詰め込み、押しつけは絶対NG!中受プロ、子どものモチベーションを下げない「2つのリスト」が必要のワケ

「塾の宿題、まだ終わってないの?」「スケジュール通りに全然進んでいないじゃない!」
親が必死に声をかけても、子どもはダラダラして動かない。机にはプリントが山積みなのに、子どもは危機感もなくソファでゴロゴロ。中学受験期の家庭では、よくある光景だ。
「なんでこんなにやる気がないんだろう」「言わないと勉強しないのはどうして」
親としては、ついイライラしてしまう。しかし、子どもが“動けない”のは、意志が弱いからでも、怠けているからでもない。
「子どもが自分で動けない原因は、多くの場合、親にあります。親が子どもとの関わり方を変えれば、子どもの学びの姿勢は変わり、学力も自然と伸びてきます」
そう語るのは、見守る子育て研究所所長の小川大介氏だ。小川氏はコーチングと脳科学、親子関係理解、学習指導ノウハウを組み合わせた独自ノウハウで、数多くの受験生を合格に導いてきた。
夏期講習や模試が本格化するこれからの時期、どうすれば子どもが自分から学習できるようになるのか。家庭でのサポートのあり方について聞いた。全3回の第3回。
目次
「できているリスト」から伸ばす
子どもにスケジュール感覚を身につけさせ、タスクを共有できるようになったら、次は何を学習させるかが鍵になってきます。
私はこれまで数多くの受験生家庭の相談を受けてきました。多くの家庭がおっしゃるのが、「うちの子全然勉強しないんです」という悩みです。
そういうご家庭に薦めているのが、「できていることリスト」の作成です。どんな些細なことでも良いので、できていることは全部洗い出していく。
例えば、「学校の算数の宿題は出している」「塾の理科のプリントはやっている」「毎日の計算練習はやっている」と書き出してみる。
実は、全部の勉強を完全にボイコットしているお子さんは、ほとんどいません。「全然勉強しない」というのは、親の期待と比べるとやっていないというだけで、本当は本人ができる範囲では頑張っているケースが多いのです。
「できていることリスト」が完成したら、その分析をしていきます。リストの中の学習項目に対して「なぜ、それはできているのか?」を考えていきましょう。「できていること」にはちゃんと理由がある。そこに気づくことで、今後のサポートにも具体的なヒントが見えてきます。
「できている理由」は問題が簡単だからできる、得意教科だからできる、親が一緒だとできる、タスクが短時間で終わるからできるなど、理由は様々です。
簡単な問題なら学習できるのであれば、勉強時間の最初は難易度の低い問題集から始める。親が一緒だと学習できるのであれば、学習場所を見直したり、最初だけ一緒に勉強する。短時間であれば集中できるのであれば、勉強時間を細切れにし、徐々に伸ばしていく。など様々なやり方が考えられるはずです。
また、できていることを確認し合うことで、「何もできていないわけじゃない」と子ども自身が感じられるようになります。これは、「自分にはできる力がある」という自己効力感を育てる、非常に大切なプロセスになります。