哲学科の男子学生が風俗嬢にお願いしたこと…性が交錯する場所・新宿ゴールデン街で起きた猥雑で猥褻な男女の話「僕、素人童貞なんすよォ゙!」

『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』(集英社)で知られる作家の山下素童氏。バーテンとして働く店「月に吠える」で起きた愉快な猥談話を語るーー。
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「僕、素人童貞なんすよォ゙!」と意気込む26歳の男
新宿ゴールデン街は昔、非合法の売春地帯で「青線」と呼ばれていた。青線時代は現在の大阪の飛田新地のように、2階建ての木造長屋の1階で女性が客を呼び寄せては、2階で事に及んでいたようだ。新宿ゴールデン街に300ほどある飲み屋のほとんどが狭い2階建ての木造長屋なのは、その時代の名残である。
言うまでもなく令和の今となっては売春なんてやっているお店はひとつもないのだが、現在の新宿ゴールデン街が過去にあったそうした猥雑さと完全に切り離されているのかというと、全くそんなことはない。当時の建築の名残が今でもあるように、猥雑な雰囲気だって今でも残っている。実際、筆者も新宿ゴールデン街での猥雑な出来事をいくつも目撃してきた。
筆者は、新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」で週に1度だけ店番をしている。文壇バーとはなにかというと、本が好きな人間が集まりやすいバーである。20代から30代の比較的若いお客さんでいつも賑わっている。
ある日のこと。性風俗店でしかセックスをしたことがないという素人童貞の26歳の男の子が、3時頃に店にやってきた。その男の子は店に入るやいなや筆者に向かって「僕、素人童貞なんすよォ゙!」と意気込んできた。すると、隣の席に座ってその言葉を聞いていたアラサーの女性が、「じゃあ私とホテル行ってみる?」と、急にその男の子のことを誘いはじめた。