積立を続けるだけで良いの?5年・10年で点検しましょう!【第15回】

積立している銘柄の価格が下がり続けているN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)ですが、N商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)から長期投資では短期の下げは気にする必要は無いと言われ、むしろ浮かれています。そんなハルちゃんにセーさんは説明したいことがあるようです。
目次
積立も万能では無いので、過信しすぎは禁物

フフフ・・・。


一人でニヤニヤしてどうしたんですか・・・?


あっ!セーさん!実は積立している投資信託の価格がどんどん下がっていってるんですよ。先日短期の下げは気にしなくて良いと教えて頂いたじゃないですか。ということは、どんどん買うことができる口数が増えていっているので、将来が楽しみだなぁと思いまして。


なるほど。それは楽しみですね。


いや~ほんと積立を考えた人は素晴らしいです。積立は最強ですね。


ちょっと待ってください!


え!?何かまずいこと言いました?


積立をあまり過信しすぎるのも良くないと思いますよ。


そうなんですか。過信してはいけないのはなぜなんですか?


理由としては、まずは積立を続けていくと、いずれは資産が大きくなってドルコスト平均法による価格平準化の効果が落ちていきます。


そうでした。貯まってきた資産の方が大きくなると、保有資産の価格の上下の影響が大きくなってきてしまうんでしたね。


それから、投資先の市場が成長していかなければ、長期積立でも利益を得ることはできません。


下がり続ける市場では、いくらドルコスト平均法を活用した積立でもだめなんでしたね。

積立によって貯まった資産をどうするか、点検する必要が出てくる

積立に関して、今でこそ長く続ければ利益が出ますよと言えますが、同じことを市場が低迷していた2008年や2009年の頃に言えたかといえば、言えなかったと思います。


市場が右肩上がりに成長していないその頃では、積立をしておけば間違いないとは言えなかったんですね。


ここ数年で展開している積立に関する話しはバラ色すぎると思うのです。それから、積立を続けていった先には自分で考えないといけない場面が必ず出てきます。


増えてきた資産をどうするか考えないといけないんですね。


積立に関する話しの中で、拠出し続けないといけないところは間違っていませんが、貯まった資産をどうするのかが話しに挙がっていないと思います。まだ上がっていない銘柄に乗り換えるのか、リスクを抑えた銘柄にするのか、点検する必要があると思います。


私もずっと同じ銘柄で良いのか、どこかで考えないといけないんですね。


そうですね。どこかで立ち止まって考えるべきです。最初はドルコスト平均法による価格平準化の効果が大きいので、とにかく積立を続けておけば良いと思います。


資産が貯まったら、点検するんですね。


そうです。使う予定がある分はリスクを抑えたり、リスクを取れる分はこれから上がりそうな銘柄に変えたりなど、自分のライフサイクルに合わせた資産運用を検討していく必要があると思います。


分かりました!

低迷市場での積立は利益が出るまで非常に時間が掛かる

今言った話しを実感してもらうために、私が作ったグラフを見てください。


これはどういった内容のグラフなんですか?


バブルの頂点の1989年末を10000として、日経225を指数化してみたものです。



バブルの頃からはこんなに下がってるんですね。


そうですね。一番下がった時には5分の1になっています。2020年頃は6割くらいまで戻っていますね。



次は1989年から月に1万円の積立をした場合のグラフです。オレンジの線が積立をした金額で、青は積立した金額の評価額です。バブル崩壊から積立を始めていたとしても、2013年以降はプラスにはなっていますね。


たしかにプラスになっていますね。でもけっこう長い期間マイナスなんですね。


そうですね。途中では瞬間しか儲かっていないですね。2007年のリーマンショックや2011年の東日本大震災を底にして、やっと上昇していっています。


安定してプラスになるにはだいぶ時間が掛かるんですね。


積立を長く続けていれば利益が出ると言いますが、利益が出るまでにこのケースだと23年間掛かっているわけです。40歳から始めた場合、60歳になってもまだマイナスなわけです。


それはだいぶ辛いですね・・・。


20年間も続けてマイナスですと、精神的にも相当しんどいですよね。積立はその分を使わずに将来の為に辛抱しているわけですから。


20年間マイナスだったら、積立をやめたくなりそうです。


2012年からプラスになりますが、これは2012年を底に日経平均が上昇に転じたことと、お金を投入し続けて資産が大きくなったことによる影響ですね。

始める時期が良くても、相場の影響は無視できない

まぁバブル崩壊から始めるのは最悪のケースですから、次は1994年に始めた場合と1999年に始めた場合も見てみましょう。




どちらも利益が出るようになるのは同じ時期くらいなんですね。


そうなんですよ。どの期間で始めても2012年頃にプラスになります。


それはなぜなのでしょうか?


繰り返しになりますが、やはり5年、10年と積立をし続けていきますと、積立額よりも資産額が遥かに大きくなっていきます。そうするとドルコスト平均法の効果が無くなってきて、相場の変動による資産の変動が大きくなっていくのですね。


開始する時期が違っても、2012年以降の上昇相場の影響が大きいんですねぇ。


そうですね。資産が大きくなるほど相場の影響は大きいですからね。100万円の10%と500万円の10%では当然動く金額が違いますから。


相場が下がった時、最初の頃なら安く買えるから良いやと思えても、だんだんそうは言っていられなくなるんですね。


そうですね。資産が貯まってきたら、今度は貯まった資産の運用という部分も考えていかないといけませんね。


ただ積立を続けていれば良いというわけじゃないんですね。


序盤はしっかり続けることを考えれば良いですが、中盤、終盤になってきたら、資産の運用部分が大きくなってきますから、将来に向けた準備はしておかないといけないですね。


そのためにもほったらかしにせず、知識をつけていかないといけないんですね。

銘柄乗り換えは常に考えておかないといけない

積立に関して最近では色々な情報が出ていますが、積立と貯まった資産の運用という行為を一緒くたに説明してししまっている部分があると思うんです。


たしかに長期・積立・分散を続けていくべし!という説明がメインになっているかもですね。


積立最強論のような感覚に寄ってしまっていて、乗り換えは金融機関の食い物にされるからだめという意見が強いです。その影響もあってか、つみたてNISAは購入済みの分は銘柄が変えられない仕組みになっていますよね。


たしかにそうですね。


でも銘柄の乗り換えが必要になる可能性は常に考えておかないといけません。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 積立であれば絶対に儲かるわけではないので、過信しすぎない
- 積立を5年10年と継続していくと、ドルコスト平均法による効果が薄れてくる
- 積立を開始して、序盤は続けることを考えれば良い
- 中盤、終盤になってきたら、貯まった資産の運用を検討していく必要がある

そうなると、5年続けたら、結婚資金用のお金はバランスファンドに乗り換えようかな・・・。


そうですね。そのように途中でしっかり資産と向き合って考えていきましょう。


あれ、その前に結婚相手を見つけろとか突っ込まないんですか。


いやいや、若いハルちゃんの可能性は無限大ですから。その可能性を潰さないためにも、しっかり資産運用をしていきましょうね。


はい、頑張ってもっと勉強します!これからもよろしくお願いします!
