チャートの形から価格特性をつかもう!【第10回】

積立投資を始めるために、日々銘柄を見ているN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)ですが、チャートを見てもどれを選んだら良いかが分からないようです。そこで、N商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)に相談に来ました。
目次
価格特性とは投資信託の価格の動き方の特徴のこと

長期で積立をしていく対象には良い実績を残していて、価格が良く動いている銘柄が良いと教えて頂いたじゃないですか。


そうですね。下がる時は市場よりも下がって、上がる時は市場よりも上がる方が積立投資には向いています。


そういった銘柄を探そうと色々な銘柄のチャートを見ているのですが、チャートを見比べてもどれが積立に向いているのかさっぱり分からないんですけど、どうやって見たら良いんですかね。


たしかに銘柄選びは難しいですよね。銘柄には長期積立に向いている銘柄や、下落局面に強い銘柄など色々な特徴がありますが、私はそういった投資信託の価格の動き方の特徴を「価格特性」と呼んでいます。


価格の動き方の特徴を価格特性って呼んでるんですね。それが分かれば、どれが良いか分かってくるんですか?


そうですね。価格特性は投資対象が株式なのか、債券なのか、国内なのか、海外なのか、分配金を出す出さないなど、投資対象と運用手法によって変わってきます。でも、特徴を把握するにあたって、それらを全部分析するのは大変ですよね。


はい、できればもっと楽な方法が良いですね・・・。


そこで、そこまで細かい情報を見なくても特徴を把握できる方法をご説明します。


それは助かります!

価格特性を把握するにはまず自分のベンチマークを持つ

以前、アクティブファンドは目標とする株価指数を上回ることを目標にしているという話しをしましたよね?


たしかセーさんに初めて話しかけた時にそんな話しをしたような気がしますね。


そういった目標とする株価指数をベンチマークといいます。日本株に投資する銘柄であればTOPIX、アメリカ株に投資する銘柄であればS&P500などが設定されています。


銘柄によって変わってくるんですね。


そうなんです。市場平均より上か下かはこのベンチマークとの差を見ていけば分かってくると思います。


市場平均を上回る運用ができているかどうかがベンチマークで分かるんですね。


ただ、銘柄によってはあまり聞いたことも無いような株価指数をベンチマークにしていたり、そもそもベンチマークを設定していない銘柄もあります。


あまり聞いたことが無い株価指数だと何か問題があったりするんですか?


情報ツールなどで比較したくても、比較対象の中にその株価指数の情報が無かったりしますね。


そういった株価指数だと、比較したくてもできないんですね。


そこで私がおすすめするのは、自分のベンチマークを持ってしまうことです。


自分のベンチマーク持つ?それはどういうことですか?


自分で決めたベンチマークと銘柄を比較するんです。ベンチマークとする株価指数は自分が分かりやすくて、メジャーな株価指であれば何でも良いのですが、お薦めは日経平均株価ですね。


全ての銘柄を日経平均株価と比較するということですか?


そういうことです。複数の銘柄を比較する際、それぞれのベンチマークと比較してしまうと、ベンチマーク同士の違いも考えないといけなくなってしまいますし。


でもアメリカ株に投資する銘柄と日経平均株価を比べても、あまり意味が無いんじゃないですか。


価格の動き方を把握するための基準にするだけですので、違う国の指数でも問題はありません。それに、経済がグローバル化した現在では、大きな波としては同じ動きになりますし。


なるほど。大まかな動きを掴むための基準であれば、違う国の指数でも問題は無いんですね。

自分のベンチマークとチャートを比較することで価格特性が分かってくる

では次は具体的に価格特性を見ていきましょう。銘柄を探す場合ですが、まずはある程度期間を決めて、その中でリターンの高い銘柄をピックアップすると良いですね。


実績が良い銘柄の選定は単純にリターンで良いのですね。期間はどのくらいが良いのでしょうか?


