プレイヤーとして優秀な社員ほど限界まで仕事を詰め込む…「徹夜で何とかなった!」悪の成功体験の積み重ねが生む最悪の事態

「頼まれたら断れない」「結局私がやったほうが早いし」……。そんなこんなで、きょうも目の前に仕事がうず高く積まれている人がいる。「私もその1人」と話す人気エッセイストのトイアンナ氏が、自身の経験を基に“丸投げ”ではなく上手に“頼る”方法について、考える。全3回中の2回目。
※本記事はトイアンナ著「えらくならずにお金がほしい 会社は教えてくれないキャリアのルール(大和書房)」から抜粋、再構成したものです。
第1回:こんなこと指示しなくてもわかるだろ…説明不足を棚にあげ部下を叱責する残念上司をぶっ倒す、3つの対処法
第3回:だから育児・介護で仕事を辞めてはいけない…出世したくなくても今のキャリアにしがみつくべき本当の理由
目次
現在午前4時。仕事を抱えすぎる私
「プレーヤーとして優秀な人ほど、キャパオーバーぎりぎりまでの仕事を引き受けがち」という問題があります。炎上している案件も、莫大な工数のお仕事も、まあ最悪週末を使えば、徹夜すれば、〇〇すれば……と、自分をすり減らして達成してきた過去がある。
しかもそれが「悪い成功体験」になっているので、次もぎりぎりまで仕事を引き受けてしまう。これは何を隠そう、私の癖です。この原稿を書いているのは深夜4時。仕事が増えすぎて「どうしてこうなった?」と泣いているみなさん、私はあなたの味方です。
限界まで仕事を詰め込みすぎるのはただのマゾということで片づければいいのですが、それで人を恨むようになったらおしまいです。けれども、限界まではたらいているとどうしても心理的な余裕がなくなってしまいますよね。相手は普通に仕事のラリーを返してきているだけなのに「私がこんなに忙しいのを誰もわかってくれない!」と怒りだすこともある。いやいや、忙しくしているのは自分でしょ、というわけです。
こういうことを書くと、「トイさんの仕事は裁量権があるから……」とか「私以外にこの仕事を担当している方がいなくて」といった話が出てくるのですが、このあたりは大概が幻想です。私の過去担当した仕事には裁量権が極小と言えるくらいの業務もありました。それでもお互いに頼り合うことは可能です。
また、「自分しかこの仕事をやっていないから、人に頼ってはいけない」というのも大いなる誤解で、実は他の人って、自分の仕事を周りに相談しまくっています。無理なときは上司の手すら使っています。この「頼る」を苦手にしている方は、仕事で人の力を使うことが必須スキルであるという認識がないように思われます。むしろ、タブーだと思っている節すらある。実際には逆で、仕事は頼らないと始まらないのです。