東大医学部卒の医師が世の健康情報に苦言「長生きしたけりゃ肉を食え!」しょっぱいものも食べていい
平均寿命が男女共に80歳を超えている日本。“高齢でも元気でいられる秘訣”を謳った健康法は日本のあちこちで提唱されている。その一方で精神科医の和田秀樹氏は、「我慢こそが人間を不健康に追いやる元凶中の元凶」と指摘する。多くの人が誤解している、老いを遅らせるために必要なものとは――。全3回中の1回目。
※本稿は和田秀樹著『75歳からやめて幸せになること 一気に老ける人、日ごとに若々しくなる人の差』(大和書房)より抜粋、編集したものです。
「病気を抱えた方が長生きできる」理由
75歳になれば、体力や気力もある程度衰えてきます。一方で、昔と比べれば現代の75歳は元気です。「いつまでも無理はできないけれど、まだまだ元気でいたい」。このように、老いと闘う気持ちと老いを受け入れる気持ちのなかで、揺れ動いている人も多いのではないでしょうか。
残念ながら、人間は老いて死ぬ運命を逃れることはできません。一般的には、まず歩行が困難になり、自分の足で歩くのが難しくなります。次に、排せつが困難になり、尿が出にくくなるとか便が漏れてしまうなどの症状に直面します。
そして、ついには自分の力で食べられなくなります。もちろん、その間に認知症になる可能性も十分にあります。
今、日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳(厚生労働省・2021年)。この数字が〝平均寿命〟であることを考えると、男性も85歳くらいまで生きる人が多いと思われます。
健康寿命(健康上の問題により日常生活が制限されることなく生活できる期間)を早々に終え、生活上の制約がある状態で10年も20年も過ごすのは大変です。誰だって、できるだけ人生を元気で楽しみたいと考えるのは当然でしょう。