「君がそんな人だとは思わなかったよ」新宿ゴールデン街、新井薬師の女を猛烈に口説きにかかった理系の大学院男…二人の結末
『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』(集英社)で知られる作家の山下素童氏。山下氏が働く新宿ゴールデン街では、毎夜、口説く男と口説かれる女の攻防が繰り広げられているという。
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夜中の3時にバーへ来た20代後半の女優
バーテンの仕事の中で一番大変なことはなんだろうか。お酒を作ること? 酔っぱらいの話を聞くこと? いや、正解は、誰かが誰かを酩酊しながら口説く光景を、目の当たりにし続けなければならないことである。
筆者は、新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」で週に1度だけ店番をしている。”文壇バー”とは一体なんだと思う人もいるかもしれないが、カウンターの上や側壁の本棚に小説などが並んでいる、本が好きな人が集まりやすいバーである。筆者が働いている「月に吠える」では、20代~30代の比較的若いお客さんが訪れやすい。
そんな文壇バーで先日、こんなことがあった。
役者をやっている常連の20代後半の女性が、夜中の3時頃にフラッと店にやってきた。その女性が席に座ると、隣でひとり酒を飲んでいた男が、