アクティブファンドに投資する時のおすすめの金額配分と銘柄の選び方【第19回】

新たにアクティブファンドの積立を検討しているN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)ですが、積立金額の配分について悩んでいるようです。そこで、いつものようにN商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)に相談しに来たようです。
目次
投資配分の基本はリスク度合いを元に考える

セーさん、ちょっとまた聞いても良いですか?


はい、大丈夫ですよ。


アクティブファンドも積立する場合、今積立をしているインデックスファンドと同じ金額を買うと予算オーバーなんですよ。インデックスファンドより少ない金額を積み立てるか、インデックスファンドを減らして同じ金額を積み立てるのと、どちらが良いと思いますか?


投資配分についてですか。投資配分を決める際にはリスク度合いで決めていくのが基本となります。


リスクの度合いですか?リスクの高さで決めるということですか。


そうですね。基本的にはリターンを狙いにいくアクティブファンドの方がリスクは高いので、インデックスファンドの比率を高くした方が良いですね。


リスクが高い商品の比率を下げるのですね。


銘柄を絞っているアクティブファンドはインデックスファンドの倍以上下がることもありますが、上がる時には2倍、3倍と上がります。そのため、積立額をインデックスファンドより少なくしても、ある程度のリターンが期待できると思います。


リスクが高い分リターンも高いので、積立額を下げてもリターンは期待できるんですね。


ちなみに年金基金などの機関投資家も、同じようにインデックスファンドをコアにして、アクティブファンドをサテライトという感じで、金額を少なくして、いくつかに分けて購入しています。


へ~そうなんですね。機関投資家も同じような考え方なのですね。

積立初期は同じ金額でも良い

ただ、機関投資家の場合には、すでに保有している資産の運用がメインという違いもあります。


あ、私と違って積立じゃないんですね。


積立で考えた場合には、積立初期の数年間は運用効果よりも積立をしていく効果が大きいですから、まずは同じ金額で始めてみるのも良いかもしれませんね。積立の効果が大きいうちは勉強期間でもありますから、同じ金額の方が投資成果の比較がしやすいですからね。


たしかに同じ金額の方がその時々の動きが分かりやすそうですね。


積立対象は下げる時は下げて、切り戻しでしっかり上がるファンドの方が良いと言いましたが、そういった効果もインデックスファンドとアクティブファンドを比較することで実感できると思います。


でも金額が違うと分かりにくくなってしまうんですね。


そうですね。積立効果でリターンに違いが出ているのか、運用効果なのかがパッとは分からなくなりますね。投資経験を積むことを優先するのであれば、同じ金額でも良いと思います。


最初は悩まずに同じ金額にしてしまうのも良いのですね。

勉強目的であれば違う地域に投資してみる

今は米国のインデックスファンドを積立しているんでしたよね。その場合、どんなアクティブファンドと組み合わせるかも考えないとですね。ちなみにハルちゃんはどんなアクティブファンドを探そうと思っているんですか?


インデックスファンドよりも価格変動が大きくて、最終的に値上りが期待できそうな銘柄ですかね。


長期積立するならそうですよね。そもそもハルちゃんが最初にアメリカのインデックスファンドに投資をしたのは、今のマーケットはアメリカ中心になっていて、アメリカが市場として一番成長機会があるからですよね。


はい、そうでした。世界の経済の中心はアメリカですもんね。


アメリカはグローバル企業が多くて、世界の経済と密接につながっていますからね。


アクティブファンドもアメリカにしてしまっても良いんですかね?


そうですねぇ・・・。投資知識向上のためと考えた場合には、アクティブファンドに関しては思い切って別の地域にしてみても良いかもしれません。


別の地域ですかぁ。世界株とかはどうでしょうか?


