有名ツイッターに心酔し貯金を内緒で全額投資…消費者金融に駆け込んだ48歳主婦の懺悔「波動を感じた」

コロナ禍で夫が失職…妻が貯金300万円で勝負に出る
「どうぞバカだと罵っていただいて構いません。でも、必死だったんです……」
冨山淳子さん(仮名・主婦・48歳)はコロナ禍で株式投資を始め、全財産を失った。
冨山さんが株式投資を始めたのは2020年3月、夫が勤めていた会社がコロナ禍による業績悪化に伴い、無期限休業を開始したのがきっかけだった。
大黒柱の事実上の失職と先が見えぬコロナ禍で、冨山さんは途方に暮れた。来年、子供が志望している私立大学の学費、老後の資金をどうするのか……不安が瞬時に限界を突き抜けた。そこで冨山さんは起死回生の策として、家の貯金300万円を原資に、トレードをして増やすことを思い立ったのだった。なぜ、そのような危険な賭けに出たのか?
「今思うと株投資をなめていました。やぶれかぶれだったのかもしれません。でも、上手くいけば資産を倍に増やせるので、差し迫る状況下ではそれしか選択肢がなかったんです」
とはいえ、右も左もわからない状態。セミナーに通う、チャートの見方を覚える程度の努力はしたが、とにかく即金が欲しかった冨山さんには、一からコツコツ勉強をする心の余裕がなかった。そこで、ツイッターで儲かっていそうな個人投資家を手当たり次第フォローし、「ミラトレ(トレードを真似ること)」を行う戦略をとった。
ビギナーズラックで大勝利! しかし、地獄の門が開いた
当時、SNSで話題となっていた銘柄は某バイオ銘柄A。2021年3月頃の300円台からじわじわと値上がりを始め、5月に2400円台に達した。
冨山さんが初めて買った銘柄がAだった。
「国産ワクチン第1号をうたっていて、市場の期待値が高かった。素人の私から見ても材料に遜色はありませんでした。Aを買うために株を始めたという人もチラホラいると耳にしました」
冨山さんが買ったのは4月の1000円台と、やや出遅れ感はあったが、それでも5月の急上昇により大きな利益を達成することができた。ビギナーズラックで最初の投資が成功した冨山さん。株を始めたのは間違えていなかったと確信した瞬間だった。
背後で地獄の門が開いていたことも知らずに……。
一方、冨山さんは、同時に先物にも手を出していたが、こちらのほうは絶好調だった。その秘訣は「Yahoo!ファイナンス投資法」。
「朝にYahoo!ファイナンスで『今日の相場の見通し』を見て、確実に上がるようなことが強めに書かれている日だけ、寄りで買いを入れます。すると本当に上がるので後は放置。これで1日に10万円は儲かりました。その分は株の買い増しに充てていました」
このような占い同然のガバガバな投資スタンスが、長く続くはずもなかった。
その後、Aの株価がじわじわと下がっていることは知っていたが、ワクチン開発が成功すれば10倍株になる……そう信じて再度、買いでインした。
敗北に焦る冨山さん、ツイッターの投資家に心酔する
そして運命の9月初旬。Aがワクチン開発を断念すると発表したとたん株価が急落。5月に得た利益がすべて消し飛び、マイナスになった。
「下げているのに願望だけでガチホ(売却せずに持ち続けること)し続けたのが敗因でした。株に慣れていなかったんですね」
そして11月、失意の中で冨山さんの目に止まったのが、数万人のフォロワーを持つ著名投資家Bだった。
ザラ場でしきりに銘柄名をつぶやき、買いを勧めているのが特徴の人物。10倍株を発掘し、数億円をトレードすることでも有名だった。
「銘柄まで丁寧に呟いてくれているし、時々書いている人生訓なども共感できました。この人についていけば何とかなる……そう思ったんです」