この記事はみんかぶプレミアム会員限定です

10年間で貯金+1000万円をつくる方法…マネーコンサルタント「老後は60歳までに500万円あれば大丈夫です」

 世界一の長寿大国、日本。一方で寿命が長いということは、「定年後の人生が長い」と同義でもある。 Money&you代表取締役でマネーコンサルタントの頼藤太希氏は、「60歳で定年を迎え、90歳まで生きるとしたら30年間ある。30年かけて預貯金を取り崩していく場合、額面の減り以上に目減りしていく」と警鐘を鳴らす。そんな中で重要な定年後のお金の増やし方について、頼藤氏が語った。 

※本記事は頼藤太希著『60歳からの新・投資術 『年金+月3~10万円』で人生が豊かになる 』(青春出版社)から抜粋、再構成したものです。 

第1回:老後2000万円問題に終止符!結局いくら必要なのか…マネーコンサルタントが警告「退職金を使って絶対にやってはいけないこと」 

第3回:平均相続額3200万円、使いきれない無念…どうやったら幸せに「資産ゼロ」で死ねるのかをマネーコンサルタントが伝授 

目次

60歳までに「投資資産」500万円をつくる 

 60歳から初めて投資をするという人もいるかもしれませんが、資産形成は早く始めたほうが時間を味方にできるので有利ですし、まとまった資産があったほうがお金の増えるスピードも増します。60歳までに預貯金300万〜500万円とは別に、500万円の投資資産を作ることを目標にしましょう。 

 500万円の資産を作るには「投資信託」がおすすめ。新NISAとiDeCoを優先的に活用し、インデックスファンドまたはバランスファンドで積立・分散投資をし、時間を味方につけながら500万円の投資資産を築くことを目指します。 

 ただし、無理な金額で積み立てるのは禁物です。子どもが高校生、大学生などでまだまだ教育費がかかるという場合は、子どもが巣立つまでお金をたくさん捻出することはできないでしょう。それでも、投資は早く始めて長く続けることが大切ですから、月1万円でも2万円でも、無理のない範囲で投資を始めましょう。 

 逆に、すでに子どもが巣立つなどして定年までの「最後の貯めどき」を迎えているのならば、50代はもっとも収入の多い時期ですから、月10万円の投資は目指したいところです。

 60歳までに500万円の投資資産を作ったら、60歳以降はその500万円の運用に加えて、70歳まで別途、積立投資を行うことで、預貯金とは別に計1000万~1500万円の資産を築けるでしょう。 

 500万円の運用では、70歳までの10年間で800万円、1000万円などと、老後資金を増やすことを目指します。

   運用年数・運用利回りから得られる係数表

                          ㈱Money&You 作成

 具体的に、投資で資産をいくらに増やせるかを知りたい場合は、上記図表が便利です。縦の列には運用年数、横の行には運用利回りをとっています。投資資産の金額に係数をかけると、資産がいくらになるかがすぐ計算できます。

 たとえば、運用利回り5%で10年間運用できた場合、500万円が「×1.629」で814.5万円になる、というわけです。なお、500万円といわず、800万円、1000万円と、より多くの投資資金を確保できた場合は、より少ない運用利回りでもお金を多く増やせるため、無理しない運用で済むようになります。 

年5%以上のリターンが狙える商品 

 60歳以降は、60歳までに用意した投資資金を投資に回しつつ、70歳までの勤労収入の一 部(毎月1万~5万円程度)の積立投資を10年間続けて行うのが基本戦略です。

 運用利回りと言われても、どの金融商品に投資をすると、どのくらいの運用利回りが得られるのかイメージがわきにくいかもしれません。ここまでに世界経済は人口増大ととも に今後も拡大するので、株式市場も成長していくという話をしました。 

 IMFが半年に1度発表している「世界経済見通し(World Economic Outlook)」(2024年4月)によると、リーマンショックのあった2009年やコロナショックのあった2020年などは一時的に成長が鈍化していますが、それ以外の年を見ると、世界経済はおおむね年3~4%程度ずつ経済成長しています。

 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は著書『21世紀の資本』の中で過去200年以上のデータ分析の結果「r(投資のリターン) > g(経済成長率)」という不等式が成り立つことを発表しました。 

 つまり、全世界に投資することで少なくとも年3~4%を超えて、投資のリターンが得られることを示したわけです。もちろん、過去データの研究なので、将来も必ずこうなるという保証はありませんが、全世界に投資することで少なくとも年3~4%を超えて、投資のリターンが得られる可能性はきわめて高いといえます。 

 投資信託の中には、全世界の株式に投資するインデックスファンドがありますが、実際、過去30年のパフォーマンスは年7%を超えています。これから先も年7%が保証されているわけではないですが、世界の経済成長の恩恵を受けながら、年5%超のリターンを狙える可能性は高いと言えるでしょう。 

