積立ててほったらかしは厳禁!経験も積み上げていきましょう!【第13回】

N商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)は積立投資を始めたことをN商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)に報告に来ました。投資を始めて浮かれるハルちゃんに対して、セーさんは伝えたいことがあるようです。
目次
積立開始後もウォッチを続けて投資経験を積む

セーさん!聞いてください!ついに積立を開始しました!


おぉ、そうですか。ちなみに販売会社はどこにしたんですか?


セーさんに教えてもらうことができるので、対面で相談する必要は無いかなと思って、ネット専業の証券会社にしました。違う銘柄を買いたくなった時にも、品揃えが多い方が良いですし。


なるほど。良いんじゃないですかね。積立対象はどんな銘柄にしたんですか?


迷ったんですけど、やはり世界の経済の中心の米国が良いと思い、S&P500のインデックスファンドにしました。


ふむふむ。良いんじゃないですか。


いや~、セーさんのおかげでついに投資を開始することができました!後は毎月の積立で資産が貯まっていくのを待つのみですね。


ちょっと待ってください!


えぇ!何かだめなこと言いました!?


投資を開始して達成感があるとは思いますが、ハルちゃんはまだ投資のスタート地点に立ったばかりです。待っているだけでは無く、定期的に保有銘柄の状況やマーケット環境をウォッチしていかないと、投資経験は積み上がっていきませんよ。


そうでした。ほったらかしはだめでしたね。しっかりウォッチしていきます!

積立を始めた後も臨機応変な対応が必要

しかし、最近は初心者向けの投資に関する情報が増えてきましたが、まだ始めるまでの情報が多くて、積立を始めてからの情報が少ないように感じています。


たしかに今までセーさんに教わった、月次レポートを見るべきとか、ある程度資産が貯まったらドルコスト平均法の効果が薄れてくるとか、そういったことってあまり目にしないかもしれませんね。


スポーツに例えれば、積立開始はまだ開幕戦のメンバーを決めただけです。1年を通して試合をしていく中で、選手の不調や怪我によるメンバーの交代、相手チームに合わせた作戦の見直しなど、臨機応変に対応していかないといけません。投資信託も同じように状況を見ながら対応していく必要があるはずです。


いくら最初にしっかり考えても、途中の対応もやらないと、優勝はできないということですね。


そうですね。例えば想定していた価格の動きと違ったり、運用方針が変わってしまって保有する目的を満たさなくなったりした場合には、銘柄を見直していく必要がありますね。

自分が感じている経済状況と価格を比較して感覚を養う

ところで、ハルちゃんも学生生活ではたくさん知識や経験を積んできていると思います。でも、現場レベルの仕事で使える知識というのは、会社に入って初めて覚えることができたと思います。


そうですね。まだまだ覚えることばかりですが。


投資に関しても今まで勉強してきましたが、やはり投資を始めないと分からない知識がたくさんあります。これからはそういった知識を身に付けていってもらいたいですね。


仕事は先輩から教えてもらうことができますが、投資はどうやって勉強していくべきでしょうか?月次レポートを見る以外にもありますか?


そうですね。まずは、今ハルちゃんが働いている中で、会社の売上や経営状況、取引先からの発注状況などを通して、自分の身の回りの経済の状況が良い方向に向かっているか、悪い方向に向かっているかを感じているところはあるかと思います。


自分の分かる範囲での経済状況ですか。多少は感じているところがあると思います。


株価は経済状況の先行指数として動いていると言われますので、自分で感じている経済の状況に対して、保有している資産がどう動いていくか比較することを続けてみると、1つの経験になると思います。


例えば自分が経済状況が良くなっていると感じた時に保有資産の価格が上がっていれば、自分の感覚が合っているということですか。


そうですね。価格を確認する時には上下に一喜一憂するのではなく、価格が向かっている方向性と自分が感じている経済の方向性が合っているかを確認してください。


分かりました!


それと、仕事を通じた部分以外でも、普段見ているニュースやスーパーの売れ筋商品、テレビCMをよく行っている企業などを通して、分かることは多いと思います。常にアンテナを張っておくことが大事ですね。

他の投資家の思惑がどう株価に反映されるかを常に考える

次のステップとして、他の投資家たちの思惑を考えていくと良いと思います。


他の投資家がどういったタイミングで買ったり売ったりするかですか?


そうですね。例えばアメリカ大統領選挙では、国民は自分たちの生活を良くしてもらえると思う方に投票したいので、経済対策は重要な論点になっていきます。


たしかに前の大統領選でもお互い経済対策を色々と打ち出していたような記憶がありますね。


その際、株価は投票前の時点で優勢な候補者の経済対策を織り込んで動いていきます。


その経済対策が実施することはほぼ間違い無いので、対策が実施された後のことを期待して、みんな投資をしていくんですね。


そのため、予定通り優勢な候補が当選したとしても、その後に特に株価は上がらなかったりもします。


経済対策が発表された時点でみんな買っているから、当選が決まっても特に上がらないんですね。


もし優勢と思われていなかった候補が当選した場合には失望で下がります。ただ、今度は新しい候補の経済対策が再評価されて株価に織り込まれていきます。


なるほど。投資家の感情が価格に反映されたりもするわけですか。難しいですね。


そうなんです。初心者のうちは価格の動きを読むのは難しいんですよね。ニュースや企業の決算の内容と価格を見比べてながら、他の投資家がどういった思惑で売買しているかを考えていくことで、経験を積んでいくしかないですね。

インデックスの見通しはマクロ視点で見る

決算に関しても、好決算を発表した企業の株が売られたりしますからね。


好決算の企業が売られてしまうのはなぜなんですか?


先ほどの経済対策と同じように、決算の予想値が出た段階で株価に織り込まれてしまうんです。そのため、実際の発表の際に新しい材料が無いと売られてしまうんです。


なるほど。基本的にサプライズが無い場合には、事前の情報で動いていくんですね。


そういったことが集まってインデックスが出来ているんです。インデックスは簡単なようで、複雑な数字の積み重ねでできているんですね。


でもそれを一つ一つ見ていくのは無理ですよね。


そうですね。個人で企業の動向を積み上げて市場全体を把握するのは不可能です。個別の情報から見ていくのがミクロ、全体的な視点をマクロといいますが、インデックスの動きを見通すにはマクロ視点で見ていく必要がありますね。


マクロ視点といいますと、やはり経済のニュースなどから全体の動向を見ていくしかないんですかね。


そうなりますね。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 投資開始はスタート地点。始めた後もウォッチを続けて経験を積む
- 積立を開始した後も状況によって臨機応変に対応をする
- 自分が感じている経済状況と価格を比較することで経済感覚を養う
- 他の投資家の思惑がどう価格に反映されるかを考えることでマーケットの見通しを立てれるようにする
- インデックスファンドを見通す際にはマクロ視点で見る

またスポーツの例えで恐縮ですが、開幕戦に勝った負けたは最終的には影響は小さいです。開幕戦は戦力の確認や新しいメンバーが経験を積むことが大事です。ハルちゃんも今はまだ得した損したよりも経験を積んでいくことが大事ですよ。


分かりました!焦らずに経験を積んでいきます。


基準価額が下がっても、今持っている分は下がりますが、その分安く買えますし。


一喜一憂せずに投資していきます!
