備えてなくても憂い無し?金鉱株ファンド活用法【第2回】

どうやら元証券マンの瀬山(通称セーさん)のパソコンがウィルスに感染してしまったようです。無事パソコンに強いN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)が解決しましたが、ハルちゃんはこのトラブルから投資に関するある言葉を思い出しました。
目次
金関連ファンドってどんな投資信託?

いや~驚きました。トラブルを解決して頂いてありがとうございました。


いえいえ。あ、トラブルと聞いて思い出したのですが、この間インターネットで投資の勉強をしていたら、”有事の金”という言葉が出てきたんです。有事はトラブルや問題のことだと思うのですが、なぜそういう時は金なのですか?


金は実物の資産で、価値が下がりにくいことから、安全な資産と考えられてきました。そのため、経済危機など大きな問題が起きた時には、株式などを売って金を買うということが起きるので、有事の金という言葉が生まれました。


なるほど。ちなみに金に投資する投資信託なんてあったりするんですか?


はい、投資信託で金に投資することもできますよ。


先日投資信託には色々な種類があることを教えて頂きましたけど、金に投資することもできるんですね。


助けて頂いたお礼に少しご説明しましょうか?


はい、お願いします!


まず、金に投資する投資信託といった場合には大きく分けて2種類あります。


種類があるんですか。24金と純金とかですか?


いえ、株式に投資している投資信託とそれ以外の投資信託です。


え?え?ちょっと待ってください。金に投資する投資信託なのに株式に投資してるってどういうことですか?


金に直接投資しているわけではなく、金を採掘している会社や金の鉱山を保有している会社の株式に投資をしているんです。そういった会社を金鉱株と言いまして、金鉱株に投資する投資信託を金鉱株ファンドと言います。


なるほど。でも実際の金を買うのとは、だいぶ違う値段の動きになりますよね?


いえ、金鉱株は金の値段と連動性が高くて、近い値段の動きをしますね。


そうなんですか!何で同じような動きになるんですか?


金の値段は上下しますが、金を採掘するための費用は大きく上下はしません。そのため、金の値段が上がれば会社の利益も上がりますし、金の値段が下がれば利益も下がるからです。


金の値段が会社の業績に与える影響が大きいので、結果的に同じような値段の動きになるのですか。


そうですね。ただ、株式への投資なので、金と同じような動き方はするものの、値段の幅は金よりも大きくなります。


大きく値段が動くんですか。何かさっき言っていた安全資産とは少しイメージが違いますね。金に投資することに比べてメリットなどはあるんですか?


メリットとしては、有事が起きて相場が荒れている時に上手く利用すれば、大きな利益を狙える点ですかね。


やはり資産を守るというよりは利益を狙う商品なのですね。逆にデメリットはあるんですか?


大きく利益を狙えるということは損する可能性もあるということなので、ハイリスクハイリターンになる点ですかね。それと、たくさんの会社に投資をしていますから、コストが高くなってしまいます。


コストと言うのは買う時の手数料とかですか?


いえ、信託報酬という投資信託の管理に必要となるコストです。信託報酬は商品毎に決まっていて、投資信託の保有する資産から差し引かれていきます。


その信託報酬が金だけに投資する商品に比べて高くなってしまうんですね。


そうですね。ただ、信託報酬が高くてもその分値段の幅が大きいので、上手く利用すれば利益は出しやすいですよ。

金鉱株ファンド以外の金関連ファンドの内容とは?

そういえば先ほど株式に投資する投資信託とそれ以外っておっしゃってましたよね。それ以外というのは金を直接買うわけじゃないんですか?


はい、直接金は買わないのですが、金の先物に投資したり、金に連動するETFに投資することで金の値段とほぼ同じような動きをするようになっています。


先物?ETF?また知らない言葉が出てきました・・・。


先物はちょっと難しいので、いずれ説明しますが、ETFは上場投資信託と言いまして、株式みたいに市場で売り買いをする投資信託のことです。


株式みたいに売り買いする投資信託・・・分かったような分からないような。これ以上聞くと余計深みにはまりそうなので、とりあえず納得しておきます。


先ほど信託報酬の話しが出ましたけど、たくさんの会社の株を管理しないといけない金鉱株ファンドに比べて、先物なら金の先物を買うだけ、ETFなら金ETFを買うだけだと手間は掛からないので、信託報酬は低くなります。


手間が掛からないと管理も楽になるから、信託報酬は低くなるんですね~。


ただ、先ほども言いましたように、信託報酬の差は値段の幅に比べたら小さいので、金鉱株ファンドに投資する方がリターンが高くなることが多いですね。


金鉱株に投資する投資信託と金の先物やETFに投資する投資信託で実際どのくらい変わってくるんですかね。


じゃあせっかくパソコンを直して頂いたので、情報サイトで比較してみましょう。


お願いします!



