ビットコインキャッシュ(BCH)とは?特徴やマイナー、取引所など解説 みんかぶ編集室 児山将 2023.07.19 暗号資産(仮想通貨)初心者コラム ビットコインキャッシュ(BCH)とは2017年8月1日にビットコイン(BTC)からハードフォークして誕生した仮想通貨です。 ビットコインを基本としていますが、ブロックサイズが大きいのが特徴で、送金スピードが早くビットコインよりも手数料が安くなります。 誕生以降、時価総額は30位前後で推移しているため、多くの仮想通貨取引所で取引が可能となっています。 目次ビットコインキャッシュ(BCH)の概要誕生の経緯ビットコインキャッシュの特徴ビットコインキャッシュを取引できる取引所 ビットコインキャッシュ(BCH)の概要 時価総額 約3,129億円 発行上限 21,000,000 承認方式 Proof of Work 発行時期 2017年8月1日 ブロックサイズ 32MB 暗号方式 SHA-256 中央機関 なし 提唱者 viaBTC オフィシャルサイトURL https://www.bitcoincash.org/ ホワイトペーパーURL なし 公式Twitter URL https://twitter.com/bitcolncash ※時価総額は記事2022年10月24日時点 暗号方式(SHA-256)、発行上限(2100万枚)、承認方式(PoW)はビットコインと同様。 誕生時のブロックサイズは8MBでした。 その後、2018年5月16日に行われたハードフォークによりブロックサイズは32MBに拡大。同時にスマートコントラクトが実施されました。 ハードフォークとは 仮想通貨のブロックチェーンが完全に分岐(フォーク)すること。これにより元のブロックチェーンとは別のチェーンが発生。それと同時にそのチェーンのマイニング報酬となる新しい仮想通貨が誕生する。このブロックチェーンは基本的に二度と合流することはありません。つまり互換性がないアップデートと言えます。 ハードフォークの反意はソフトフォークといい、最終的に分岐しても長い方(マイナーが支持した方)が生き残ります。 ビットコインキャッシュのトークン名は誕生直後はBCCでしたが、当時はビットコネクトが同じBCCであり取引所はその扱いに困り、投資家も困惑。そのため、誕生1週間後にはBCHという表記が使われることとなりました。 その名残でいまだBCCという表記を利用している取引所もあり、これは間違っているわけではありません。 また、ビットコインと違いSegwitの導入は行っておらず、今後はブロックサイズを128MBに拡大することによりスケーラビリティー問題に対応するとしています。 ビットコインキャッシュ(BCH)の価格推移 2022年10月の時点においてビットコインキャッシュは1.6万円付近で推移しています。 基本的にビットコインと同様の値動きとなっていますが、ハッシュパワー比率の変化により急騰するケースがあります。 ◇ビットコインキャッシュ/円(BCH/JPY)週足チャート 2017年11月にはビットコインのハッシュパワーがビットコインキャッシュに移行。ビットコインは10万円ほど急落しましたが、ビットコインキャッシュは6万円台から27万円台へ高騰しました。 誕生の経緯 ビットコインキャッシュは大手マイニングプールであるBitmainが発表し、ViaBTCが名付けました。 そもそも、ビットコインはブロックサイズが1Mであり、これによりトラフィックの増加により送金の遅延や手数料が高騰するという問題を抱えていました。2017年初頭はこの問題で業界が大きく揺れており、2017年5月にビットコインはSegwit2X(※)を行うというニューヨーク合意(NYA)がマイナーや事業者により調印されました。 ※ビットコインにSegwit(BIP91)を採用し半年以内にブロックサイズを2MBに変更すること しかし、これは問題の先送りでありブロックサイズをもっと大きくし(ビックブロック派)多くのトランザクションに耐えうることがビットコインとして正しい姿だと考えるマイナーも多数いました。 スケーラビリティ問題と言われ長きに渡って議論されてきたこの問題は、以下の方法によって解決されました。 ビットコインのプログラムを改変して、1ブロックの容量を大きくする:ビックブロック 1ブロックの容量を変えずに、1送金あたりに要するデータ量を小さくする:Segwit ブロックチェーンの枠外で送金できるようにする:サイドチェーン そこで、2017年7月24日にSegwitがアクティベートされ業界がバタバタしているタイミングで、急きょビットコインのハードフォークが発表。 最も有名で時価総額の大きな仮想通貨であるビットコインの規格変更が行われ、その影響で分裂する可能性が高いということで、一般的なニュースでも非常に話題になりました。 ハードフォーク時に何が起きるか分からず、ほぼ全ての取引所はビットコインの入出金を停止。なかには取引を停止した取引所もありました。 そして、ハードフォークの直前、ビットコインの送金数は大きく減少しました。 日あたりのトランザクション総数 ハードフォークと価格動向 ビットコインはブロック478558を最後に分岐。ビットコインキャッシュの最初のブロックは478559となり、日本時間2017年8月1日午後21時20分ごろにハードフォークしました。 この瞬間に、ハードフォークによりビットコインキャッシュを付与されることを目的としていた投資家の売りが殺到し、ビットコインは1万円以上急落しました。 