何を重視すべき?金融機関の選び方のポイントを解説!【第5回】

N商事に務める福山春雅(通称ハルちゃん)がN商事顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)と帰り道が一緒になり、週末の予定について話しをしていました。いつも週末の予定がなかなか決められないハルちゃんですが、投資信託を買うための金融機関も決められていないことを思い出し、どこで口座を開いたら良いか相談することにしました。
目次
金融機関選びよりもまずは銘柄選びから

実はまだ投資信託を買うための口座を開いてないんですよね。どこで開いたら良いのかなかなか決められなくて。どうやって決めたら良いんですかね?


そうですね。私の考えとしては、まずは自分が買いたい銘柄を見つけて、その銘柄を取り扱っている金融機関で口座を開くのが良いと思います。


まずは買いたい投資信託の銘柄を探すんですね。


どんなに良い金融機関だと思っても、買いたい銘柄がそこに無ければ、意味は無いですから。


なるほど。それだとだいぶ絞り込めそうですね。


はい、まずは銘柄を探しましょう。


ちなみに良さそうな銘柄が2つ見つかって、1つは1社でしか扱っていなくて、もう1つはたくさんの金融機関で扱っていた場合、たくさんの金融機関で扱っている方が良い銘柄なんですかね?


う~ん、それはなかなか難しい質問ですね。販売力のある大手金融機関ですと、運用会社に対して独占で販売させてほしいと言っているケースもあるかもしれません。販売している会社が少ないからだめな銘柄とは言えないと思います。


たしかに良いファンドだと独占したいかもしれませんね。


ちなみにある金融機関の専用にするために、同じ運用方針の銘柄を2つ作っている場合もあります。


へ~そんな銘柄もあるんですか。


何で2つ作る必要があるんですか?


販売手数料の上限設定や信託報酬は銘柄毎にしか設定できないからです。例えばネット専業の金融機関向けには信託報酬を安くするといったことをしたい場合には、現在のルールでは別の銘柄にするしかないんですね。


手数料などの条件を変えたければ、ルール上別にするしかないんですね。


米国では1つの銘柄を複数の設定に分けることができるので、いずれ日本でも導入されるかもしれませんけどね。

自分で調べられるならネット専業の金融機関にすべき

ネット専業の金融機関と店舗のある金融機関ではどちらが良いですかね?


目的によりますかね。店舗のある対面金融機関の営業員は勉強会や日々の営業の中で知識を蓄積していますから、質問に対してより詳しい説明を聞くことができる可能性は高いと思います。


色々質問をしたいと思っているなら、店舗がある金融機関の方が良いのですね。


でも、深く知識をつけることができる銘柄の数には限りがありますから、取扱い本数はネット専業に比べて少なくなりますね。


商品の品揃えはネット専業の方が多いんですね。


取扱いを開始するためのコストがネット専業の方が低いですからね。会社のポリシーとしてあえて本数を絞っている会社もありますけど。


でもその分、ネット専業の金融機関の窓口に電話をしても、あまり深くは説明してもらえないんですね。


一般的にはそうですね。ただ、最近は知識共有化のためのシステムを入れている会社も多いみたいですね。問い合わせが多い銘柄であれば知識も蓄積されて、深いこともある程度聞けるかもしれませんね。


なるほど。企業努力で弱点をカバーしているネット専業の会社もあるんですね。


逆に対面の金融機関でも、若い営業員だと少し古い銘柄のことは分からないこともあります。


どっちが良いのか分からなくなってきました・・・。


必ずしも一般論が当てはまらないこともあるので、ベストな選択を探すのはなかなか大変ですね。自分が買いたい銘柄を見つけたら、まずは気になることを質問してみて、納得性のある答えをしてくれるかを確認してみた方が良いかもしれませんね。


まずは実際の対応を見てみた方が良いのですね。


自分で調べることができて、何も聞く必要が無いということであれば、ネット専業に絞ってしまっても良いと思います。買付手数料はネット専業の方が安いケースがほとんどですからね。


私は自分で調べる能力は無いので、対面の方が向いているのですかね・・・。


でもこうやって私にどんどん質問するのも、ある意味調べる能力があると言えると思いますよ。

買いたい銘柄以外のラインナップもチェック!

アフターフォローなどは、やはり対面金融機関にしかできないですよね?


もちろんそうですが、アフターフォローはどうしても何か商品を買ってもらうためにしがちになってしまいます。そういうことを防ぐために連絡タイミングをルール化している金融機関もありますけど、それも形骸化しがちなんですよね。


なぜ形骸化してしまうんですか?


積立で投資をしている若い顧客と、退職金を運用している60代の顧客では、同じ下落率でも感じ方が全く違います。例えば10%下がったら連絡するというルールがあったとして、顧客によっては意味の無い連絡になってしまうんです。


フォローを入れるタイミングを一律化するのは無理があるということなのですね。


顧客の状況や投資スタイルに応じたアフターフォローをしてもらえたら一番ですけど、担当する営業員の経験によってしまいますよね。


事前に良いアフターフォローをしてもらえるか分からないとなると、あまり金融機関選びの材料にはならないかもしれませんね。他に金融機関を選ぶ際のポイントはありますか?


例えば買いたいインデックスファンドを決めて金融機関を開いても、後からアクティブファンドが買いたくなったり、追加で違う地域に投資をする銘柄を買いたくなったりすることもありますよね。


それは十分考えられますね。


その会社と長く付き合っていくことを想定して、カテゴリ毎のラインナップがきちんと揃っているかを見ておくことも、一つのポイントになるかもしれませんね。


たしかに後で買いたい銘柄が増えた時に、別の金融機関を開かないで済む方が良いですよね。

銀行と証券会社であれば、良いアドバイスが聞けるのは証券会社

投資信託は銀行でも買えるみたいですけど、銀行と証券会社だったらどちらが良いんですかね?


