「どうして勉強しないの!」間違いだらけの親のイライラ、中受プロが重視する「自己効力感」養成法

「塾の宿題、まだ終わってないの?」「スケジュール通りに全然進んでいないじゃない!」
親が必死に声をかけても、子どもはダラダラして動かない。机にはプリントが山積みなのに、子どもは危機感もなくソファでゴロゴロ。中学受験期の家庭では、よくある光景だ。
「なんでこんなにやる気がないんだろう」「言わないと勉強しないのはどうして」
親としては、ついイライラしてしまう。しかし、子どもが“動けない”のは、意志が弱いからでも、怠けているからでもない。
「子どもが自分で動けない原因は、多くの場合、親にあります。親が子どもとの関わり方を変えれば、子どもの学びの姿勢は変わり、学力も自然と伸びてきます」
そう語るのは、見守る子育て研究所所長の小川大介氏だ。小川氏はコーチングと脳科学、親子関係理解、学習指導ノウハウを組み合わせた独自ノウハウで、数多くの受験生を合格に導いてきた。
夏期講習や模試が本格化するこれからの時期、どうすれば子どもが自分から学習できるようになるのか。家庭でのサポートのあり方について聞いた。全3回の第1回。
目次
子どもは「時間感覚」が未発達
子どもが自分で動いてくれない背景には、発達段階として“時間感覚が内面化されていない”ことがあります。小学生にとって、「1時間後」「1週間後」といった時間感覚は、まだ実感をもって理解しにくいもの。実際に体感としてしっかり把握できる時間は、せいぜい30分程度だといわれています。
親が当然のように求める「先を見越した計画」や「タスクの優先順位づけ」は、子どもにとってはまだ高度すぎるスキルなのです。
「予定通りに学習しない」のはやる気がないのではなく、時間感覚が未発達のため計画通りに進められないだけ。これは本人の学力とはまったく別次元の話です。
親は「どうしてやらないの?」と責めたくなる気持ちをぐっとこらえて、「いまは、時間を扱う練習をしている段階なんだ」という視点を持つことが大切です。