どうしたらいいかわからない…「若年性認知症の上司」が暴れまわる日本企業の末路
70歳まで定年引き上げで、おじいちゃんが大暴れする
昨年4月、高年齢者雇用安定法が改正され、事業主に「70歳までの定年の引上げ」「定年制の廃止」「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」などを講ずる努力義務が課されるようになった。
以上を分かりやすく言うと「会社は、70歳までの定年の引上げ等をできる限り実施してほしい」「できない会社はいままでどおり65歳定年でいい」ということになるが、おそらく、そう遠くない将来「70歳定年制」もしくは「それに相当する措置」がほぼ当たり前になるとみて間違いないだろう。
ところが70歳定年の導入で、気がかりな点が1つ出てくる。それは労働者の健康の問題である。
厚生労働省のデータによると、2019年の日本人の「健康寿命」は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっている。健康寿命とは「医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと」であり、この年齢までに半数の人が健康で自立した生活が出来なくなる、すなわち何らかの治療や介護が必要になってしまうのだ。
70歳定年制を導入すると、定年間近の被用者、特に男性にかなりの確率で病気や体調不良が発生しそうだ。70歳定年制が定着した近未来の職場では、少子化で減った若年社員が、病気になった大勢の高齢社員のケアに追われてしまう可能性がある。
両足を複雑骨折した上司が、20代の部下に八つ当たり
ニッポン企業では、新卒社員に雑用を命じることがけっこうある。だから、高齢社員がオフィスで勤務中に急に発病すると、同じ職場で働く新卒社員があれこれ介護する破目になりそうだ。