フランス哲学者「『セクシー田中さん』炎上ドラマ脚本家への理解」契約と作品解釈の問題は次元を異にする…仏ドラえもんが好きなのはガトーショコラ
人気漫画『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子(ひなこ)さんが、日本テレビでドラマ化された同作品の内容を「原作に忠実でない」とブログで繰り返しドラマ制作陣営を非難した後、今年1月には死去してしまった。
この問題を受け、SNSや世論は「芦原さん擁護」の方に傾いているが、フランス哲学者の福田肇氏は「そもそも、ドラマ脚本が漫画原作に『忠実である』というのは無理がある」と指摘するーー。
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「原作に忠実」なのは媒体の性質が違いすぎるのでそもそも無理
太宰治の『斜陽』のなかに「白足袋(しろたび)」という語句が何箇所か登場する。ドナルド・キーンはこの小説を英語に翻訳するにあたって、「白足袋」の訳語の選定に悩んだ。当時の日本で白足袋は正装を表したが、white socksと直訳すると英語圏では「高校生風」というまったく違ったニュアンスが醸しだされてしまう。熟慮したあげく、ドナルド・キーンはそれをwhite globes(白手袋)と意訳したそうである。
原作者芦原妃名子氏の自殺という悲劇的な結末へと発展した、ドラマ『セクシー田中さん』をめぐるラプソディー。この騒動に言及するいくつかの言説を参照した。