 もうひとつ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用成績も見てみましょう。GPIFが運用を開始したのは2001年度のこと。それから二十余年たった2023年度第3四半期までの収益率は3.99%、収益額は約132.4兆円、そして運用資産額は約224兆円にもなっています。 

 つまり、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の4つの資産に25%ずつ投資すれば、年3~4%の運用利回りを目指すことが可能だということです。 

 どんな投資をすると、どのくらいの運用利回りが得られるのかイメージがわいたのでしょうか。 

投資以外の現実的な選択肢 

 老後のお金は、投資以外でも増やすことができます。 

●退職金をもらう 

 退職金の金額は減少傾向にありますが、退職金の受け取り方を工夫することで、退職金の手取りを増やすことはできます。退職金の受け取り方には、大きく分けて「一時金」「年金」「一時金&年金」の3種類がありますが、多くの場合、一時金受け取りがもっとも手取りが多くなるでしょう。 

●遺産を受け取る 

 退職金と並んで、大きな金額が入ってくる可能性があるのが、親の財産(遺産)です。MUFG資産形成研究所「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査」(2020年)によると、親から自身が相続した財産額の平均は3273万円、中央値で1600万円となっています。 

 同調査によると、相続した現預金の使途のうち66.5%が「預貯金への預け入れ」。次いで「投資商品の購入」ですが、その割合はわずかに9%となっています。遺産のお金も運用に回すことができれば、資産寿命を延ばすことができます。 

●勤労収入を得る 

 勤労収入が得られれば、年金の繰り下げ受給も選びやすくなりますし、労働している期 間が長くなれば、老後の期間も短くなるので、必要な老後資金の金額も減らせます。 

 定年後の働き方は再雇用・再就職だけではありません。フリーランスとなり「業務委託」の形で仕事を請け負う働き方もあります。業務委託の場合、委託された業務を期日までにこなせばいいので、自分の好きな時間・場所・仕事で稼げます。仕事量も自分で調整できるので、自分の時間も確保しやすいでしょう。専門的なスキルがあれば、会社に勤めるよりも収入がアップする可能性もあります。 

 個人事業主や起業して、新しく事業を行う方法もあります。自分のしたいことを仕事にできます。現状、企業には定年後も従業員の希望があれば65歳まで雇用を継続することが義務づけられています。また、70歳までの就業確保を講じる努力義務も課されていますので、再雇用・再就職で70歳までは働けるかもしれません。 

 業務委託・個人事業主・起業といった働き方を選べば、70歳を過ぎても生涯現役で、働いて収入を得続けることも可能です。 

頼藤太希著『60歳からの新・投資術 『年金+月3~10万円』で人生が豊かになる 』(青春出版社)

●年金を繰り下げる 

今すぐ無料トライアルで続きを読もう
著名な投資家・経営者の独占インタビュー・寄稿が多数
マネーだけでなく介護・教育・不動産など厳選記事が全て読み放題

    この記事はいかがでしたか?
    感想を一言!

この記事の著者
頼藤太希

(株)Money&You代表取締役/経済ジャーナリスト。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

このカテゴリーの最新記事

その他金融商品・関連サイト

ご注意

【ご注意】『みんかぶ』における「買い」「売り」の情報はあくまでも投稿者の個人的見解によるものであり、情報の真偽、株式の評価に関する正確性・信頼性等については一切保証されておりません。 また、東京証券取引所、名古屋証券取引所、China Investment Information Services、NASDAQ OMX、CME Group Inc.、東京商品取引所、堂島取引所、 S&P Global、S&P Dow Jones Indices、Hang Seng Indexes、bitFlyer 、NTTデータエービック、ICE Data Services等から情報の提供を受けています。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。 『みんかぶ』に掲載されている情報は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的とするものであり、投資の勧誘を目的とするものではありません。 これらの情報には将来的な業績や出来事に関する予想が含まれていることがありますが、それらの記述はあくまで予想であり、その内容の正確性、信頼性等を保証するものではありません。 これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、投稿者及び情報提供者は一切の責任を負いません。 投資に関するすべての決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 個別の投稿が金融商品取引法等に違反しているとご判断される場合には「証券取引等監視委員会への情報提供」から、同委員会へ情報の提供を行ってください。 また、『みんかぶ』において公開されている情報につきましては、営業に利用することはもちろん、第三者へ提供する目的で情報を転用、複製、販売、加工、再利用及び再配信することを固く禁じます。

みんなの売買予想、予想株価がわかる資産形成のための情報メディアです。株価・チャート・ニュース・株主優待・IPO情報等の企業情報に加えSNS機能も提供しています。『証券アナリストの予想』『株価診断』『個人投資家の売買予想』これらを総合的に算出した目標株価を掲載。SNS機能では『ブログ』や『掲示板』で個人投資家同士の意見交換や情報収集をしてみるのもオススメです!

関連リンク
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.