知っておきたい!つみたてNISAで長期投資をする際に気を付けるべきポイントとは?【第12回】

N商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)はつみたてNISAを始めるために証券会社の口座を開いたものの、まだ購入には踏み切れないようです。そこでN商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)に気を付けるポイントなどを教えてもらいに来ました。
目次
つみたてNISAは若年層の資産形成を後押しするために作られた制度

セーさん聞いてください!買いたい投資信託が見つかって、その投資信託を扱っている証券会社で口座を開きました。


そうですか!それは良かったですね。


ところで、買いたい銘柄がつみたてNISA対象銘柄なんですけど、いまいちつみたてNISAが良く分からなくて。始める前に詳しく教えて頂けますか?


良いですよ。つみたてNISAの制度の趣旨からおさらいしましょうか?


お願いします!


まず、つみたてNISAは投資経験の浅い若年層の資産形成を後押しすることを目的に作られました。


どういった点が資産形成に向いているんですか?


目的を絞ってない一般NISAでは非課税期間5年に対し、つみたてNISAは20年と非課税期間が長いので、長期の資産形成に向いています。現在まとまった資産が無く、資産を形成していくには、長期の積立投資が良いですからね。


なるほど。対象の銘柄は条件が絞られているんでしたよね?


そうですね。信託報酬や運用期間で制限があります。それから、上限金額は一般NISAが年に120万円までに対して、つみたてNISAは年に40万円までですね。


年間40万円までは非課税になるんですね。

長期投資に適しているから優れた銘柄な訳ではない

長期の積立投資をするなら、つみたてNISAから始めておけば間違い無さそうですね!


そうですね。ただ、いくつか注意点もあります。


え!?注意点って何ですか?


たしかにつみたてNISA対象の銘柄は、金融庁が方針を決め、長期投資に適した銘柄が選ばれています。


長期投資に適した銘柄が選ばれているなら、問題無いんじゃないですか?


長期投資に適しているのと、優れている銘柄かは別の話しですから、無条件で対象の銘柄が全て良いという訳では無いと思います。


たしかにそこはイコールじゃないですね。


それと、以前少しお話ししたかもしれませんが、対象銘柄にはバランスファンドなども含まれています。


バランスファンドは価格の安定化を目指しているけど、長期投資の場合には途中の価格の安定は必要無いんでしたよね。


そうです。つみたてNISA対象銘柄だから良いでは無く、過去の実績や価格特性、運用方針などはしっかり見る必要があります。


分かりました!

20年間ずっと持ち続けることを考える必要は無い

それから、つみたてNISAで購入した残高は20年間非課税になると言いましたが、つみたてNISAで購入した資産を売却すると、売却した分の非課税枠の再利用はできません。


持ち続けた方がお得ということですかね。


非課税効果を最大限享受しようと思うとそうなってしまいます。ただ、それにあまりこだわりすぎる必要は無いと思います。


途中で売却しても良いということですか。


20年持ち続けることを前提に考えてしまうと、銘柄選びが難しくなってしまいますからね。


たしかに20年後も上がり続けている銘柄を選ぼうと思ったら大変ですもんね。


そうです。最長20年あるからといって、20年間ずっと持ち続ける必要は無いと考えた方が良いです。

非課税枠よりもリターンを重視して、必要に応じて乗り換える

でも、何を買って良いか分からない人のためのつみたてNISAなので、銘柄を入れ替えるのは難しいんじゃないですか?


