新宿ゴールデン街でモテまくる元素人童貞がモテない男たちに送る言葉「憧れるのを、やめましょう」…女を口説けない男はそもそも女を見ていない
新宿ゴールデン街のバーで働く『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』(集英社)著者の山下素童氏は、店内で繰り広げられる男と女のせめぎ合いを日々観察している。しかし、大多数の男は口説きに失敗し、一人で店を去るという。
飲み屋で女性を口説けない男たちに共通するウィークポイントとは。
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新宿ゴールデン街で頻発する「男が女を口説く」場面
「憧れるのを、やめましょう」
2023年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦直前、日本代表のロッカールームで大谷翔平がチームメイトに向けて放った言葉だ。急にレベルの低い話になって恐縮だが、筆者も最近、酔っ払いにそんな言葉を投げかけたくなった。
筆者は新宿ゴールデン街の文壇バーで週に1度だけ店番をしている。木造長屋がひしめく新宿ゴールデン街の店はどこも大抵同じようなものだが、筆者が働いている文壇バーはカウンター8席だけの狭い空間だ。店番をしていると、まるで小劇場の演劇を見ているみたいに、目の前でいろんな人間模様が繰り広げられる。もちろん、「男が女を口説く」という場面にもよく遭遇する。20代のとある男の口説きを目の前で見たときに思い出したのが、大谷翔平の「憧れるのを、やめましょう」という言葉だった。
カウンター越しでもわかる男の抑えきれない性欲
その日は、小説が好きな20代の女性が1人で店にやってきていた。店には5回ほど通ってくれている女性だ。それから30分くらいして、その女性の隣に一見の若い男が座った。深夜の2時過ぎのことだった。それから始発が出るまでの3時間、その男はカウンターに並べられた文庫本の背表紙を眺めながら、隣に座った女性のことを口説きはじめた。
「お姉さんは、小説とか好きなんですか」
「はい。作家のAさんの『〇〇〇〇』という小説が好きで」
「あぁ。僕もAさんすごい好きで。イベントで何回か会ったことあるんですよ。顔も覚えてもらって、割と話をする仲で」