四谷大塚偏差値55以上とそれ未満で夏期講習の目的は違う…小6の夏休みに5~10以上偏差値が伸びる子と、偏差値が落ちる子の決定的な違い

中学受験生にとっての勝負の夏休み。偏差値をグンと伸ばす子と、そうでない子は何が違うのか。
『脳内メモリ最弱の僕が東大合格した人生が変わる勉強法』(実務教育出版)の著書もあり、たくさんの中学受験生たちをカリスマ家庭教師として指導してきた横井佑丞(@yokko)氏に聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「中学受験 夏期講習で伸びるコツ」第5回。
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小6の中学受験生の夏期講習の目的…四谷大塚偏差値55以上とそれ未満で目的が異なる
中学受験生の小6夏の夏期講習は、レベル別でその目的が異なります。
小6の夏の夏期講習では、今までの総復習を行うことがメインとなりますが、成績によって大きく2つの夏期講習の活用方法に分けられます。
四谷大塚の偏差値で55以上の場合は、総復習に加えて入試問題への橋渡し的な実践的な問題や応用問題を解くことがメインの目的になります。一方、55未満程度の場合は、今まで学習した基礎的な内容の総復習が夏期講習でやることのメインです。
四谷大塚55未満の生徒は、いろいろな分野で知識の抜け穴があるため、確認して穴を補強していくような取り組みが必要になります。一方、55以上の生徒は穴がそれほどないため、既に埋まっているという前提で、夏休みの勉強時間を応用問題の演習に充てることができるのです。
とはいえ、小6の夏休みは大手中学受験塾の宿題を行うことが最優先で、それを行うだけで手一杯になります。上位クラスにいる処理能力の高い生徒でも、上位クラスは課題も多くなるため、やはり塾で指示されたことを行うだけで精一杯です。そのため、実際の作業としては、大手塾で指示された宿題をこなしていくだけでほとんどの時間を使うことになります。
お盆休みに苦手分野の穴埋めに集中したり、よくできる範囲については塾の宿題は行わずに、弱点分野の補強に時間を回すなど、工夫して弱点を攻略していかなければなりません。
理想的には夏休み中に苦手分野を学習して穴埋めを完了させたいところですが、現実的には夏休み中に終わらず、9月や10月まで苦手分野の復習を継続することになります。
中学受験に「成功」するかどうかは、小6夏からの志望校戦略で決まる
小6の夏休みは、保護者主導で現実的な志望校を決めていく時期です。小6の夏休み時点ではまだ、お子さんが自分の実力で進学可能な学校の現実をそれほどシビアに考えられていない時期だからです。
だからこそ、保護者の方が現実的に、これからどれくらい成績が伸びるかを考えて、第一志望、第二志望、第三志望を決めることが重要です。お子さんを適切に誘導することが大切なのです。
お子さんが高いレベルの学校に進学したがっている時に、お子さんが進学可能な現実的な学校のラインに導いていくのは保護者の役割です。保護者と塾の先生と家庭教師で話し合い、現実的な学校に落とし込んでいって、お子さんを導いていくことが必要です。中学受験を幸せに終えられるご家庭は、そのあたりのリードが上手です。
小6の夏休みだけで、お子さんの偏差値が10程度伸びるご家庭もありますが、それはあまり現実的ではありません。保護者の方が現実的なラインも含めた志望校戦略を夏頃から考えて、それに合わせてお子さんをリードしてあげると、結果的には最も良い中高一貫校に進学できます。
高望みしてレベルが高すぎる学校のための演習を行っても、結局そこまで成績が伸びなかった場合、その演習は無駄になってしまう可能性があります。例えば、偏差値50台後半以上の学校では応用レベルまで解ける必要がありますが、それより偏差値の低い学校では基礎の抜けを無くすことが何より重要になります。学校のレベル帯によってやるべきことが違うのです。レベルの高い学校ほど独自の受験対策も必要になりますが、それも無駄になってしまうので注意が必要です。