投資のアドバイスに関しては、担当者の個人差を排除して考えた場合には、証券会社だと思います。


それはなぜですか?


証券会社の営業マンであれば、朝会社に行って新聞や情報ツールで株価や為替の情報を見るということは、当然のように行っています。


証券マンは朝早くそういった情報をチェックしていそうなイメージがありましたが、やっぱりそうなんですね。


昨日なぜニューヨークが下がったのか?その影響で私の保有している投資信託はどうなるか?くらいの質問であれば、平均的な証券会社の営業マンであれば即答できると思います。銀行でそれを即答できる方は少ないと思います。


証券会社の方が投資に特化している分、触れている情報量が多いのですね。


そうですね。金融市場の情報が流れてくるところに四六時中身を置いてますからね。

銀行で投資信託を買うメリットは口座の一元化

銀行で投資信託を買うメリットはあるんですか?


それは口座の一元化でしょうね。銀行の一番の良さは普通預金の口座で投資信託を購入したり、解約時の解約代金を受け取ったりできる点です。証券会社はどうしても証券口座へ振り込む作業が必要になりますから。


証券会社だと振込の手数料が掛かる会社とかもありそうですね。


そうですね。例えば分配金などを受け取った場合、分配金をそのまま口座から引き落として使えるのは便利ですよね。


給料日前でピンチな時とかは助かりそうです。


最終的には投資信託は解約して現金化するわけで、現金化したお金を使う時を考えた場合、銀行が便利ですね。最近はクレジットカードで購入できる証券会社も増えてますが、それもやはりワンクッション入りますからね。


お金の移動とか、それに関する手間などを考えると、銀行の方が良いこともあるんですね。


そういうことですね。ただ、銀行の場合、ある一定以上の資産が無いと担当者がつかなかったり、富裕層向けの商品しか無い場合もありますので、そこは事前に確認が必要ですね。

基本的にはネット経由がおすすめだが、注意点も

自分で銘柄を選んだり、サービス内容をきちっと比較できるのであれば、ネット経由で購入するのが一番ですね。ただ、同じネット経由でも対面金融機関が提供しているネット取引は注意が必要です。


それはなぜですか?


手数料が対面より少し安いだけだったりするケースがあるからです。担当者もつかない、手数料も高いで、良いところが無いですからね。


対面、ネットの良い面がどちらも享受できないかもしれないんですね。


自分で調べられる場合でも、富裕層の方でしたら営業マンがきてくれたり、管理してくれる方が便利ですから、対面証券の方が良いんでしょうけどね。


私は今のところ富裕層になる予定は無いので、その点は大丈夫そうですね!


ただ、富裕層で無くても、相談できる人がいるということは価値のあることですから、対面を全否定する気もありません。例えば暴落して精神的に落ち込んでいる時に相談することで落ち着くこともできますからね。


なるほど。私もセーさんに相談できることに感謝しないとですね。


はい、もっと大事にしてください!どんどん世の中は便利になっていって、ネットで調べて何でも解決できる時代になってきています。そんな時代だからこそ、人とのつながりにより価値が出てきている面もあるかもしれませんね。

資産運用のイメージに合った金融機関を選ぼう!

自分がまず買いたい銘柄と今後買いたくなるかもしれない銘柄、それから相談出来た方が良いか、お金を使う時に手間が無い方が良いかなど、自分の今後の資産運用をイメージできれば、金融機関も決まってきそうですね。


そうですね。資産運用は投資信託を買ったらゴールでは無く、そこがスタートですからね。できれば先のことも考えて選んだ方が良いですね。


先のことかぁ・・・悩みますね。


とはいえ、あまり悩んでばかりいてスタートできないのも良くありません。なかなか決められなければ、合わなかったら金融機関を変えれば良いと考えて、まずは口座数が多いネット専業金融機関とかで始めてみても良いと思いますよ。


なるほど。それもそうですね!ちなみに金融機関を変える場合って、預けてある投資信託ってどうなるんですか?


新しい金融機関で同じ銘柄を取り扱っていれば、移管という選択を取ることもできますね。同じ銘柄の取扱が無い場合には、思い切って売却してしまって、同じような種類の銘柄を買うのも一つの手ですけどね。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 金融機関選びは、自分の運用方針にあった銘柄を取り扱っている金融機関から選ぶ
- ネットと対面はそれぞれメリット、デメリットがあるので、迷った時には電話をして、買いたい銘柄について聞いてみるのも手
- ファンド購入が資産運用のゴールでは無いので、先のことも考えて金融機関を決める。でも先を考えすぎても資産運用が開始できないので、割り切ってまずは始めてしまうのもあり
- 銀行と証券であれば、良いアドバイスがもらえるのは証券会社。銀行はお金を使うという面ではメリットがある
- 自分で銘柄を選べるのであればネット経由で購入した方が良い。ただ、対面店には相談できるというプライスレスな価値がある

ネットは便利だけど、使いこなせるかどうかが大事ですね。


まぁよほど拒絶反応がある人でなければ、大丈夫だとは思いますけどね。私は大いに拒絶反応がありますが・・・。


いつも投資信託について教えて頂いている代わりに、パソコンやスマホのことならいつでもお教えしますよ!


是非お願いします。やはり人のつながりは大事ですね。では、まずこのスマートフォンでネットサーフィンをする方法からお願いします。


そ、そこからですか!分かりました。
