1800万円の遺産残した母…DV息子への恨みを晴らす「一銭もやらん」壮絶すぎる復讐劇

「いままで、兄の尻ぬぐいで両親がどれだけ苦労してきたのか知っていたので、母の復讐にはスッキリしました。死をもって、兄に制裁を加えた母をかっこいいと思いましたね」
そう語る安藤ほのかさん(仮名・42)は数カ月前に最愛の母を亡くし、悲しみに暮れる中、母が決死の思いで記した遺言書を発見し、胸が熱くなった。
母・広美さん(仮名・享年85)は遺産を通して、家庭内暴力を振るい、親の金ばかりをあてにしてきた息子・明さん(仮名・45)を罰したのだ。
目次
アザだらけの両親を見るのが我が家の日常
ほのかさんの記憶にある家族での日々は、凄惨なものだ。幼い頃は家族一緒に旅行したり、テレビを囲んで見たりするなど、どこにでもある穏やかな家庭だったが、兄・明さんが中学2年生になった頃から母に暴力を振るうようになり、家庭内の空気は一変。
父・明弘さんは仲裁に入っていたが、次第に力で勝てなくなると、殴られ続ける母をかばうように。明さんは「俺の言うことを聞けよ」「役立たずのババアがのうのうと生きてんじゃねえよ」と、広美さんに対して特に強い怒りをぶつけ、長時間にわたって暴力を振るっていたという。
「機嫌が悪いと、兄は私のお腹や頭も殴ってきました。そんな時、いつもかばってくれたのが母でした。殴られながら『早く自分の部屋に逃げなさい!』と叫ぶ母の姿は、今でも忘れられません」
そんな家にいたくなくて、ほのかさんは大学への入学を機に、逃げるように県外へ。激しい家庭内暴力は、明さんが19歳になるまで続いたという。
「たまに帰省すると、両親は相変わらずアザをつくっていて痛々しかった。それなのに、怖くて、何もできない自分が嫌でたまりませんでした」
息子がつくった借金の尻ぬぐいに両親もうんざり
次第に、明さんが家庭内暴力を振るう頻度は減っていったが、両親は相変わらず息子に振り回され続ける。今度は明さんがつくった、多額の借金の返済に追われるようになったのだ。
「兄は自分では全く払いませんでした。何で借金ができたのかは、よく分かりません。聞くと機嫌が悪くなり、暴力を振るわれるので、両親も深くは聞けないと言っていました。だから、父と母は昼夜問わず働いてお金を稼ぎ、時には親戚に頭を下げて、借金を返済していました」
合計1500万円の借金を、両親は身を粉にして返済。結婚式に呼んだ時「ほのかの結婚式のために貯めていたお金がなくなっちゃった。ごめんね」と泣く母の姿を、ほのかさんは今でも鮮明に覚えている。
「ほのかだけは幸せになってね、と言われました。明のことは私たちが責任を持って面倒をみる。そっちに負担がかからないようにするから、と。母はいつでも自分が犠牲になり、私を守ってくれたんです」