10年で部数半減、朝日新聞の末路…ノルマを達成できずに首を吊った某新聞の販売店店長

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自称クオリティペーパー「高学歴者と高所得者が読んでいます!」キリッ
朝日新聞が「吉田調書報道」の誤報を認め、社長が引責辞任してから、はや8年。その間、ずるずると部数を減らしてきた朝日新聞は、ついに500万部の大台を割って、現在、発行部数450万部に至った。2011年には800万部近い部数を誇っていたのだから、半減に近い現状は、もはや事業存続の死活問題になりかねない。
もちろん、電子版やオンラインでの購読数は増えている。朝日新聞デジタルの会員数は406万人で、一見、部数減少分を補えそうに見えるが、このうち有料会員は25万人。まだまだ紙の部数減少分をカバーできる数字ではない。
そこで朝日新聞はこの8月22日、登録すれば5本までは無料で記事が読める無料会員制度を取りやめ、原則として全記事を有料とすることを発表した。「速報などは、ジャーナリズムの責務として無料で配信を続ける」としているが、どこまで有料会員数を伸ばせるか、先行きは不透明な情勢だ。
これまで朝日新聞はクオリティペーパーを自認し、「高学歴者、高所得者が読んでいる」「就職試験で使える!」などというブランドを頼りに宣伝広告をしてきた。朝日新聞が製作している広告会社向けの媒体資料「DATAFILE 2022」によれば、朝日新聞購読者は新聞一般の購読者と比較して「大卒・大学院卒」の割合が多く、世帯年収は700万円から1000万円がボリュームゾーンで、これも新聞一般よりも多い割合を占める。世帯の資産も1000万円から3000万円と答えた人が多く、確かに「高学歴で高所得者」によく読まれている新聞であるとは言えそうだ。
また、媒体資料は広告会社向け、つまり朝日新聞への広告出稿を促すための資料なので当然と言えば当然なのだが、「朝日新聞を読んでいる人は、新しいサービスやプロダクトに関心が高い」として、電動キックボード、VR装置、家事代行などの保有や利用率が高いことも指摘している。単に金があるからキックボードを保有できるのでは、または世帯資産の高さから夫婦共働き家庭であることを考えれば家事代行も頼むのでは、というような気もするが、ともかくこれを「感度の高い読者が朝日新聞を読んでいます!」という販促材料にしているのである。
ツイッター執行役員の「無理がありすぎる」コメントに苦笑
この資料で最も面白いのは、〈「新聞」はSNS話題化の起点〉と題するページだ。
〈新聞読者モニター調査「J-MONITOR」の結果から、「新聞発信の情報であれば安心して話題にできる」という理由で新聞がSNSの投稿ソースとして活用されていることがわかりました〉と、「新聞読者モニターに聞いたらそうなるだろう」という自作自演感のある出だしから始まって、ツッコミどころの多いページなのだが、極めつけはツイッタージャパン執行役員・広告事業本部長のコメントである。
〈新聞とTwitterの共通点はどちらもニュース性があること。新聞広告の魅力は、リアルに触れる紙に掲載されていること。つまり新聞広告は、リアルな体験を提供できるということです。それはテレビやインターネットの広告にはない、新聞広告にしかない価値だと思います。やはりリアルな方が体験の密度が高く、シェアする気持ちが起こりやすい。写真に撮ってTwitterにアップすることも、体験の1つです。多くの人が疑問に思っていることを問いとして新聞広告を通じて発表する。そこにSNSのハッシュタグを設定しておくことで話題を拡げるといった手法も考えられます〉
なるほど、さっぱりわからないコメントだ。記事ではなく広告についてのコメントを求められているから仕方がないのかもしれないが、「新聞広告を写真に撮ってSNS上でシェアすること」よりも、ウェブ広告をシェアして話題にする方が楽だし、実際数としても多いだろう。SNSというある種の(リアルではない)バーチャル空間で話題になるものが「なぜ紙の広告でなければならないか」の説得力があまりに低く、ツイッタージャパンの広告事業本部長の論理展開に無理が感じられる。