たしかにこれから始めようという人は分からないかもしれません。


ですよね。私も出来る気がしません・・・。


ただ、ほったらかしにせず、購入した銘柄やマーケットをウォッチしておけば、経験が積み上がっていきます。経験を積んでいけば、今の状況ではどれを売れば良いか、何を買えば良いかが分かってくると思います。


今はできなくても、経験を積んでいけばできるようになるんですね。


そうです。今は金融庁が絞った銘柄を買っておこう、というのは良いと思いますが、経験が積み上がった後は別の銘柄でも良いんです。


でも選んだ銘柄がつみたてNISAの対象外だった場合、当然非課税の恩恵を受けられなくなってしまいますよね。


非課税枠を気にするあまり、リターンを落としてしまっては本末転倒です。非課税分以上のリターンを得られると思ったら、迷わずつみたてNISA対象外の銘柄を購入すべきです。


たしかに大事なのは最終的に得られるリターンですもんね。


例えば、過去には建設や鉄鋼など重厚長大な産業が徐々に衰退し、IT関連などの新興企業が成長していっていますが、TOPIXのインデックスファンドで市場全体を持つ場合には、衰退していく産業も保有することになります。


なるほど、たしかにそうなりますね。


ある程度知識がついてきて、やはり市場全体を持つのは効率が悪いので、成長性のある小型株に投資する銘柄を保有したいと思っても、つみたてNISAの対象には無かったりします。


そういった場合につみたてNISA対象外の銘柄を買っても良いんですね。


はい。利益の20%が違うだけですので、それ以上の利益を得られると思えば、つみたてNISA対象外を買っても問題は無いわけです。


知識がついてきたら、そういった判断もできそうですね。

信託報酬も大事だが、重視すべきは得られるリターン

つみたてNISAの対象銘柄ですが、長期で持つことが前提なので、信託報酬が安いことが条件になっています。インデックスファンドはこれで良いと思いますが、アクティブファンドにも信託報酬の制限を適用しているので、かなり絞られてしまっています。


リターンは信託報酬控除後なので、信託報酬よりもリターンを重視すべきと以前教わりましたよね。


そうです。信託報酬は大事ですが、それが全てではありません。よく「0.1%信託報酬が高いと、20年間で2%にもなってしまいます!」という説明を見ませんか。


何か見たことあるような気がします。


でも当たり前のことを言っているだけなんですよね。落ち着いて金額で考えたら、0.1%は10000円のうち年間10円です。それ以上の金額は1日の相場変動で動きますから、あまり気にし過ぎない方が良いですね。

長期積立では資産の分散は不要

資産形成には長期、積立、分散が必要とよく言われています。積立はドルコスト平均法で買付価格が平準化され、分散投資は大きな損失を被ることを回避できますが、どちらもリスクを低減するための方法となります。


じゃあ両方採用すれば、リスクはものすごく下がるんですね!


ただ、リスクを下げればその分リターンも落ちてしまいます。そのため、両方採用することはいかがなものかと思います。


じゃあどちらかの方が良いんですか?


そうですね。買付価格を平準化するのは長い期間が必要となり、長期投資と積立は相性が良いですが、長期投資と分散投資の相性が良いとは限りません。


投資期間が長い場合には、長期の積立だけで大丈夫ということなんですね。ちなみにここでいう分散というのは株式とか債券とかに資産を分散することですよね。


そうですね。資産分散を指しますね。


はい。投資対象は全て株式で問題ありませんが、銘柄とできれば投資地域も分散しておくと安心できますね。


なるほど。不測の事態に備えて、運用会社も分けておくんですね。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 長期投資に適しているからといって、優れた銘柄な訳では無い
- 非課税期間が20年間あるからといて、20年間持ち続けることを考えると銘柄選びが難しくなってしまう
- 非課税枠よりもリターンを重視して、必要に応じて銘柄を乗り換えても良い
- 資産形成には長期、積立だけで十分で、資産の分散まではしなくても良い

いくらドルコスト平均法で価格を平準化しても、右肩下がりの市場では利益はでません。知識がついて成長力のある資産が分かるようになってきたら、必要に応じて切り替えていくことも検討するべきですね。


ほったらかしにはせず、知識をつけていけるように頑張ります!


いよいよ投資のスタートが近付いてきましたね。でも先は長いですから、焦らず資産と知識を蓄積していきましょう!


分かりました!

今回登場したファンド
ファンド名 | レーティング(1年) |
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三菱UFJ国際
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三菱UFJ国際
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AM-One
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