値上がり期待の大穴「和光市」…始発駅「座れて都内まで抜群アクセス」買える住みやすさ、コスパ最高レベルの街「スーモの〇〇ランキングでも2位?」
東大卒不動産評論家の牧野知弘氏の住みやすい街を紹介する大好評連載。最新回は埼玉県和光市についてだ。同市は値上がりする街の条件に合致しているというーー。
目次
街には常に一定の新しい血の導入が必要
私は長い間、不動産業に携わってきましたが、まさに不動産は社会のインフラだと思っています。人が住むため、働くため、買い物をするため、食事をするために不動産は必要不可欠です。そして社会生活を営むためにはそれらの施設が有機的につながり活用されることが求められます。こうした社会基盤の上に人々の日々の生活が成り立ちます。
そして、この基盤を十二分に活用するのがそこに出入りする人たちです。経験値として断言できるのは、多くの人たちが出入りする街は経済が成長し、そしてその結果として不動産価値が上がるということです。ただ大勢の人が転入しただけのニュータウンが、開発終了後には育った子供たちが出ていくだけになりオールド化する街に発展がないように、街には常に一定の新しい血の導入が必要なのです。
多くの人たちが出入りすれば、不動産の売買や賃貸借が活発になります。新しい人たちが街に流入することで、買い物需要が生まれ、飲食店が繁盛し、世の中のトレンドにも敏感になります。これを私は街の「新陳代謝」と呼んでいます。
地価が順調に上昇する街の条件
街にやってくる人を転入者、街から出ていく人を転出者といいます。各自治体の統計資料には転出入者のデータがあります。そこで首都圏1都3県の各自治体でどのくらいの人たちが入れ替わっているのかを調べてみることにしました。
すると面白いことがわかってきました。転出入者の年間の合計数を計算し、これを年初人口で割ったものを、代謝率として、各自治体でどの程度の代謝(入れ替わり)が生じているのかを調べました。するとおおよそ10%を超える代謝率を示している街で地価が順調に上昇していることがわかってきたのです。
東京都心は代謝率で17%から21%。千代田区や新宿区では20%を超えています。台東区、豊島区でも19%台です。逆に首都圏郊外のニュータウンなどでは代謝率は7%を下回り、人口は減少、地価の伸びも限定的でした。
街の新陳代謝率が埼玉県内最高の街、和光市…実は始発駅で都内へのアクセスのよさは抜群
前置きが長くなりました。その中できらりと光る街を見つけたのです。それが今回ご紹介する住んでみるとよい街、埼玉県和光市です。ちなみに代謝率は埼玉県内最高の18.2%です。
和光市は埼玉県の南部にあって東京都の練馬区および板橋区に隣接します。人口は8万4千人。武蔵野台地上にあって板橋区との境には白子川、市の北端では荒川、新河岸川に接します。市の中央部を外環道が縦断し、川越街道が横断します。外環道和光および和光北という2つのインターチェンジがあり、この道を使えば首都高速道路、関越自動車道、東北自動車道、常磐自動車道につながります。車があればどこにでも出かけることができます。