世界株ですか。商品としては良いですが、勉強のためと考えた場合には、どこが上がっているのか分かりにくいのと、現状はアメリカ株の比率が高いので、今積み立てているアメリカ株のインデックスファンドとの違いが分かりにくいですね。


世界株はアメリカと銘柄がかぶってしまうのですか。


そうですね。日本や欧州を選んでおけば、アメリカとの価格の連動性や値動きの違いなどが分かってくると思います。


異なる地域の銘柄を保有する方が投資の勉強にはなるんですね。

リターンランキングで上位なことを理由に銘柄を選んではいけない

アクティブファンドを選ぶ際に気を付けることとして、リターンランキングでスクリーニングを掛けていく際に陥りやすい罠というものがあります。


わ、罠ですか?なんだか怖いですね。


その罠を避けるためには、リターンランキングは候補銘柄を探す手段であって、銘柄を選ぶ決定要素にしない方が良いです。


リターンランキングで上位ということを理由に買わない方が良いんですか。


リターンランキングは今のマーケットの状況によって大きく左右されます。小型株がメインだったり、情報通信や外国人旅行客のインバウンドに着目したファンドなどがありますが、その時のアプローチが上手くいっているファンドが上にくるわけです。


その時良くても、将来良いとは限らないということですね。


そういうことですね。ただ単に上がっているファンドを買ってしまうと高値掴みになり、失敗につながってしまいます。


上がっているファンドについてはなぜ上がっているかも合わせて考えないといけないんですね。


過去の実績を少し遡ってみて、過去の景気後退期にどういった動きをしたか、景気反転期にどういった動きをしていたかを見れば、銘柄を選ぶ上での大きな参考になりますよ。


今が良いかどうかだけでは無く、過去の動きがどうだったかを見ることが大事なんですね。


ただ、投資対象を限定している銘柄は投資環境に合わせて上下しますが、その時に良い銘柄を買いますというアクティブファンドですと、銘柄が大きく変更されてしまう場合もあります。


そうなると過去の実績が当てはまらないこともあるのですね。


そのため、運用方針も合わせて確認しておきますと、より確度が上がると思います。

積立に向いているアクティブファンドは小型株ファンド

下がる時は下がるが、切り戻しが大きいものが積立に向いているとお話ししましたが、一般的にそういったファンドは小型株ファンドに多いです。


小型株ファンドは積立に向いているものが多いのですね。でも、なぜ小型株ファンドはそういった動きをするんですか?


大型株よりも会社の規模が小さいので、景気が良い悪いで利益に対する影響を受けやすいからです。利益の変化率が大きくなるので、株価の変動も大きいんです。


なるほど。会社が安定していない分、株価の変動も大きいんですね。


ただ、小型株ファンドでも、値動きは日経平均とほぼ同じくらいのファンドもあります。または、動きが非常におとなしい小型株ファンドもあり、下落時の抵抗力はあるのですが、小型株ファンドには下値抵抗力を求めていないですからねぇ。


小型株ファンドなら何でも良いわけじゃないんですね。


それから、小型株ファンドと謳っていなくても、テーマ型で結果的に小型株中心に投資しているファンドは値動きが大きくなっています。


そういったファンドは構成銘柄やトラックレコードなどの中身も見ないと分からなそうですね。


そうですね。ここ20年くらいを見ますと、日本株よりも米国株の方がパフォーマンスは良いですが、米国株よりも上昇している日本の小型株ファンドは多数あります。追加の積立はそういったファンドから選んでいくのもありだと思います。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 積立の投資配分はリスク度合いで決める
- 積立効果が大きい積立開始当初はリスクを気にせず同じ金額で買ってしまうのもあり
- 追加で積立をする際、勉強のためには異なる投資対象にしてみることがお薦め
- リターンランキングだけで購入銘柄は決めずにトラックレコードも見る
- 小型株ファンドは積立に向いているものが多い

すでに米国に投資していますから、やっぱり次は日本に投資してみようかなぁ。


良いと思いますよ。


金額はどうしようかな・・・もっと給料が上がればインデックスファンドと同じ金額を積立できるのになぁ。セーさん給料を上げてもらえませんか?


私にそんな権限はありませんよ!頑張って仕事の実績を積んでいってください。


ですよねぇ。積立も仕事もコツコツ頑張ります!
