「早く送金したい」“真実の愛”を異国に残した中年サラリーマン…2人の中受失敗でぶち壊れた家庭より「マッサージ嬢」TOKYO探訪「三鷹」

連載タワマン文学「TOKYO探訪」第25話では、窓際三等兵先生が「真実に愛」の物語を綴る。なぜ、読むと涙が溢れてくるのだろう……。切ないラブストーリーにあなたはきっと胸を打たれる。三鷹に住む中年サラリーマンとタイ・バンコクのマッサージ店に勤務する若い女性。決して結ばれることのない二人に待ち受ける運命とは。「ケンさん、さびしい、あいたい」「おれも。あいたい。あいしてる」ーー。
目次
バンコクに残した真実の愛…シリラットに会いたい
「ケンさん、さびしい、あいたい」
スマホが震える。LINEの通知画面に表示されたのは、シリラットからのメッセージだった。胸が締め付けられる。
「おれも。あいたい。あいしてる」
タイから帰国して1ヶ月が経った。愛する人とのメッセージのやりとりだけが、今の自分にとって唯一の救いだ。東京都三鷹。バンコク・スクンビットの雑然とした雰囲気とは真逆の、清くて美しい、けれど真実の愛だけが存在しないこの街はまるで監獄のようだ。
「ほら、さっさと食べてよね。あんたたちも遅刻するよ!」
遠く離れたバンコクへの郷愁に浸っていると、妻の怒声がリビングに響く。
うっせー うっせー うっせーわ
「うっせーな」