「営業電話はしたくない」ゆとりZ世代社員の評判が「すこぶる悪い」本質的な理由…叱責拒否に困る人事
製造業の景況感はやや悪化…来年は横ばいだが再来年は採用減の可能性も
10月3日、来春(2023年4月)に入社する学卒の内定式が多くの企業で開催された。9月1日時点の大学生の就職内定率は90.8%(リクルート調査)。前年同水準と好調だったが、それでは次の就活(2024年卒)はどうなっているのだろうか。
すでに夏のインターンシップを皮切りに就活が始まっているが、10月3日に発表された9月の日銀短観によると、大企業・製造業は円安による原材料やエネルギーコストの上昇で、前回6月調査に比べて1ポイント悪化のプラス8となり、3四半期連続で悪化した。このまま悪化すれば企業業績に影響し、24年卒の採用数にも影響しかねない。
大手精密機器メーカーの人事担当者は、24年卒の採用見通しについてこう語る。
「4~6月期の第1四半期は売上高、純利益ともに好調だったが、第2四半期は原材料価格の高騰や半導体不足の影響で売上高は増える見込みだが、純利益は前年比減になりそうな状況で、陰りも見え始めている。インターシップなどの採用活動は前年並みの採用数を前提に実施している。最終的な採用数は、例年12月末から1月にかけて経営会議で決定する。10~12月の第3四半期の業績結果の見通しが影響すると思うが、そのときに経営陣が減らせと言ってくるかどうかがポイントだ」
同社はコロナ禍の直撃を受けた21年卒の採用数は、前年比減となったことがあるから、業績次第では採用数を減らす事態もあり得る。
非製造業は人手不足…だが、新卒なら誰でも歓迎されるわけではない
一方、コロナ禍で大打撃を受けた国内の非製造業は息を吹き返している。9月の日銀短観でも大企業・非製造業はプラス14と、2四半期連続で改善し、上昇基調にある。その背景にはコロナの影響が緩和されたことが大きい。加えて人手不足も深刻だ。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」(2022年8月)によると、正社員の人手不足企業の割合は49.3%。コロナ感染が拡大した2020年4月以降で最も高く、売り手市場だったコロナ禍前の水準まで上昇している。業種別ではやはり非製造業が多い。人手不足の割合が最も高いのは「旅館・ホテル」の72.8%。続いて「情報サービス」の69.5%、「建設」64.4%となっている。
旅館・ホテルなどの観光業はコロナ禍で打撃を受けたが、水際対策の緩和で今後インバウンド需要が期待されている。IT人材の不足が言われている情報サービス業も堅調だ。また「金融」の人手不足割合も60.9%、「飲食店」も60.3%と高い。ネット通販の拡大で需要が伸びる「運輸・倉庫」も57.6%に上る。就活生にとっては人手不足業種ほど就職に有利であり、大きな狙い目だろう。
ただし、人手不足といっても新卒なら誰でも歓迎されるわけではない。最近は採用企業の視線も厳しくなっている。とくにZ世代と言われる2016年以降に大学卒業した世代をはじめ、コロナ禍で入社した21年卒や22年卒の評判が決してよろしいとはいえない。
Z世代と呼ばれる最近の新入社員は、最初に手にした携帯がスマホであり、情報収集やコミュニケーションの手段としてインターネットやSNSを駆使する。その一方で、SNSを通じて小・中・高・大学の横のつながりは広いが、上下の人間関係のコミュニケーションに不得手な人も多いと言われる。