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羽生結弦の“勇気”の話をしよう。絶望と死神ばかりの世界…興行の世界で希望に手を伸ばす“勇気”の話を。『羽生結弦をめぐるプロポ』「勇気」(1)

(c) AdobeStock

日野百草 ファンしか知らない羽生結弦

目次

私は羽生結弦のことを「勇気の人」とも捉えている

 いま、勇気の話をしたい。

 羽生結弦の勇気の話を。

 私は羽生結弦のことを「勇気の人」とも捉えている。わかりやすいところでは競技か。これまでの競技生活はもちろん、日ごろの練習、練習すら選手生命を失いかねない綱渡りであったこと、いやもっとシンプルに、それこそジャンプひとつも勇気だと思う。

 不幸の中
 絶望ではなく
 希望に手を伸ばす
 勇気があるか

 講談社「月刊アフタヌーン」連載のフィギュアスケート漫画『メダリスト』53話の言葉(※1)だが、現実にその勇気を持つ続けたひとりが羽生結弦だと思う。

 とするならこの「不幸」はあえて自身の不幸ではなくこの世にあるすべての「不幸」と私は捉えたい。自分の不幸と絶望の先にはこの世すべての不幸と絶望がある。社会とは自分だけが不幸なわけでもみんなだけが不幸なわけでもない。

 仏説、法句譬喩経(ダンマパダ)にある夫と子どもを亡くした女性、キサーゴータミーの話。私だけがなぜこんな目にと泣くばかりの彼女に釈迦は家々を訪ねて死人のない家があるか聞いてまわるように説く。もちろんどの家も「祖母が」「祖父が」「夫が」「妻が」「兄弟が」「姉妹が」「我が子が」と語る。

「そなたは自分の子供だけが亡くなったと思っていますが、死は生けるものの定めです。死王は、大洪水のように、生けるものの望みが叶わぬうちにすべてを運び去り、苦海に投げ入れます」

利他とは社会性である。芸術は社会性から逃れられない

 釈迦のこの言葉にキサーゴータミーは、
 不死の境地を見ることもなく
 百年生きながらえるより
 不死の境地を見通して
 一日生きる方がまさる

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、昭和史における人物評伝およびフィギュアスケートなどの舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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