たしかに金鉱株の方が値段の動きが激しいですね。


そうですね。方向性は一緒ですが、幅は大きく差が出ますね。

有事に備えた金関連ファンドの長期保有は有り?

将来何か起きた時のために、金の投資信託は持っておいた方が良いんですか?


私は金の投資信託は長い期間は持たない方が良いと思っています。


それはなぜですか?


先ほど言いましたように、投資信託を保有している間は信託報酬というコストが掛かります。金ETFに投資する場合、さらにETF側にもコストが掛かります。


ETFを売ったり買ったりを管理するコストとETFも投資信託だから、そっちでも売ったり買ったりを管理するコストが掛かるんですか。



ほんとですね。ほぼ同じような動きをしていますね。


では次に期間を5年間に延ばしてみましょう。



あ、金に比べてだいぶリターンが下がりましたね。


5%以上得られるリターンが変わっていますが、これはコスト分の差となります。現物の金を買うよりも投資信託の方が手軽に少額から買えるというメリットもありますが、長期間持つ場合には差が大きくなっていってしまいますね。

金関連ファンドの活用方法とは?

金の投資信託は長く持ってしまうと実際の金を持つよりも損をしていくということなんですね。


そうですね。それと、投資信託でも現物でも、私はそもそも金自体が長期の資産形成には向いていないと思っています。


それはなぜですか?


まず金というものは株などと違って成長資産ではありません。


成長資産って何ですか・・・?


株でしたら、投資先の会社が収益を稼いだり、会社が大きくなっていくことで、会社自体の価値が上がっていきます。そういった資産を成長資産と言います。


でも金も値段が上がったりするんですよね。それは成長とは違うんですか?


金の値段の動きはそれを買いたい人、売りたい人のどっちが多いかなどで動いているだけで、金自体の価値が上がっていっているわけでは無いんです。


なるほど。あくまで周りの影響で値段が動いているだけということなんですね。


金を持っていると、たしかに〇〇ショックなどの際には資産を守る効果があるかもしれません。しかし、長期間投資していくのであれば、〇〇ショックの後に経済が立ち直っていく中で、成長資産であればまた元の値段に戻っていきます。


一旦は下がってしまっても、成長資産ならまた成長して値段が元に戻っていくんですね。


そうです。株であれば先ほど言いましたように成長していきますし、債券であれば利金が積みあがっていきます。でも、金は値動きは安定しているものの、あまりお金が増えていかないので、長く持ってしまうのは勿体無いと思います。


金投資は長期の資産形成には向いていないということですね。では逆にどんな時に活用すべきですか?


やはり何か問題が起きそうな場面で保有するのが良いですね。2020年のコロナが流行りだしてきた時のような、嫌なニュースを見て不安な気持ちになったら、保有している資産を一部売却して金を購入しておくと良いかもしれませんね。


なるほど。長期に持たない方が良いということは、それでまた経済が落ち着いてきたら金を売ると良いんですか?


そういうことです!落ち着いたところで金を売って、安くなっている成長資産を買うことで、中長期の資産形成をより良くさせることができると思います。


でも落ち着いたかどうかについて、しっかりアンテナを張っていないと判断が難しそうですね。


そうですね。ニュースや値段のウォッチは必要ですし、資産の移動などもさせないといけないですね。でもそういった手間を惜しまなければ、収益の向上が期待できますね。

まとめ

なるほど。また色々と教えて頂いてありがとうございます。今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 金ファンドには金鉱株ファンドと金関連ファンドの2種類があり、価格変動率が大きく異なる
- 投資対象としての金は成長資産では無いので、長期の資産形成には向かない
- 金を活用するのであれば、相場に不安を感じた時に短期的に保有する

ウイルスに感染するのが怖いからと言って、パソコンを使わないと業務の効率が悪くなるように、心配しすぎるのは良くないということですね。


そうですね。感染してから考えれば良いですね。


セーさんはもう感染してますけどね。


気を付けます。。。

今回登場したファンド
ファンド名 | レーティング(1年) |
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三菱UFJ国際
三菱UFJ純金ファンド(ファインゴールド) |
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ブラックロック
ブラックロック・ゴールド・ファンド |
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