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第7回 老後破産 年金生活を襲う悲劇、その原因と対策を知るべし!

古田 靖昭
公開)
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映画老後の資金がありません!」が10月30日(土)から全国公開されています。

主人公は老後資金問題に関心が高く、節約をモットーとしている53歳の主婦。彼女にはコツコツ貯金して作った老後資金700万円があったのですが、一家5人に数々の事件が発生し700万円がどんどん減ってピンチに陥ってしまいます。

このように老後資金がなくなってしまうことは、どんな人にも起こり得るトラブルです。

目次

そもそも老後破産とは?

今回のテーマ「老後破産」とは、正確にはどのようなものなのでしょうか。

老後破産とは「定年後の年金生活の中で破産状態になり、生活が困窮している状況」を指します。

映画では、天海祐希さんが演じる主人公に、パートのリストラ、夫の失業、義理の父の葬儀、娘の結婚、姑(かなりの浪費家)との同居などの出来事が起こり、老後資金ゼロのピンチに陥ってしまいますが、実はこのような状況は「老後破産」とは言いません。

なぜなら映画の主人公はまだ現役世代で、年金生活前に貯蓄を使い果たしただけだからです。

労働収入が得られる現役時代に起こったピンチは、家計の収支さえ改善できれば、余剰資金で再び貯蓄ができるため、まだまだ挽回のチャンスがあります

しかし同じ状況が10年後や15年後に発生したらどうでしょう。主人公とその夫は65歳で年金生活に入ってしまいますから、リカバリーは非常に困難。かなりの確率で老後破産に陥ると考えられます。

老後破産の原因は5つ

老後破産は、現役時代に所得が低い人だけが陥るというわけではありません。ある程度の収入を得ていて十分な貯蓄がある人でも老後破産に陥るリスクがあります

また老後破産は現役時代に問題が潜んでおり、問題点を探って一つ一つ改善していくことが解決の鍵になります。

老後破産の原因は、大きく分けて5つあります。

  1. 年金が足りない
  2. 生活水準が現役時代と変わらない
  3. 住宅ローンが残っている
  4. 医療費や介護費の増加
  5. 子どもの費用

それぞれの原因についてご説明しましょう。

1.年金が足りない

厚生年金や国民年金などの公的年金のみで生活することは困難とされているので、現役時代のうちに老後資金を準備しておく必要があります。

まずは自分がどのくらい年金をもらえるのか「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておくようにしましょう。

なお65歳で年金を受給せず「年金の繰下げ受給」の請求を行うと、1月当たり0.7%、最大で42%まで年金額が増額されるため、65歳以降も現役世代と同等の収入が得られるような場合は、年金を繰り下げて受給するとリタイア後の収入を増やすことができます。

2.生活水準が現役時代と変わらない

多くのサラリーマンは50代の給与が最も多く、特に50代半ばから定年に向かう時期が給与のピークとなっています。そして定年退職して年金生活が始まると収入は大幅に減少します。

したがって生活水準を変えないままで年金生活を送ろうとすると、支出が年金収入を大きく上回ることになり、貯蓄がどんどん減って老後破産に陥ってしまいます。

このパターンの老後破産を防ぐためには老後生活に向けて生活水準を見直すことが必要です。

映画では、冒頭の家族4人で生活している時は生活を十分切り詰めています。しかし後半では新たに同居することになった姑の浪費によって生活費が大きく膨らんでしまいました。これを解決するためには、夫婦で姑を説得して浪費癖を改めてもらうしかありません。

3.住宅ローンが残っている

住宅を購入した時の年齢が高かったり、借入時に頭金を減らし借入額を多くしたりしたような場合、住宅ローンの返済期間は退職後まで設定されてしまいます。

このとき退職金で住宅ローンを完済できれば問題は少ないのですが、退職金がないような場合は老後資金を切り崩して返済に充てることになり、老後の資金繰りが困難になってしまいます。

住宅ローンは、借り換えを繰り返して計画的に返済し、定年まで残らないようにすることが望ましいです。

映画「老後の資金がありません!」では、夫の会社の倒産によって退職金が支払われない状況ですから、確実にローンを完済するため、まず夫が再就職する必要があります。さらに再就職で給与が減ったり(勤続年数を考えると)退職金が少ししか出なかったりすることが考えられるため住宅ローンの返済計画を見直す必要もありそうです。

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この記事の著者
古田 靖昭

保険ライター。保険やファイナンシャルプランに関わる内容を中心に執筆を行っている。2級ファイナンシャルプランニング技能士を取得し、生命保険の営業を経て現在に至る。保険の使い方や制度に関する知識は日々アップデートしている。

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