忘れ去られようとしている被災地、能登の現実…「泣かんでええ」それでも、羽生結弦は活動をやめない。寄付もやめない。『羽生結弦 伝えたい思い』

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羽生結弦の貌は、哀しみに満ちていた
「フィギアスケートやってます、羽生結弦と申します。今日はよろしくお願いします」
輪島中学訪問の挨拶、まるで初々しい転校生のようでもある。それにしても、いまさらながら羽生結弦は変わらない。良い意味で、変わらない。彼は見果てぬ氷上の夢を追って、震災に苦悩したあのときの羽生結弦からなんにも変わっていない。ただまっすぐに、素直にみんなの輪に入る。
なんでもないことのように思う人もあるだろうが、決してなんでもなくなどない。どんなことでも人に気をかけてもらうことは勇気に変わる。羽生結弦が行くということは有名人だからとか以上の意味がある。そして、そうした自分のできることをする人はたいした人で、それだけでもやっぱり、たいしたことなのだ。
「news every. 羽生結弦 伝えたい思い」――輪島中学校をあとに、羽生結弦は輪島名物朝市の地を訪ねた。
「生活の跡が見えないですよね」