ビートたけしにキレられたあとすぐに連絡が…吉田豪が語る「東野幸治」“好奇心モンスター”のプライベートの顔

「タレント・東野幸治」といえば、どんなイメージを持つだろうか。「大物と渡り合える優秀なサブ司会者」という起用のされ方はもちろん「イジりの天才」「冷徹」「腹黒い」といった一面もテレビを見ている人にとってはおなじみだろう。最近、レギュラー番組の終了が続き、「東野の時代も終わりか」といった方向のネット記事も見られるが、プロインタビュアー・吉田豪氏は「筋違いもいいところ」と断言する。では、本当のところ東野幸治の凄さとは何なのか? 彼の芸人としての立ち回り、司会者としての巧みな仕切り、さらにはYouTubeやイベントで見せる意外な一面まで、吉田氏だからこそ語れるエピソードを交えながら、その真価に迫る。みんかぶプレミアム特集「テレビ 終わりの始まり」第7回。
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一緒に地下イベントをやる理由は「ドブとも繋がっている自分でいたい」
テレビのレギュラー本数が激減したことで近頃話題の東野さんですけど、それでも相変わらず地上波トップクラスの司会者なのは間違いないじゃないですか。それなのに去年はボクの生誕イベントでロフトプラスワンに出てくれたり、ボクと水道橋博士とも一緒に高円寺の薄汚い小さなトークライブハウスで定期イベントをやってくれたりして(今月もやります)、そんなアンダーグラウンドなイベントに出るような位置の人じゃないんですよ。ちなみに水道橋博士は「地上波の仕事がなくなったからイベントで稼ぐ」と公言していて、一時躁鬱が悪化して休業していたりもした博士に頼まれたら断れないって東野さんは言ってるんですけど、他の人たちは普通に断ったりしているわけで。
そもそも最初に東野さんのロフトプラスワン初登場はもう10年前で、ボクのイベントに出て控室で観覧していた南海キャンディーズ山里(亮太)さんが途中から飛び入りしたときだから、ボクとしては「もうとっくに見捨てていいのに!」って思っているんですよ。東野さんはそういう地下世界のことを「ドブ」呼ばわりしてるんですけど、おそらく「ドブとも繋がっている自分でいたい」ってことなんでしょうね(笑)。多分、地上波テレビのような綺麗なとこだけにいると居心地悪くなっちゃうから、ラジオで余計なことを言ったり、YouTubeで他の事務所の後輩芸人と絡んだり、VTuberとしてリアクション芸をやったり、金にはならない無駄なことをやり続けてバランスを取ってるんじゃないか、と。
東野さんがすごいと思うことのひとつに、「異常なほどのコンテンツ大好き人間」ってことがありますよね。あれだけ忙しい人なのに、プライベートの時間をコンテンツなどをインプットする時間に全振りしているという。収録が終わったら一瞬で帰るし、いろんな人と会って飯を食うことにも熱心だけどそれも一瞬で帰るという。ボクもプライベートでは年1ぐらいで会っていて、お互いの持ってる情報交換をするんですけど、それも毎回早々に帰っていきます(笑)。
「これはアウト」「これはセーフ」のバランス感覚が優秀
そんなさっぱりした付き合い方から「人間味がない」なんて言われることもありますけど、だからこそ身を守ってこれた部分でもあると思うんですよね。だって、もともと松本人志ファミリーの一員として上京してきてあれだけ松本さんと一緒に仕事してきたのに、プライベートではナンパの輪の中にも入ってないわけじゃないですか。シモ系の話で出てくるのはせいぜい風俗の話程度だったりで、当時から先輩とも独特の距離感だったんだろうなって。
最近もTwitter(現X)で、一時期さんまさんの感覚が現代にシフトできてないところがあったけど、最近完全に順応したっていうツイートが流れてきたんですけど、これって10代の女の子とラジオ(『MBSヤングタウン土曜日』)を続けてることの効果が大きいと思ってるんですよね。 この話題はこの世代には通じないとか、この話題は引かれるという線引きがわかってくる。東野さんに至っては、YouTubeチャンネル「東野vs」で他ジャンルの若い人とかとも絡み続けているし、現代の価値観で作られたいろんなコンテンツでのインプットも加わって、圧倒的なぐらい現代にフィットできてるんですよ。