運用知識向上の第一歩!月次レポートの正しい読み方とは?【第8回】

業務が終わり、日報を書いているN商事社員の福山 春雅(通称ハルちゃん)のところに、N商事特別顧問で元証券マンの瀬山(通称セーさん)がきました。
ハルちゃんは日報に書くことが無いとセーさんに愚痴っていましたが、セーさんに聞きたいことがあったことを思い出しました。
目次
運用報告書と月次レポートなら月次レポートをチェックすべき

そういえばセーさんに聞きたいことがあったんですけど、今大丈夫ですか?


はい、何でしょう。


この間運用報告書について教えて頂いたので、インターネットで見ていたんですけど、月次レポートというのも掲載されていたんです。運用報告書とは何が違うんですか?


まず、運用報告書は半期毎に作成されますが、月次レポートは名前の通り毎月作成されます。


じゃあ月次レポートの方が頻繁に新しいものが作成されるんですね。


そうですね。それと、運用報告書の方が情報量は多いですが、情報の鮮度が無いので、どちらかと言えば月次レポートの情報をチェックした方がためになりますね。


なるほど。ちなみに月次レポートにはどんな情報が載ってるんですか?


ルール上決まっているのは、価格の推移や、3年、5年の騰落率、資産配分の状況、投資上位銘柄の内容などですね。あとは運用会社によってプラスアルファの内容が記載されています。

月次レポートは書かれている文章が大事

月次レポートは銘柄の選定時にも参考になりますが、購入してからも毎月10分だけで良いから是非目を通してほしいと思います。


月次レポートを読んでおくと、どんなことが分かるんですかね?


毎月読むことで、マーケットがどのように変化していっているかを把握することができます。そういった知識を持つことで、今後のマーケットの変化にも対応できるようになっていくと思います。


どういう形で変化していくのかが分かると、今後の予測などもしやすくなるんですね。


それから、対象の銘柄と関係の無いマーケットのことは書いていませんから、この銘柄はこのマーケットの影響を受けるんだということが、分かってくると思います。


なるほど。経済のニュースなどを見た時に、自分の保有銘柄に影響あるかが分かるようになりそうですね!


チャートなどはWebサイトを見れば分かりますから、月次レポートは文章の部分が大事になると思います。


文章をよく読んでみます!

月次レポートの内容は銘柄選定の判断基準にもなる

運用会社によってプラスアルファの内容があるというのは、どんな内容なんですか?


海外に投資していれば為替の情報を入れていたり、バランスファンドなら投資先毎の指数の情報が入っていたりしますね。


補足情報みたいな感じなのですかね。あった方が分かりやすそうですね。


でも中には聞いたことも無いような海外の指数とか、あまり役に立たない情報もあるんですよね。


そうなんですか。私はそれを見て分かったつもりになってしまいそうですが・・・。


それと、いくつかコースが分かれているのに、全部のコースを一つのレポートにまとめてしまっていたりするケースもありますね。


ちょっと手抜きな運用会社もあるんですね。


そうですね。月次レポートがだめだからといって、必ずしもリターンが悪いわけではありませんが、月次レポートが分かりやすい方が継続して投資するかの判断がしやすいと思います。


どんな方針で運用しているかちゃんと分かった方が、安心して投資できますよね。


どちらの銘柄にするか迷った場合に、月次レポートが分かりやすい方を選ぶのも一つの判断基準になるかもしれませんね。

レポートを読んでおくべき、おすすめの運用会社を紹介

月次レポートが分かりやすい方を選ぶですか。運用会社によって、書き方とか内容はだいぶ違ってくるんですかね?


そうですね。運用しているファンドの本数が少なくて、直販も行っている運用会社の月次レポートは内容が充実していて、読んでみる価値はあると思います。


直販というのは運用会社が投資信託を直接販売していることですかね。なぜ直販をしている会社はおすすめなのですか?


そうです、直販は直接顧客に販売している会社ですね。直販を行っている会社は、運用会社であってもセミナーなどを開催していて、直接投資家の声を聴く機会が多いですから、投資家が欲しい情報をプラスアルファの部分に上手く盛り込めていることが多いです。


へ~証券会社や銀行だけじゃなく、運用会社もセミナーを開催したりするんですね。


具体的な運用会社としては、ひふみ投信を運用しているレオス・キャピタルワークスのレポートはしっかり書かれていますね。運用している投資信託が少ないのもあるかもしれませんけど、充実した内容になっています。


ひふみ投信は聞いたことあります。後で読んでみます!


あとはコモンズ投信やファイブスター投信などもコメントの内容が充実していますね。それと、ピクテ投信投資顧問のピクテグローバルインカムのレポートも、毎月の変動要因が詳細に書かれているので、分かりやすいですね。


ピクテグローバルインカムってどんな銘柄なんですか?


世界の高配当利回りの株式に投資しています。1年決算型もありますが、毎月分配型の方が有名ですね。


毎月分配型って毎月分配金がもらえる投資信託でしたっけ?


そうです。毎月分配ファンドに関しては、投資信託が保有している資産から配当金などの収入がどれだけ入ってきているかが把握できる内容になっていると良いですね。


収入が把握できるとどういった点が良いんですか?


