SNSでネットリンチをする女性の主張「”あの女”さえいなければやめられるのに…」
標的は人気インフルエンサー…ひとりの女が憎くて、スマホから目が離せない
なぜ誹謗中傷をするのだろう。その答えは、おそらく当事者本人すら、わかってはいない。
ネットの誹謗中傷はそれこそ、パソコン通信の時代から存在する、いや、人間が社会という営みを続けて以来、避けることのできない、人としての負の側面である。しかし現在ほど安易に、見ず知らずの不特定多数に拡散されるような時代はなかっただろう。
2020年、プロレスラーの木村花さんが22歳で命を絶った。フジテレビ「テラスハウス」に出演した際の誹謗中傷に悩んだ上での自死だった。それを契機にそれまでネットで帰結していた問題が、日本中を巻き込むリアルな社会問題となった。筆者も、当時は寄せられる情報を中心に数多く報じた。
そんな中でも、とくに取材で印象深かったのが、彼女である。
「私だって本当は嫌なんです。でもやめられないんです。あの人のことを考えるだけでもうスマホとにらめっこ、気づいたときにはリプ飛ばしている。本当につらい」
電話口で話す内容は実にエグい。彼女=その女性(仮にAさんとする)の告白は、SNS上で何年もバラまいている誹謗中傷がやめられない、という内容だった。つまりAさんは日々、会ったこともない他人を傷つけ、追い込んでいる女性ということになる。
「朝起きたらすぐスマホです。気がついたときにはスマホを覗いている生活です。目的はすべて、フォローしている女をチェックするためです」
Aさんがフォローしているインフルエンサーの女性はネットの発信で人気となり、一般人から有名人の仲間入りをした。Aさんは、その女性に対する攻撃で何度かアカウントを凍結されている。Aさんは彼女に対して「批判」や「意見」という名の誹謗中傷を続けてきた。ちなみにその女性のことを本稿では「あの女」とするが、Aさんの口から出ていたのは当然ながら実名である。
「写真のドヤ顔を見るだけで吐き気が…」
「帰宅中も、帰宅後もスマホでチェックします。もちろんあの女のことです」
悪口を直接言わずに自分のツイートで相手を誹謗中傷するエアリプ。本来は「@ユーザー名」とあて先をつけてつぶやくところ、あえて誰に対する返信か分からないようにつぶやくということか。
攻撃以外のこと、たとえば「自分のことはつぶやかないのか」という問いには「別垢」を使うとのことで、一日中「あの女」のことでスマホとにらめっこだ。