「いまはチェキが売れそうなグループしかイベントに呼ばれない」吉田豪が語る2023年アイドルの“光と闇” 「コンカフェ・風俗に流れている」

プレミアム特集「2024年、日本大予測」第6回では「アイドル」を取り上げる。いつの時代もまばゆい光を放ち、人々を魅了する「アイドル」という存在。2023年は新型コロナウイルス禍がようやく終わりを見せ、ファンは直接ライブ会場で、思いのたけを伝えることが可能になった。アイドル業界に詳しいプロインタビュアー吉田豪氏に、今年のアイドル業界はどう映ったのか、そして来年はどんなグループが芽を出していくのか展望を聞いた。
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「楽曲派」と呼ばれるグループは大ダメージを受けた
今年を振り返ると、「景気のいいところと、そうじゃないところがはっきり分かれた」という印象です。アイドルの世界で何が面白いって言ったら、「地上も地下もローカルアイドルも同じフェスに集まって盛り上がるボーダレスさ」でした。それこそ、TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)のように、ピンからキリまでのグループが同じ舞台に上がって、何でも見られる文化があったんですよね。
ただ近年は、若くてキラキラした、チェキが売れそうなグループしか呼ばれないイベントが増えてきています。そうじゃない、いわゆる「楽曲派」と呼ばれるようなグループは、ファン層の高齢化もあって、動員的に致命的なダメージを受け、フェスにもほとんど呼ばれなくなりました。良い楽曲があって、ライブ活動を頑張っているグループがたくさんいるのに、知名度は思ったように上がっていない現実があります。
地上、つまりメジャーなアイドルでも、AKB48を筆頭とするいわゆる48グループが総選挙もできなくなったぐらいから脱退メンバーが相次いだりで、NMB48のメンバーがグラビアやバラエティで結果こそ残しているけれど、グループとしては世間に全然届かなくなりました。坂道グループは相変わらず好調とはいえ、それ以外のメジャーなグループで高値安定していたのは指原莉乃さんが手掛けるイコラブ(=LOVE)関連ぐらいだった気がします。
そんな中、元PASSPO☆で現在は振付師をしている「さこてぃ」こと槙田紗子さんが、先日ボクの配信番組に出た時に、「最近アイドル界が盛り上がっていますね」と言っていたのにはビックリしました。今年はほとんど景気の悪い話しか聞いてないから、見る場所によって「すごい、こんなに意見が違うんだ」って。ちなみに、彼女が振り付けを手がけているFRUITS ZIPPERや、とき宣(超ときめき♡宣伝部)は、TikTokがバズりまくった、いわゆるキラキラ系の代表的な存在で、どちらも今年目立った活動をしていたグループです。
アイナ・ジ・エンドを知らなかった映画関係者
今年解散したBiSHは、東京ドームでライブをやるぐらいだから世間にかなり届いていたと思っていたんです。だけど、メンバーのアイナ・ジ・エンドを映画『キリエのうた』で知った映画関係者を結構見かけるんですよ。鈴木敏夫さんとか金子修介さんとか、「こんな逸材がどこにいたんだ!」って感じで。映画界の人にBiSHですら届いていなかったことを思うと、大多数のグループが知られていないってことなんでしょうね。