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豚カツ1枚3300円! 狂気のインフレで値引き商品しか買えないアメリカ人…景気後退、脱オンライン化の流れ

トンカツがいつの間にか2倍に値上げ

 コロナ禍のこの2年間、アメリカの年末商戦は、商品さえあれば何でも売れるという活況が続いていました。1年目の2020年は、巣ごもり消費によるオンライン需要の急増、2年目の2021年はリベンジ消費が燃え上がっていたところに世界的な物流混乱が加わり、いずれも供給が需要に追い付かない状態だったからです。ところが今年は状況が一変しています。10月も中盤を迎え、これから2022年年末商戦本番を迎えますが、実店舗はもちろん、ECの盟主であるアマゾンのセラーたちにとっても、とても憂鬱な年末商戦を迎えそうです。

 ビジネスニュースサイト「ビジネス インサイダー」が発表したレポートによると、今年のアメリカのオンライン消費は、初めて1兆ドルを超える見込みですが、前年比の伸び率は9.4%増と、調査開始以来、初めて1桁に低下しそうだとのこと。アメリカでは、アマゾンのECだけで販売している企業や個人も多く、この結果を受け、皆さん戦々恐々としています。

 今、アメリカではインフレと不景気が予測されているため、リベンジ消費が影を潜め、食料品やガソリンなどの必要品の消費がメインになっています。すでに昨年出回っていたようなリベンジ商品は売れ残るという予測が出ているため、これらの商品はディスカウントで売る以外にはない状況で、年末から来年に向けて、倒産する企業も増えていくのではないかとみられています。

 実際、アメリカのインフレはどの程度のものかというと、私の家の近所にあるお気に入りのトンカツ屋さんの例を紹介すると分かりやすいと思います。このお店は、家ではなかなかカラッと揚げるのが難しい厚切りトンカツを出してくれるので愛用していたのですが、コロナ以前の値段は12ドルでした。コロナ禍でご無沙汰していて、そろそろ久しぶりにランチにとんかつでも、と思って出かけてメニュー表を見ると、「え? これディナーのメニューじゃないの?」と、びっくり。なんと2倍近い、23ドル(約3300円)に値上がりしているではないですか。でも、こんな光景が、街じゅういたるところで出現しているのが、今のアメリカなのです。

年末商戦で顕著になったアメリカ景気の後退と脱オンライン化

 さて、このスーパーインフレの中で、アメリカ人消費者はどんな行動をするかというと、Xmasなど年末用の贈り物、ホリデイギフトを通常より早く買う、というのが今年のトレンドとのこと。ウォルマートやターゲットなどの大型スーパーは、去年のコンテナ船不足で仕入れた商品が年末商戦時期に間に合わず、そのまま売れ残ってしまった商品がたくさん残っています。それらの商品は、今の時期ならビッグディスカウント状態です。それに加え「このままインフレが進むのでは」という消費者の不安心理が、少しでも安いうちにホリデイショッピングを終わらせてしまおうという気運になっているようです。

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この記事の著者
岩瀬昌美

ロサンジェルスで日本企業の海外進出のサポートを行うマルチカルチュラル広告代理店「MIW Marketing and Consulting Group, Inc」 CEO/PRESIDENT。今年で創業20周年を迎える。在米30年。名古屋出身。カリフォルニア大学サンディエゴ校で学芸修士、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で経営学修士を取得。2017年 できるアメリカ人11の「仕事の習慣」 日経プレミアシリーズ 日本経済新聞出版社より出版。 2019年Shoku-Iku USA (非営利団体)設立。2012年より米国にて子ども向けクッキングクラスや記事の執筆で食育プロジェクトを推進。

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