なぜJTB・リクルート社員はタワマンより「流山おおたかの森」だったのか…何もない所が20年で人口増加率1位
タワマン文学でよくネタにされている流山市。人口増加率は全国の市町村の中で6年連続1位を獲得しており、ネタにされるのが不憫(ふびん)なほどの実力を備えている自治体だ。
そんな流山市の魅力の秘訣を「住民が自ら街を作っていこうとする心構えにある」と、不動産評論家の牧野知弘氏は語る。
わずか20年前の流山は、本当に「何もない」ところだった
今回ご紹介する「私が住んでみたい街」は千葉県流山市です。流山市は千葉県の北西部、東葛エリアにある街で人口は約20万人。面積35.32平方キロメートルの小さな街です。東京都心からは20kmから30kmほど。都心30km圏といえば、東から千葉、柏、大宮、立川、町田、横浜といった首都圏を代表する大規模都市が林立しています。
これまで流山市が注目されてこなかったのは都心への交通利便性に原因がありそうです。流山市と私にはこれまで一度だけご縁がありました。1989年ごろ、当時分譲マンションを買おうと物件を物色していた私は、流山市内で分譲予定の新築マンションのモデルルームを見学しに出かけたのです。
大田区の賃貸マンションに住んでいた私は、上野駅まで京浜東北線で向かい、上野駅から常磐線に乗車。「馬橋」という駅で下車して流山電鉄に乗り換えました。終点の流山駅から徒歩10分ほどのところにある大手デベロッパーが分譲中のマンションでした。
当時はバブル絶頂期。新築マンションの価格は月を追うごとに値上がり。お目当ての住宅を申し込んでも競争率が数十倍になることはざら。100倍を超す物件に出会うことも珍しくない時代でした。