積立対象の投資信託が下落したらどうする?積立をやめるかどうかの考え方とは【第14回】

投資信託の積立を始めたN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)ですが、積立対象が下がり続けて落ち込んでいるようです。そんなハルちゃんにN商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)は積立投資における下落時の考え方について説明しているようです。
目次
資産形成では資産を活用するタイミングの相場だけ気にする

はあぁぁ~・・・。


深いため息をついてどうしたんですか?


あ、セーさん!いや~積立を始めた銘柄の価格がずっと下がり続けてまして・・・。


それで落ち込んでいるんですね。


最初の1ヶ月は安く買えるから良いと思えたのですが、だんだんと心配になってきてしまいまして。買い始める時期を間違えましたかね・・・。


相場を予想して売り買いするのも一つの運用方法ですが、ハルちゃんがやっている長期の資産形成では、今の相場は気にしなくて良いと思いますよ。


価格が下がっても気にしなくて良いということですか?


そうですね。毎日売り買いをするデイトレーダーであれば、当日の相場を見通す必要があると思います。でも資産形成を目的とする場合、見通すべきはハルちゃんのリタイアメントなど、資産を活用し始めるタイミングになると思います。

長期投資では短期の下げは気にしない

たしかに今売却しないといけないわけじゃないですもんね・・・。


短期の見通しなんてあっという間に変わりますから、気にしなくても良いですよ。例えばアメリカ株であれば大統領の発言や、FRBの金融政策によって短期的には価格は大きくぶれますから。


そうなんですね。たしかにFRB議長の発言で株価が動いたりとかしていたような。


資産形成を目的とした場合には、そういった変動は大勢には影響は及ぼさないはずです。20年、30年で見れば経済はさらに成長している、という前提で長期投資を始めているわけですから。


今焦ってバタバタする必要は無いんですね。


そうですね。見通しは変わっていないわけですから、もっと安く買えると喜びましょう!


うーん、でもなかなか喜ぶまでの気持ちにはなれないです・・・。


その気持ちも分かりますけどね。

長期投資で一番駄目なことは途中で止めてしまうこと

まぁでも価格変動に多少ドキドキするのも、ほったらかしにして何も気にしないよりは良いと思います。ただ、一番駄目なのは積立をやめてしまうことです。


一度積立をやめて、下がり切ったところからまた始めようかなぁ・・・なんて少し思っていたのですが、だめなんですね。


下がり切ったところでまた始めようと思っても、なかなか始めることができなくなると思います。下がり始めるともっと下がるかもと思ってしまいますし、価格が戻ってきたら、また下がるまで待ってしまいますし。


それはあるかもですね・・・。


それと、投資する環境に居続けることも大事だと思います。積立投資については、運用成果はあくまで+αとなり、現在の収入を将来のためのお金に置き換えていくことが大事なんです。


現在の収入を将来のためのお金に置き換えていくことの方が大事なんですね。


そうですね。積立投資をすることは20年後に向けた種を蒔き続けているわけです。今天候が悪いからといって蒔くのをやめてしまったら、収穫はできませんからね。

20年後の成長が崩れるようなことが起きれば、銘柄を乗り換えるべき

ただ、もし20年後の成長が崩れるような事態が起きたら、銘柄を乗り換えるべきですね。ドルコスト平均法で積立をしていっても、市場が成長していかないと意味は無いですからね。


投資先の市場が下降していくと、ドルコスト平均法でもやっぱり駄目なんですね。


そうですね。下がり続けることがある程度予想できるのであれば、そこに投資をする意味は無いですね。資産形成の基本は、右肩上がりになると思う資産に投資することです。


上がったり下がったりだったらどうなんでしょうか?


