごく重要なポイントかなと思います。
あと、それに似たもので言うと「問いを立てる力」ですね。
何かを調査するときも「リーダーシップを分類するとしたらどのようなパターンがありますか」と聞けば分類はしてくれますが、「リーダーシップって、なんとなくカリスマ性がある人が引っ張ってくれるやつだよね」みたいに、自分の中で雑に完結してしまっていると、その問いが出てこない。
そういう風に、問いがしっかりしていないとAIを有効活用できない、というのはありますね。
――そういう「始める力」とか「問いを立てる力」というのは、どうやったら伸ばすことができるんでしょうか?
孫正義さんは「ドラえもんののび太みたいな人」がこれから優秀になるとおっしゃっていたらしいですが、ドラえもんに何でも泣きついて欲望を叶えようとする、みたいなタイプが有利というのはありそうです。
じゃあ、どこで身につくんだ……というと難しいですが、例えば編集者だったら「こんな記事があったらめっちゃ面白いのに」と考えることですよね。やっぱりそれは、ある程度やった経験がないと身につかないので、自分でどんどん始めていって、経験から身につけるしかないような気がしますね。