収入に対して払いだされる分配金が多いと、投資信託の資産が減って、価格も下がっていきますよね。なので、収入と分配金の差が把握できた方が持っていて安心感がありますよね。


分配金を多く払っているから値段が下がっているのか、投資先が良くないから下がっているのかは分かっておいた方が良さそうですね。


ちなみに株式の配当や債券の利金など、安定的に受け取れる収入のことをインカムゲインといいます。これから投資の勉強をしていると出てくると思いますので、覚えておいてください。


インカムゲインですね。覚えておきます!


あとはテーマ型ファンドであれば、そのテーマに関する状況をしっかり書いてほしいですが、東京海上アセットマネジメントの月次レポートはよくまとまっています。


良い月次レポートを書いている運用会社はたくさんあるんですね。

脱初心者のために月次レポートで投資の勉強をするべき

逆にだめなレポートが多い運用会社もあるんですか?


そうですねぇ。大手の運用会社は内容が薄くなりがちですね。


大手の内容が薄くなるのは本数が多いからですかね。


それを言い訳にしてほしくないですが、その理由が大きいでしょうね。先ほども言いましたように、複数コースの投資信託をまとめて一つのレポートにしていたりします。そうなると、自分が見たい内容以外の情報が増えてしまうんですよね。


自分が持っている投資信託にとって大事な情報が、どれかが分かりにくくなってしまうんですね。


あとは運用会社がというより全般的にですが、インデックスファンドのレポートも充実していないことが多いですね。指数と連動させることが大事なので、書くことがあまり無い部分もあるかもしれませんが。


インデックスファンドは本などでよく投資初心者にお薦めされているので、インデックスファンドのレポートが充実していないのはちょっと残念ですね。


そうですね。まずはインデックスファンドへの投資を始めて投資の知識を得ようということはよく言われていますが、インデックスファンドの月次レポートではあまり勉強できませんね。


でも最近はインデックスファンドでほったらかし投資をする方も増えてそうですので、そもそも月次レポートを読まない方も多いかもしれませんね。


私は個人的にはほったらかし投資は良くないと思っています。ほったらかしにしてしまうと、初心者の方は結局ずっと初心者のままになってしまいますから。


たしかにほったらかしだと、知識や経験は増えていかないですね。


積立をしているだけであれば良いのですが、今後まとまったお金が入るかもしれませんし、将来退職金をもらったりするかもしれません。その時に大きなお金を初心者のまま運用するのは危険だと思うのです。


私も今まとまったお金が手に入っても、何に投資をすれば良いか分からないですね。まぁ手に入る予定もありませんが・・・。


長期の積立で資産を増やすように、知識も少しづつでも長期間蓄積すれば、将来大いに役立つと思います。ほったらかしてしまうのはもったいないですね。


資産と一緒に知識も増やしていければ、将来の不安も減っていきそうですね。


投資をする場合は最低限現在のマーケットの状況を把握しておく必要があると思います。アクティブファンドのレポートであればマーケット全体の知識やマーケットを構成している主要銘柄の情報なども網羅していますので、まずはアクティブファンドの月次レポートを読んでみることが投資知識向上の第一歩になると思います。


分かりました!まずはさっきおすすめして頂いた運用会社のレポートを読んでみます!


そういえば、先ほどインデックスファンドは充実していないと言ってしまいましたが、信託報酬が安い分、月次レポートが充実していないのはしょうがない部分もあるかもしれませんね。


信託報酬とレポートの充実度は関係あるんですか?


レポートの作成に掛かるコストも信託報酬の一部ですから。ローコスト競争の現状ですと、自動作成のような内容にならざるを得ないのでしょうね。


コストを下げるために、なるべく労力を減らす必要があるんですね。アクティブファンドの方が信託報酬は高いんでしたっけ?でもアクティブファンドでも手抜きな月次レポートはあるんですよね?


アクティブファンドなのに内容が薄いものや、見ても良く分からないような月次レポートであれば、コストに見合っていないと言えますね。一番大事なのはリターンとはいえ、月次レポートがあまりにも手抜きなアクティブファンドは避けた方が良いかもしれませんね。

まとめ

今日教えて頂いたことをまとめますと・・・

- 情報の鮮度が無い運用報告書より、月次レポートをチェックすべき
- 月次レポートの記載内容はルールで決まっているが、会社によってはプラスアルファがある
- 購入する銘柄に迷ったら、月次レポートを読み比べて判断するのも一つの手
- ほったらかし投資では投資知識は向上しないので、まずは月次レポートで知識をつける
- 月次レポートの内容はインデックスファンドより、アクティブファンドがお薦め

月次レポートは銘柄の内容とマーケットの状況を両方とも学べますし、作成している運用会社の投資姿勢も感じることができますし、銘柄選定にも投資知識向上にも非常にお薦めです。


本当に月次レポートで色々なことが分かるし、学べるんですね


そうですね。是非活用してください。


・・・そうなると、私の評価が毎回最低ランクなのは日報を適当に書いているせいもあるんですかね。


それは否めませんね・・・。


日報書き直します!

今回登場したファンド
ファンド名 | レーティング(1年) |
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ピクテ
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レオス
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