東大コンプ丸出し早大卒コンサルパパ「開成・筑駒合格者と比べた君の弱さは?」点数と偏差値をKPIに、中学受験失敗の息子にSWOT分析
昔の方が、会社員の仕事に”遊び”の部分が多かったと言われる。最近はどこの会社でも生産性の向上を謳い、徹底的に無駄を省いたゴールまで一直線の作業を社員に求めれいる。そうでもしないと日本の会社がもうもたないからであろう。だが会社培ったその”ロジカルさ”を、家庭にまで求めていないだろうか。連載タワマン文学「TOKYO探訪」第19話本郷三丁目では、東大コンプ丸出しのパパが息子の勉強にPDCAを導入した地獄のような話ーー。
ノートパソコンのエクセルで子供の勉強の進捗管理…東大コンプのパパ
「おはよう、今日は数学からやろうか。期末テストも油断せずに頑張ろうな」。パパの眼鏡のレンズがシーリングの光を反射する。午前5時15分、リビングから見える外の景色はまだ薄暗い。子を正しく導こうと意気込む親の愛と、受け止めきれない僕の絶望。本郷三丁目のマンションの一室は、今日も窒息しそうだ。
愛知県立旭丘高校を卒業して早稲田政経に入学。信託銀行を経て会計系コンサルに。世間的に立派な経歴だ。でも、パパは満足していなかった。どんなに頑張っても追いつけない、東大卒エリートの背中。自分だって適切な教育を受けていれば――。歪んだ思いが一人息子である僕に向かうのは、必然だった。
我が家の一日は早朝のラジオ体操から始まる。寝ぼけた頭を全身運動で目覚めさせ、そのままテーブルに。小学1年生の頃に始まったルーティーンは、中学2年生になった今も変わらず続いている。ノートパソコンのエクセルで勉強の進捗を管理するパパの横顔を盗み見る。その目に、感情も温度も宿っていない。