HR王争い独走の大谷翔平「運を拾っている」…心理学者が語る「大谷の3つの運の引き寄せ法則」&勝ち続ける男「魂の言葉集」12
メジャーリーグで早くも2年ぶりのMVP受賞が噂されている大谷翔平選手。そんな大谷選手は、どのように「運」を掴みとってきたのか。プレミアム「勝ち続ける人の『運の引き寄せ方』」第1回は、臨床スポーツ心理学者で、数十年にわたり一流アスリートを分析し続けてきた児玉光雄氏にうかがった。
目次
運は変えることができる
いまスポーツ界でもっとも注目されているのは、メジャーリーガーの大谷翔平選手で間違いないでしょう。二刀流という、いままでのプロ野球選手が体験したことのないフロンティア領域の先頭を走り続ける大谷選手は、誰もやっていないことにチャレンジすることが日常茶飯事になっています。つまり、彼が実践することのほとんどすべてが独創性に満ち溢れているのです。
臨床スポーツ心理学者としての私の過去30年にわたる主要な研究テーマの一つは「運を引き寄せる要因」です。運の研究における世界的権威であるリチャード・ワイズマン博士は、運について次のように語っています。
「運に関する研究は、運を変えることができるという可能性を明らかにした。運を鍛え、自分を変えて成長し、過去にこだわらず前に進み、より幸運で満足できる人生をめざすという、驚くような変化を裏付けることができた」
これは、たとえばお守りを肌身離さず身につけたり、「13」という数字を避けたり、スポーツ選手が勝ち続ける限りパンツを履き替えないといったような「神頼みの運」とは決定的に違うのです。ここで、ワイズマン博士が強調する運を引き寄せる3つの要素を大谷選手に当てはめてみましょう。
これが良かった、これが悪かった。そういう繰り返し
運のいい人の最初の共通点は、「視野が広い」こと。専門的に言うと、「メタ認知能力」と呼ばれるスキルが、運を引き寄せるための大きな力になります。
大多数の人間は、新しいことへのチャレンジを無意識のうちに躊躇します。まだ経験したことのないチャレンジには、常に失敗のリスクが伴います。いわゆる不確実性のリスクです。
そんな不確実性を避けたい心理が、私たちを新たなチャレンジから遠ざけてしまうのです。このことに関して、大谷選手はこう語っています。
「何も変わらないより、何かに変えていったほうがいい。何も変わらなかったら、前の年と同じ結果になる可能性は高いですし、変化を求めていったほうが僕は楽しいと思うんですよね。これが良かった、これが悪かった。そういうのを繰り返したほうが面白いんじゃないかと思うんです。(佐々木亨著『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社刊)
変えることを避けたがる大多数のアスリートに対し、大谷選手はその不確実性を快感にすら昇華して行動し続けた。だからこそ、現在の彼があるのです。つまり好奇心こそ、大谷選手の進化の源泉なのです。
ひらめきの瞬間が、今日来るかもしれないし、明日来るかもしれない
運のいい人の2番目の共通点は、専門的には「開放性」と呼ばれている資質を有していることです。「開放性」とは、積極的に新しいことにチャレンジする気質を意味します。