アクティブファンドはインデックスファンドに本当に勝てないのか?【第11回】

N商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)はN商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)から、良い実績を残しているアクティブファンドを選べばインデックスファンドを上回る可能性は高いと教えられたものの、ネットでアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないという記事を目にし、どちらが正しいのか気になっているようです。
目次
アクティブファンドが勝てないという根拠はSPIVA

セーさん、ちょっとまた聞いても良いですか?


何でしょうか?


以前、良い実績を残しているアクティブファンドを選べば、インデックスファンドを上回る可能性が高いと教えてもらったじゃないですか(第1回 アメリカの成長を手にするための長期投資の新ルール参照)。


そうですね。運用方針として値上りを目指していて、良い実績を残しているアクティブファンドなら、上回る可能性は高いと思います。


でもネットなどを見ると、アクティブファンドはインデックスファンドに勝てないというのが定説になっているじゃないですか。それはなぜなんですかね?


そうですね。恐らくそういう意見をお持ちの方はSPIVAという指標を根拠にしていることが多いかもしれませんね。

何%のアクティブファンドがインデックスを上回っているか

SPIVAって何ですか?


S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が発表しているインデックスVSアクティブという指標になります。


インデックスファンド対アクティブファンドの対決の結果が分かる内容なんですか?


対決といえばそうですね。期間毎に何%のアクティブファンドが対象となるインデックスを上回っているかを算出しています。ちなみに日本株のアクティブファンドは10年間のリターンでは大体6割ほどは負けています。


半分以上負けてしまっているんですね。それならやはり、インデックスファンドを買った方が良いとなりますよね。


たしかに勝ち負けの数だけ見れば負けています。ただ、4割はインデックスを上回っているわけです。ちょっと努力して選べば、インデックスファンドを買うよりもリターンが大きいわけです。


4割を選ぶことができれば・・・まぁそれはそうですね。


せっかく投資するのであれば、4割を探す方が面白いと思いませんか?


たしかに大きくお金が増えるかもと思うと、ワクワクするかもしれません。

倍になっているアクティブファンドは多数ある

それと、アクティブファンドのリターンを見ていった場合、半分になっている銘柄はあまりありませんが、倍以上になっている銘柄は多数あります。勝ち負けの数では無く、リターン額の合計ではアクティブファンドが勝っているかもしれませんね。


スポーツなどで勝敗数では負けても、得失点差では勝っているようなものですかね。


そういうことです。アクティブファンドはだめで、インデックスファンドを買うべきと言い切ってしまうのは違うと思うんです。


リターンを得たいのであれば、インデックスファンドありきで考えない方が良いのですね。


そうですね。ただ、買うべきではない中途半端なアクティブファンドがたくさんあるのもまた事実なのですよね・・・。


買うべきではないアクティブファンドってどんなものがあるんですか?


例えばインデックスとほぼ同じポートフォリオを組んでいるだけのアクティブファンドもあります。そういったアクティブファンドはコスト分で負けていくので、当然ですがインデックスを上回れません。


そんな銘柄もあるんですか・・・。アクティブファンドを買う場合には、しっかり中身を見ることが大事なのですね。

運用実績のある銘柄は生き残った銘柄

とはいえ、そういった運用成績が悪いファンドは償還されてしまいます。過去を遡って実績を見れば、良い銘柄は生き残って、悪い銘柄は淘汰されていきます。


過去の運用実績が残っていることが、淘汰されていない証明でもあるのですね。


そういうことです。ただ、新しい銘柄を買った際には、それが淘汰される銘柄かもしれません。


ほったらかしておくと、気付いたら排除されているかもしれないですね。


運用成績が思ったほど良く無かったら、仕切り直しをした方が良いですね。長期投資は仕切り直す時間が十分ありますから。ドルコスト平均法による価格の平準化にはこだわりすぎず、保有している銘柄を入れ替えてしまって良いと思います。

信託報酬ファーストが原因

そういえば、私がネットで見た記事ではSPIVAについては特に説明していなかったような。たしか信託報酬が高いから負けると書いてあった気がします。


信託報酬はたしかに大事ですが、リターンは信託報酬控除後の数字ですから、第一に比べるべきなのはリターンです。でも、最近は信託報酬ファーストな考え方が広まっているような気がしますね。


その信託報酬ファーストな考え方が広まっている理由ってあるんですかね?


一つにはつみたてNISAの対象銘柄に信託報酬の条件が入っていることからも分かるように、信託報酬が銘柄選定条件の上位になってきていることがありますかね。


リターンよりも、信託報酬が銘柄選定条件の上位に入ってくるのはなぜなんでしょう。


銘柄選定の仕方が一般化されていないことがあるかもしれませんね。


銘柄選定の仕方と言いますと、今までに教わった良い実績を残していて、自分の目的に合った価格特性の銘柄を選ぶこととかですかね?


そうです。過去の運用実績と価格特性を見て、自分の目的や相場の状況も見て、銘柄を選ぶのが一番です。その手順が広まっていないので、分かりやすい数字である信託報酬に目が行ってしまっているのかもしれませんね。

リターンを見る際はいつ価格が上昇したのか調べる

ただ、リターンを見る際に注意すべきこともあります。これはアクティブファンドだけでは無いかもしれませんが、リターンがイコール顧客の利益では無いということです。


え?それはどういうことですか?リターンが高ければ利益になるのでは無いんですか。


上昇相場で大きく上がって、それ以外ではあまり動かないような銘柄だとそうなりがちです。例えばある年には100%上がって、それ以外の9年間はほぼ動かなかったとしたら、10年リターンは10%になりますが、そのリターンを享受できるのは100%上がっていた年に保有していた顧客だけとなります。


たしかにそれですと、10年リターンを見ただけでは分からないんですね。でもそういったことも、過去の実績から価格特性を調べていれば、避けられそうですね。


そうですね。以前ご説明したように、自分のベンチマークとチャートで比較しておけば、事前に分かることではありますね。


そういった銘柄もあるので、4割の勝っているものであればどれでも良いというわけでは無く、やはり中身も見ないといけないんですね。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- アクティブファンドが勝てないという根拠はSPIVA
- SPIVAで勝ち負けの数は負けていても、倍以上になっているアクティブファンドは多数ある
- 買うべきでないアクティブファンドもあるが、そういったファンドは淘汰されていく
- 信託報酬よりもリターンを重視する。ただし、リターンだけでは無く、価格特性もしっかり調べる

ネットで色々調べるうちにインデックスファンドから始める気になっていましたが、今日の話しを聞いて、やっぱりアクティブファンドも買いたくなってきました。


投資に100%の正解は無いかもしれませんが、最初から可能性を除外してしまうのは勿体ないですからね。


う~ん、もうセーさんが買うファンド決めてくれませんか?


いやいや、それじゃ面白くないですから。せっかくだから悩んでください。


う・・・でも自分の大事なお金のことですもんね。頑張って考えてみます!