取引所では海外ではBittrex、国内ではbitbankとBTCBOXがいち早く取引を始めましたが、取引高が薄い中である取引所では1BCHが99万円を記録するなど、非常に激しい乱高下を発生させることとなりました。 最終的にビットコインキャッシュは2〜2.5万円付近で落ち着くこととなりました。 当初、ビットコインキャッシュの価格はビットコインから離れたハッシュパワーが理論値だとされており、ハードフォークの後にハッシュパワーは10%ほどビットコインキャッシュのマイニングに充てられました。 価格を見ても、ビットコインキャッシュはビットコインの約10%の価格で安定しましたので、理論的に正しいことになりました。 ビットコインキャッシュの特徴 ビットコインキャッシュは、政治的対立を除けばビットコインよりも早く送金でき取引手数料が安くすることを目的として誕生しました。 誕生直後こそ、ブロックの生成に時間がかかったものの、現在はViaBTC.netやPoolin、F2pool、AntPoolなどの大手マイナーがマイニングしており、安定したブロックチェーンとなっています。 誕生直後からブロックサイズは8MBであったために、ビットコインの倍以上のトランザクションに対応することができ、これにより送金遅延問題が解決されます。 また、2018年5月15日に分岐の発生しないアップデートのハードフォークを行い、スマートコントラクトの導入が可能となりました。 ビットコインキャッシュのハードフォークが引き起こしたこと ViaBTCとBITMAINが主導したビットコインキャッシュのハードフォークは様々な意味で業界に衝撃を与えました。 単純に資産に目を向けると、仮想通貨市場が盛り上がっていたこともあり、ビットコインもビットコインキャッシュの価格も上昇。結果的に、ハードフォークは誰も損することの無い錬金術と考えられるようになりました。 そのことから、多くのマイナーがビットコインからのハードフォークを発表。2017年11月13日にはビットコインゴールド、2017年11月25日にはビットコインダイヤモンドが誕生しました。 その後にも、いくつものハードフォークが発表されましたが、次第に業界では無視されるようになり、”ハードフォークビジネス”とも呼ばれる錬金術ブームはあっという間に収束していきました。 マイナー、ハッシュパワー状況 ビットコインキャッシュはビットコインのマイニングマシン(S7、S9など)でマイニングできることもあり、非常に多くのマイナーが参加しています。 ビットコインとビットコインキャッシュのマイナー状況 出所:Minng PoolStats ◇BCHの主要マイナー ViaBTC、Poolin、AntPool、F2pool 重要人物 ビットコインキャッシュは、satoshinakamotoのビットコインの思想を反映した仮想通貨であるとして、信念をもって支持しているマイナーや開発者が多くいます。 そのなかでも、ビットコイン・ジーザスと言われるロジャー・バー氏(@rogerkver)は「ビットコインキャッシュはビットコイン」と発言しています。 Bitcoin Cash is Bitcoin. Bitcoin Core is not. — Roger Ver (@rogerkver) 2017年12月20日 彼は東京に拠点を持ち、ブロックチェーンのカンファレンスや番組などに登場しています。 出所:youtube ホリエモンチャンネル 一方、ハードフォークを支持したマイナーであるBITMAINの代表ジハン・ウー氏(@JihanWu)は、「ビットコインはビットコインであり、ビットコインキャッシュはビットコインキャッシュだ。」と双方を認める発言をしています。 Bitcoin is Bitcoin. Bitcoin Cash is Bitcoin Cash. — Jihan Wu (@JihanWu) 2017年11月2日 日本人ではビットコインエバンジェリストとして有名な宍戸健(@kenshishido)氏と雨弓氏(@rain_vc)が有名です。両者ともビットコインキャッシュ普及のために、カンファレンスに参加したり勉強会を開いたりと精力的に活動しています。 ビットコインキャッシュを取引できる取引所 ビットコインキャッシュは時価総額ランキングで30位前後に位置しているため、ほぼ全ての取引所で取り扱いがあります。 日本国内でも多くの取引所で取引が可能ですが、取引所方式、販売所方式、FXなど取引方法は様々です。 取引所別BCHの取引方法 交換業者 取引所 販売所 FX bitFlyer ○ ○ Coincheck ○ bitbank ○ ○ GMOコイン ○ ○ ○ BITPOINT ○ ○ DMM Bitcoin ○ ○ SBI VCトレード ○ ○ ○ Zaif ○ また、基本的に対JPYの取り扱いがある交換業者がほとんどですが、対BTCの取引は扱っていないところがあります。 交換業者 BCH/JPY BCH/BTC bitFlyer ○ ○ Coincheck ○ ○ bitbank ○ ○ GMOコイン ○ BITPOINT ○ DMM Bitcoin ○ ○ SBI VCトレード ○ Zaif ○ ○ 世界的に見ると、ビットコインキャッシュは「Binance(バイナンス)」、「OKEx(オウケイイーエックス)」、「BitTrade(ビットトレード)」(旧Huobi)、「bitbank(ビットバンク)」、「HitBTC(ヒットビーティ―シー)」の取引量が多くなっています。