寝過ごすと着く駅「小田原」には何があるのか…海も山も温泉もすべてを手に入れ駅徒歩圏新築戸建て4000万円の「最後の楽園」
東大卒の不動産評論家・牧野知弘氏が、テレワーク中心の都心会社員の住まいの選択肢として、「海も山も温泉も楽しめる欲張りな街だ」と神奈川県・小田原の魅力を推す――。
藤沢に終電で向かうも乗り過ごして小田原に。深夜の駅前で優しく出迎える旅館の女将
私がサラリーマンだった頃、都内で深夜まで深酒をし、夜11時50分頃にJR「新橋」駅を出る終電に乗り、自宅のある「藤沢」駅に向かうも、何度も乗り過ごしたものでした。終電は私と同じような酔客と深夜残業をしていたサラリーマンでいつも大混雑でした。ところが横浜あたりで席が空き、やれやれと座席に座ると、その瞬間を待っていたかのようにほぼ間違いなく睡魔がやってきます。特に冬の間は、電車の座席はぽかぽかと温かく、まるでゆりかごのように私を深い眠りに導いてくれるのです。
ふと我に返ると電車は藤沢駅を通り過ごし、辻堂駅、茅ヶ崎駅へ。上り電車のなくなったホームから情けない顔をしてタクシー乗り場へとすごすごと移動したものです。ところが、座席が戸塚まで空かずにやっと座れた、大船まで来ればもうそのまま立っていればよいのに、目の前の座席が空くとつい座ってしまいます。これが最悪の結果を招きます。
睡魔は私をさらに遠くの駅まで連れて行ってくれるのです。その終着駅が小田原です。ここまで旅をしてくると、もはや自宅に帰ることをあきらめ、私と同じように目をこすりながら駅改札を出た酔客たちを待ち構えるのが地元の旅館の女将さんたち。駅前で待ち構えている彼女たちは提灯を手に私たちをワゴンカーに優しく押し込んでくれます。
名城・小田原城の城下町。瀟洒な住宅街で海を眺めながら暮らす、という選択肢
さてこの小田原。私にとっては「やっちまった」感のある街に過ぎない存在でもあるのですが、実は意外に居心地の良い街です。小田原市は神奈川県の南西端にあり、西に天下の瞼と言われた箱根を、北に丹沢山系を、南に相模湾を抱く人口18万6000人の街です。