ROE25%超、年平均22.9%の成長率を達成!入院患者をサポートする企業 株式会社エラン<6099>
独自の観点で注目企業の価値を分析するMINKABUマトリクス企業分析。
今回は、病院の入院患者などに衣料や日用品等を日額定額制でレンタルする株式会社エラン<6099>(以下、エラン)をピックアップします。
Key Points
- 入院患者や介護施設の入所者に、衣料や日用品等を日額定額制(サブスクモデル)で提供するサービス
- 全国28カ所に営業拠点があり、全国でサービスを提供しているのはエランの他1社のみ
- ニーズに合わせた新規事業や海外開拓など中期経営ビジョンを明確に設定している
目次
エランってどんな会社?
エランは世界で初めて、入院時に必要な身の回り品をレンタルできるサービス「CSセット(入院セット)」を開発した会社です。
CSセットを強みに、業界トップシェアを10年以上維持しながら、年平均22.9%の成長率を達成しています。
「CSセット(入院セット)」の先駆者として業界トップを誇る
寝具販売事業の会社として1995年に神奈川県相模原市にて創業したエラン。2001年に事業拡大のため長野県松本市に本社を移転します。そんななか、「病院の寝具は取り扱っていませんか?」という問い合わせをきっかけにCSセットは誕生しました。
CSセットは、入院・入所生活に必要となる衣類・タオル・紙おむつや日常生活用品などを日額定額制でレンタルできるサービス。2024年6月末の時点で全国エリアに契約施設を持ち、全国28の営業拠点があります。市場の成長とともに年に1〜2社の競合会社の新規参入があるものの、日本全国でサービスを提供しているのはエランのほかに1社のみです。
エランは2023年から2025年までの中期経営ビジョンとして、2025年12月期に売上高680億円(うち新規事業と海外事業で80億円)、営業利益70億円、市場開拓率26.0 %を目標としています。CSセットの拡大を図ると同時に、国内での新たな事業として退院後のリハビリ在宅期間をサポートする在宅セットの事業化や、海外展開としてインドやベトナム市場の開拓を図ります。
エランの企業価値を4つの独自視点からチェック!
次に、エランの企業価値について分析していきましょう。評判(価値)、実利(実績)、共感(志向)、姿勢(ESG)の4つの観点からチェックしていきます。
各分析の結果はこちら。
1.評判価値:Excellent
2024年8月9日現在の時価総額は、472億6千8百万円と500億円前後で個人および中小型株ファンドがターゲットとする時価総額レベルにあります。PERおよびPBRなど株式関連指標も良好で、配当性向は31.2%となっています。
2.実績(業績)価値:Excellent
2024年12月期2Qは前年同期比「増収増益」。売上高は228億4千4百万円で前年同期と比べると15.5%UPの増収となりました。
3.共感(志向)価値:Excellent
CSセットの市場開拓率は13.9%で業界トップ。過去10年間の年平均成長率は22.9%、CSセット市場自体も年平均で25.9%と高い成長率となっています。また、中期経営計画においても、明確なKPI目標を設定できています。
4.姿勢(ESG)価値:GOOD
気候変動に対するTCFD提言への賛同表明をはじめ、環境面における削減数値をしっかりと開示しています。一方で、管理職における女性比率は9.9%とサービス業としては高くはありません。
それでは各項目について詳しく見ていきましょう。
PBR4.37倍 配当性向は31.2%で推移
2024年8月9日現在の時価総額は、472億6千8百万円と500億円前後で個人および中小型株ファンドがターゲットとする時価総額レベルにあります。
会社の利益と株価の関係を表すPERは10倍以上、PBRも1倍以上の4.37倍と高い数値となっています。また、配当は2023年12月期に2円増配して13円へ、配当性向は31.2%で推移しています。
前年同期比「増収増益」ROEは日本平均を大きく上回る25.4%
2024年12月期2Qは前年同期比「増収増益」。売上高は228億4千4百万円で前年同期と比べると15.5%UPの増収、利益のすべてで「増益」となっています。主力の入院セットの新規施設獲得と利用者数の増加に加えて、仕入れコスト上昇分を価格転嫁できています。
自己資本比率は2.0ポイントUPの58.9%と財務の健全性レベルが高く、ROEも0.1ポイントUPして25.4%となっており、8〜10%といわれる国内平均レベル以上を大きくクリアしています。
年平均22.9%成長率を達成 明確な中期経営計画
エランのビジネスへの価値観は「治療や介護に付随するお困りごとの解消」。そんな「困った」を解決するために、CSセットを世界で初めて開発しました。
CSセットの市場開拓率は13.9%で業界トップ。トップシェアを10年以上維持しながら年平均22.9%の成長率を達成しています。また、入院市場セットは年平均25.9%で成長しており、施設の契約継続率は5年連続で96%以上となっています。
2023年から2025年までの中期経営計画では、退院後のリハビリ在宅期間をサポートする在宅セットの新規事業化や、海外展開としてインドやベトナム市場の開拓を図るなど、明確なKPI設定もできています。
ESGを意識した経営を実現 女性管理職の比率は改善の余地
気候変動に対するTCFD提言への賛同表明をはじめ、環境面における削減数値をしっかりと開示するなど、サステナブル経営に不可欠なESGを意識した経営を実現しています。
社外役員は、8名中3名で37.5%、また女性役員は1名で12.5%の状況。管理職における女性比率は9.9%とサービス業としては高くはありません。一方で、「社員と共にカルチャーを創る 」「仲間と想いを統一する」という同じ志を持つ仲間意識の共有がビジョンに表われています。
2025年問題や単身世帯の増加など、今後さらにニーズが高まることが予想される入院・介護をサポートする株式会社エラン<6099>をご紹介しました。