期間は短すぎると投資環境の影響を受けすぎてしまいます。ただ、長すぎると銘柄が絞られ過ぎてしまいますので、5年リターンあたりになりますかね。



値段の動きが分かりやすいのは2020年3月のコロナショックのあたりですね。


だいぶ下落幅が大きいですね。


ここの下落幅は日経平均と同率くらい下がっています。ただ、その後は日経平均を大きく上回っていますね。


こういった銘柄は長期積立に向いているんですかね。


そうですね。こういった下がる時には下がって、戻る時にはしっかり上がる銘柄が長期積立には向いていますね。コロナショックはちょっと戻りが早かったですが、もう少し下落局面が長引けば、その間は多くの口数を買えたと思います。次はひふみ投信を見てみましょう。



先ほどに比べると2020年3月の下落幅は小さい感じがしますね。


そうですね。ひふみ投信は下落時に現金の比率を増やすことで、下落率を抑えることができたんだと思います。


この場合は先ほどの銘柄の方が長期積立には向いているんですよね。


そうなりますね。


でも、大きく損するのが嫌という場合はこっちを選んでも良いんですかね。


そうですね。投資信託は良い悪いだけでは無く、自分に合っているかどうかが大事です。実績は残していますから、好みによっては選んでも良いとは思います。さて、次はnetWIN GSテクノロジー株式ファンドですね。



この銘柄は2020年3月もあまり下がっていないような感じがしますね。


そうですね。投資銘柄上位のアメリカのハイテク株がコロナショックの影響をあまり受けなかったことが大きいかもしれませんね。


この銘柄は市場の影響よりもアメリカのハイテク株の動き次第なんですね。


そうですね。アメリカのハイテク株の値動き次第という価格特性になるのでしょうね。

まとまった資産ができると価格特性がより重要になる

最初の日本新興株オープンは下落局面には下げて、上昇局面には大きく上がる可能性がある銘柄で、ひふみ投資は下落にある程度強くて、上昇局面にもある程度上がると。netWIN GSテクノロジー株式ファンドは市場よりも、アメリカのハイテク株の影響が大きい。こんな感じが価格特性になるんですかね。


まずざっくりと把握する価格特性としては、それで良いと思います。


私はこの中だったら、日本新興株オープンを選ぶのが良さそうですね。


そうですね。そして、もう少し資産が貯まってリスクを抑えたいと思ったらひふみ投信を選んでも良いですし、資産形成が終わって活用する段階に入ったら、日経平均より値段の動きがなだらかな銘柄を探していくと良いですね。


そういった価格特性は全て日経平均と比較していけば良いんですね。


そうですね。価格特性を見る際に重要なことは、自分で決めたベンチマークに対して、勝っている負けているを見ることではありません。日経平均にした場合、日経平均よりも価格変動が大きいのか、小さいのか。日経平均が上がる時に一緒に上がるのか、上がらないのか。分かりやすい指標と比較することで、値段の動きの特徴が見えてきます。


勝っているから良いでは無くて、自分が求めている動きに近いかを探すのですね。


つい銘柄は値段が上がっている下がっているで判断しがちですが、自分に合った銘柄を見つけることができるようになると思います。

リスクの数が多いからといって、価格変動が大きいわけでは無い

それから、自分のベンチマークと比較して色々な銘柄を見ていると、色々と気付くことがあると思います。


例えばどんなことでしょう。


海外株の方が為替のリスクがあるので、日本株よりリスクが高くなると一般的には言われています。しかし、1つの軸を持って価格変動を確認してみますと、外国株だから必ずしも日本株より価格変動が大きいということは無いことが分かります。


たしかにさっき見たアメリカ株の銘柄も値動きはなだらかでしたね。自分のベンチマークを軸にして比較すれば、そういったことが分かってくるんですね。


この資産にはこのリスクとこのリスクがあると並べてみても、実際にどのくらい価格変動が大きくなるかは相当な知識、経験を積んでいかないと分かりません。それよりも自分の中でのベンチマークを持って、価格の幅と動くタイミングを比較するの方が分かりやすいと思います。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 価格特性とは銘柄毎の価格の変化の特徴
- 自分が値動きを把握しやすい株価指数を自分のベンチマークとして決める
- 自分のベンチマークと比較することで、価格の動き方の特徴を掴む
- まとまった資産ができると、価格特性を掴むことはより大事になる
- リスクの数が多いから価格変動が大きいわけでは無い

よし!今日から自分の軸となるベンチマークを決めて、価格特性を把握できるようになっていきます!


頑張ってください!


あれ、ふと思ったんですけど、投資信託の価格って、正式には基準価額だって言ってませんでしたっけ?価額特性じゃなくて良いんですか?


ま、まぁ言い方は気にせずに、言いやすい方でいきましょう!大事なことは自分にあった投資信託を見つけることです!


何か誤魔化された気もしますが、分かりました!

今回登場したファンド
ファンド名 | レーティング(1年) |
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日 興
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G S
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レオス
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