東京新聞・望月衣塑子「ジャニーズ会見でソーセージという言葉を使った理由」記者の質問には記者の本質があらわれる

戦後最悪ともいわれる故・ジャニー喜多川氏の性被害問題。東山紀之新社長のもと開かれた、2回におよぶジャニーズ事務所の記者会見に、国民の多くが釘付けになった。「一体何があったのか」「なぜこんなことが起きたのか」。今まで応援してきたテレビのスターたちが裏でこんなひどい仕打ちを受けてきたなんて……。国民の中には罪悪感を覚えた人もいたはずだ。
そんな中で東京新聞・望月衣塑子が記者会見で”大暴れ”をした。その無鉄砲さを批判する声もあがったが、望月記者にとっては熟慮した上での行動だった。
みんかぶプレミアム特集「一流の書き方・喋り方・バズり方」第3回は、望月氏に話を聞いたーー。
目次
もともと少年隊のファンでした。中でも東山紀之氏がタイプ
――何を思ってジャニーズ事務所の会見に挑んだのでしょうか。
もともと私は若いころ、少年隊のファンでした。その中でも東山紀之氏のキレキレの踊りや、きつね目のような顔つきがタイプでした。
ただ、ジャニー喜多川氏による性加害について、英BBCを皮切りに報じられるようになって以降、私は被害者十数人の声を聞いてきました。被害者たちの話を聞けば聞くほど、これは戦後最悪の組織的な性犯罪であるという認識を持つようになりました。それは当初自分が持っていたイメージよりも深刻なものでした。
ジャニーズのメンバーは幼少期に受けた性被害を何十年もの間、心の闇、傷として抱えてきました。それを赦してきたジャニーズ事務所と私も所属するマスメディアに対して底知れぬ怒りがありました。そういった経緯もあり、最初の記者会見に受付一時間半前から挑み、必ず指名されようと一番前の席に陣取りました。
今まで声を聴いてきた被害者たちにとって少しでもプラスになる言葉を新社長らから引き出したい。そう思いました。
「本気でいくしかない」とその時心に決めた
あの会見には150〜200人近い記者がいたでしょうか。私と同じく前の方に座っていたのは、これまで事務所のタレントたちを近くで取材していながら性被害を見過ごしてきた芸能記者たちでした。