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京大に12年通って中退。バリ島で成功した40代経営者が囚われ続けた「医学部進学」という呪縛

 教育ジャーナリストの濱井正吾さんが、「学歴ロンダリング」をして、人生が好転した人を取材する連載「濱井正吾 人生逆転の学歴ロンダリング」

 今回は、東海中学校・高等学校から二浪して京都大学農学部に進学。4年の留年・休学を含めて12年通った後、中退して経営者に。その後、42歳から再受験をして大阪医科薬科大学医学部に進学した“ビリおじさん”にお話を伺いました。 全2回の第1回。

目次

中学受験者は5クラスでわずか2人。ヤンキーと工場に囲まれた名古屋・港区での少年時代

 ビリおじさんは愛知県名古屋市の港区に生まれ育ちました。周囲には工場がたくさんあり、ヤンキーも多くいた地域だったそうです。

「子どもが多い団地のエリアで、進学校に通うために、塾に行って中学受験をする人が少ない地域でした。隣の小学校にみんなで喧嘩しに行くとか、隣の学区の子達と公園でやり合うとかいうこともよく聞きましたね。小学校の頃は、5クラスあったのですが、私立の中学校を受験したのは2人だけで、基本的には公立中学に上がる感じでした。代々、中学生の先輩から悪さを引き継いでいく空気もあったので、自分もなんとなくその流れの中にいましたね」

 ただ、地元の公立中学校が荒れていることもあり、ビリおじさん自身も両親も、心の片隅には、「このままでいいのかな」と思いはあったようです。

「高学歴家庭ではなく、もともと進学校に通うような家庭ではなかったんですが、母親が『何か環境を変えてもいいんじゃないか』と考えて、中学受験をすることになりました。私は中学受験をしようと思ったことはなかったのですが、『あんたみたいな子は世の中にいっぱいいるから井の中の蛙になってはだめ』と言われ、東海中学校を勧められました」

 荒れた環境の中で、中学受験を志して受験勉強を重ねたビリおじさんは、受験の3ヶ月前に東海中学校の過去問を買ってもらって勉強を始めます。短期間でしたが、猛勉強の甲斐あって愛知県でも有数の進学校である東海中学校・高等学校に無事、合格することができました。

「東海中学に合格した後、職員室に報告に行ったのですが、先生はみんな驚いていましたね。合格する前の週には、同級生と喧嘩して職員室に呼ばれて怒られていたので、自分が有名中学の合格報告をするとは誰も思っていなかったのだと思います。今までやんちゃな生活をしていましたが、難関中学に合格して大人の見る目が変わる体験ができたので、それは後の自分の人生にとって貴重な原体験になったと思います」

400人中上位100番のスタートダッシュ。名門校で掴み取った「ついていける」という自信

 東海中学校・高等学校に進学したビリおじさんは、エネルギーのみなぎった学生生活を送ります。

「中1の中間・期末試験では一生懸命勉強しました。成績が半分より上にいられれば、運よく受かったこの学校でも、ついていけるかもしれないなと感じていました」

 その頑張りは順位に反映されます。一生懸命勉強したビリおじさんは、最初の試験で同級生400人中の上位100番くらいの順位を取ることができました。高校生活の後半では200位くらいに落ちてはいたものの、中学で水泳部、高校でアメフト部といった部活には熱中し続け、有り余るパワーをぶつけていました。

「高校のアメフト部はやんちゃな子が多く、そういう環境につい身を置いてしまいましたが、勉強をしているだけだったらエネルギ―の発散する場所がなかったと思います。アメフトみたいにパワフルなスポーツに打ち込むことで、結果的に高校時代の自分のエネルギーを発散することになり、バランスが取れた生活を送れました。部活を一生懸命頑張っていたので勉強時間は減ってしまいましたが、中・高と結構文武両道で頑張ってきましたね」

センター試験8割、判定は非情なE判定。覚悟の上で挑んだ神戸大医学部

 部活も勉強も頑張ったビリおじさん。志望校は、高校1年生の時に関西の大学を同級生と見に行った際に、京都大学・神戸大学あたりがいいかなと考え始めます。一方で、周囲の東海生の多くが目指していた医学部を自分も目指すかどうかについては、高校3年生の最後の方まで悩みました。

「医者家系ではないし、僕も生物が好きだったので、生物を勉強しながら、手に職をつけられたらいいなと考えていました。だから最後まで農学部や理学部も選択肢に残っていて、医師じゃないといけないとは思っていませんでした」

 悩んだまま受けた現役時のセンター試験は8割程度。河合塾のセンターリサーチもE判定でしたが、悩んだ末に前期試験で神戸大学医学部を受験して不合格となってしまいました。

「医学部はずっとE判定でしたし、きっと浪人するんだろうなと思いながら勉強していたら、その通りになってしまいました」

医学部C判定から失速。失恋ショックで机に向かえなくなる

 浪人生活1年目の前半は、1日10〜12時間程度勉強を頑張っていたこともあり、医学部もD〜C判定を取れるようになりました。

 次第に成績は伸びていきましたが、秋になると付き合っていた彼女に振られたショックで勉強しなくなってしまいました。

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この記事の著者
濱井正吾

教育ジャーナリスト。兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学。卒業後は会社員と並行して受験勉強に取り組み、受験費用300万円を貯める。退職後は受験勉強に専念し、合計9浪後に早稲田大学に合格し、教育学部国語国文学科に入学する。早大卒業後は教育ジャーナリストとして活動している。

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