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タイムレスプロジェクトで誹謗中傷を繰り返す人は、木村花さんから何を学んだのか…菊池風磨「言語道断、理由になりません」

(c) AdobeStock

 誹謗中傷が止まらない。2020年にプロレスラーの木村花さんが、出演していたリアリティ番組「テラスハウス」での炎上をきっかけに亡くなった。当時、彼女のもとには中傷コメントが多く届いていた。そんな中、ネットフリックスが配信しているリアリティオーディション番組「タイムレスプロジェクト」でも候補生の一部に誹謗中傷が浴びせられ、運営は「法的措置を含めて対処する」むねを発表した。なぜ誹謗中傷は続くのか。ルポ作家の日野百草氏が解説するーー。

目次

私だって本当は嫌なんです。でも…

 2025年に入っても誹謗中傷と、それに抗う著名人らの嵐は吹き荒れている。悲しいかな、とどまるところを知らない。

 日本の2024年のインターネットを利用した侮辱罪の認知件数は225件、検挙件数100件で過去最多となった(警視庁・2025年2月発表)。

 法改正(後述)によって顕在化した影響もあるが、それだけの誹謗中傷とそれに対する法的意識の高まりもまた背景にある。

 スポーツ選手、芸能人といった有名人に対する誹謗中傷も問題視されている。堀ちえみさんの公式ブログに1万6000回も誹謗中傷のメッセージを送った女が逮捕され、「Sexy Zone」から改名した「timelesz」(「timelesz project」、以下・タイプロ)のオーディション番組は、候補生に対する誹謗中傷に法的措置を講じるとした。とくに後者はX(旧Twitter)を中心に荒れに荒れている。

 SNSの中でもとりわけXは筆者周辺でも年齢問わず「誹謗中傷だらけで嫌になった」とアカウントは残すものの積極的に関わらない人が昨年あたりから顕著になったように思う。イーロン・マスク氏のインプレッションによる収益化とそれによる粗悪なポストの蔓延、杜撰な管理が拍車をかけている格好だ。

 もちろんそれがすべてではない。また誹謗中傷に関してもいまに始まったことではない。コロナ禍以前からそうだった。かつて筆者はそうした事案に当事者に取材した。彼らの言い分はこうだ。

「私だって本当は嫌なんです。でもやめられないんです。あの人のことを考えるだけでもうスマホとにらめっこ、本当につらい。朝起きたらすぐスマホ。気がついたときにはスマホを覗いてる。目的はすべて、フォローしてる女をチェックするためです。書くこと話すこと全部許せない。写真のドヤ顔とか見ると吐き気がします。ブスのくせに」(2020年・40代女性・有名ブロガーの女性を誹謗中傷)

あの女が先に消えればいいのに

「あの女がいる限りやめられないのがつらいです。あの女が先に消えればいいのに。ほんと図太いブスですよ。私はあの女ほど失う立場なんか無いですもん。カネ目当てにステマや炎上で目立つほうが悪いし、そもそも有名人はやらなきゃいいんじゃない?」(2020年・同)

「彼女のこと、あることないこと書いたのがまずかった。最初はファンだった。イベントや撮影会に何度か行ったんですが、彼女の対応が気に入らなかったんでネットに書き込んだのが最初。自分としてはネタ。自分だけじゃなく、他にもアンチはいた」(2021年・40代男性・10代のアイドルを誹謗中傷)

 この人たちは誹謗中傷を繰り返して訴えられた、もしくはやめられないとする人たち(いずれも当時)だ。コロナ禍の2020年、女子プロレスラー木村花さんのいわゆる「テラスハウス事件」(Netflix・フジテレビ系)を契機に社会問題となり、筆者が取材したものだ。

 彼ら以外にも取材対象はいたがおおよその内容に違いはない。「あっちが悪い」「みんなやってる」「私の気持ちを考えろ」である。これは誹謗中傷を受けて訴えた著名人の「報告」でもだいたいそんなものだ。極めて類型的である。

著名人も言われたい放題のままではない

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、昭和史における人物評伝およびフィギュアスケートなどの舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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