上がったり下がったりずっとしていることをボックス相場と言います。ボックス相場の場合ですと、どこで売却するかのタイミング次第でリターンが大きく変わってしまいますので、やはりなるべく避けるべきですね。


右肩上がりならタイミングをそこまで気にしなくても良くなるんですね。


売りたくなった時に調整期に入っていて、価格がある程度下がっていたとしても、右肩上がりの市場に長期間投資していればプラスになっているでしょうからね。


なるほど。



2018年12月と2020年3月に市場が大きく下がった際、同じように下がっていますが、長期的に見ればどちらの場合もプラスになっていますよね。


たしかに右肩上がりになっている銘柄を長期で持てば、暴落がきてもしっかり利益は得られそうですね。

成長性があっても新興市場への投資は気を付ける

ただ、成長性がある市場でも、新興市場には気を付けないといけないです。


以前、新興国は政治体制が変わることで、国の方針も大きく変わることがあるので、気を付けないといけないと教わりましたよね。


そういうリスクもありますし、国の財政基盤が脆弱なこともリスクですね。例えば1990年代にロシア危機というものがありました。


ロシア危機?どんな危機だったんですか?


ロシアの財政悪化にアジアの通貨危機が重なり、株は下がるし、通貨も下がるしで、ひどい状態になってしまいました。畑であれば耕す土地自体が無くなってしまうような状態になってしまいました。


そうなるともう将来への期待ができなくなってしまうのですね。


国の状態が不安定な新興国はそういったリスクがありますので、新興国一択に投資をするのはお薦めしません。

残り投資期間に合わせてリスクは下げていく

ただ、そのように畑が枯れてしまっても、投資を始めたばかりであれば、仕切り直しの時間が十分あります。


先ほど言ってたみたいに私はまだ焦る必要は無いんですね。


はい。ただ、年数が経って、資産を活用する段階が近付いてきたら、注意が必要になってきます。


段々リスクを下げていく必要があるんですね。


そうですね。お金が必要になった時に大きめのバブル崩壊がきたら、資産が半分くらいになってしまうこともありますからね。


リスクが高い資産が多いと、引き出すタイミングで資産が大きく変わってしまうんですね。


残り年数が減る毎に取れるリスクも変わってきますので、資産の配分などは見直していく必要があると思います。


でもその時になってちゃんとリスクを下げる配分にすることができるか心配です・・・。


大丈夫ですよ。これから残りの運用期間しっかりとマーケットを見続けていけば、どんな投資先にすべきか分かってきますから。


経験が積み上がっていくことが、ほったらかし投資にしない利点でしたよね。


これから20年30年投資をすれば、暴落を何度か経験すると思います。その時までにしっかりマーケットの動きを見ていけば、あまり痛手を負わないように対応することができると思います。


分かりました!暴落がきてもめげずに経験を積んでいきます!

経験を積むことで乗り換え先を探すことができるようになる

まずは下がっても拠出をし続けて、マーケットをしっかり見ていくことです。銘柄を乗り換えて良いかは状況によりますから、経験を積みながら、状況判断ができるようにしていきましょう。


乗り換えですか・・・。しかし、最初に買う銘柄を探すのも苦労したので、乗り換え先の銘柄を探すのも大変そうですね。


たしかにそうですね。利益を確定するために売った場合でも、その資金をどこに持っていくかは悩みますね。暴落時に一旦売却した場合などは、資産が全部下がっていて、乗り換え先が見つからないかもしれませんし。


もし暴落時に乗り換えるとしたら、その時下がっていない資産が良いんですかね?


資産を活用するまで残りの年数が少なくなってきていれば、その時下がっていない安全資産に乗り換えておいた方が良いですね。一旦利益確定して、現金化しておくのも良いですし。


まだ投資できる年数が残っていて、暴落時にしっかり取り返している銘柄であれば、そのまま持ち続ける選択肢もありですか?


そうですね。過去の実績をしっかり見て、そういった判断をすることは良いと思います。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 資産形成では資産を活用するタイミングの相場だけ気にして、短期の下げは気にしない
- 長期投資を途中で止めてしまう再開が難しくなる
- 20年後、30年後の成長が崩れるようなことが起きれば、銘柄を乗り換えるべき
- 成長性があっても新興市場への一国集中投資は避ける
- 残り投資期間が短くなってきたら投資対象のリスクを下げていく

ありがとうございました。だいぶ不安な気持ちが無くなりました!


そうですか。であれば良かったです。


はい!これからもコツコツ頑張ります!

今回登場したファンド
ファンド名 | レーティング(1年) |
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AM-One
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