受験系YouTuber「受験勉強を頑張るのは甲子園を目指すのと同じ」学歴は誇ってもいい

「大学進学は人生を変えてしまう」。そう話すのは、チャンネル登録者数60万人超えの受験系YouTuber「wakatte.TV」のびーやま氏だ。人はなぜ勉強するのか。受験では何が求められるのか……。学校では教えてくれない受験の真実について、改めてびーやま氏が考える。全3回中の1回目。

※本稿はびーやま著『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』(ダイヤモンド社)から抜粋、再構成しています。

第2回:受験系YouTuber「学歴はめちゃくちゃ大事」東大生が「なんだ。早稲田か」と思うのは当たり前の話

第3回:「学部、キャンパスよりも結局“大学名”」受験系YouTuber「就職で有利な学部はほぼない」

目次

人が勉強する理由は「優秀な自分の証明」

 皆さんは勉強が好きですか?

 ほとんどの人は「ノー」だと思います。僕も同じでした。受験勉強は嫌いでしたし、楽しいと思ったことはほとんどありません。おそらく世の中の9割以上の受験生は勉強が嫌いだと思います。

 では、どうして勉強するのでしょうか?

 この質問に僕なりに答えを出すとすると、「苦手なことに挑める優秀な自分を世の中に証明するため」だと思っています。

 きれいごとしか言わない大人は、なにかと理由をつけて「学問とは~」と言ってきますが、それは勉強ができる人の理屈です。

 受験勉強は、「苦手なことにも挑める優秀な自分」を世の中に証明するものでしかありません。大人になると苦手なことにたくさんぶつかります。「あれができない」「これができない」「同期と比べて自分はダメだ」。そんなことの繰り返しです。

 しかし、大事なことは、そこからなにがいけないのか理解して、1つずつできることを増やしていくことです。どうでしょう。受験勉強と同じですよね。

 最初から過去問を解ける人なんかいないですし、誰もが基礎をしっかり勉強して少しずつ力をつけていきます。できなかった問題も原因を探ってできるようにしていく。それこそが勉強の本質です。そして、この能力は大人になっても一生使えます。

 逆に、大学進学で妥協した人はこの能力を身につけないまま大人になります。

 あえて言葉を選ばずに言いますが、できないことをできるようにする経験がないまま大人になるので、結局仕事についても同じように、苦手なことにぶつかると逃げるようになってしまうのです。

 苦手な受験勉強も乗り越えさえすれば、「苦手なことに立ち向かえる自分」に出会えるわけで、大きな自信につながります。

 加えて、大人も受験勉強は嫌いだった人ばかりですから、皆さんの学歴を見て、「この人は頑張って勉強できる人なんだな」と勝手に思ってくれます。

 ですから、皆さんが受験勉強を嫌いなのもわかっていますが、そこからが本当のスタートです。誰もが苦手なことから逃げるなかで、正面から挑めるかどうか、受験はそれを皆さんに問うているのです。

受験は学力だけを求めているのではない

 一般的に大学受験は「学力」が大事であると思われています。一般入試はその最たる例ですし、推薦入試でも学校での成績が必要ですから、このように思われるのは当然のことでしょう。

 しかし、受験で問われている本当の能力は「学力」ではありません。先に答えを言うと受験を通して皆さんが試されている能力は「問題解決力」です。

 この「問題解決力」を簡単な言葉に言いかえると、「苦手なことに向き合い、改善する力」です。前述しましたが、最初からすべての問題が解ける人なんていません。誰もが苦しみながら前に進んでいきます。

 その粘り強さと、合理的に解決に向かっていく思考力を持っているかをたしかめるのが受験です。

 もし、大学受験が「学力」だけを求めているのだとしたら、努力でどうにかなる余地を残さずに進学校に通っている学生だけに絞って試験をすればいいでしょう。

 しかし、そうではなく、誰でも平等に試験を受けられるようにしているのは、学力だけで人材を判断しないためです。

「中学校までは勉強が苦手だったけど、高校で苦手を克服して頑張ってる人」「まだ苦手なことは多いけど、目標に向かって頑張れる人」など、現状を改善していく意志のある人を発掘するために今の入試方式になっているのです。

 どう思いますか?頑張れば誰にでもチャンスがあると思いますよね。

 その意味では、大学は「学力が高い人」ではなく、「勉強を続けられる人」を求めているのです。

 繰り返しになりますが、大人になるとどんな道に進んでもいろんな壁にぶつかります。そのときに自力で乗り越えるためには、結局「問題解決能力」が必要になります。

 今の自分に足りないものはなにか、どう考えたらいいのか、誰に話を聞いたらいいのかなど、コツコツ考えながら前に進める人だけが成功できるのです。

 その力が、今の皆さんにあるのかを受験は確認しています。解けない問題があるのは恥ずべきことではありません。むしろ、解けない問題にこそ、受験の本質が隠れていると思ってください。

学歴を誇ったっていい

 世の中は、スポーツや文化に関する功績はものすごく評価されますよね。たとえば、甲子園に出場したら地元ではチヤホヤされますし、文化部でも賞を受賞したら褒められます。僕は学歴も同じだと思います。勉強というフィールドのなかで、それぞれが志望校を目指して頑張った先にあるものが学歴です。いわば、県大会の優勝メダルのようなものの代わりとして、「〇〇大卒」という称号を得られるチャンスが与えられるのだと思います。

 それなのに、世の中的には「学歴は人に言うものではない」という風潮があります。意味がわかりません。運動部がスポーツを頑張るのと同じように、受験生も勉強を頑張った末に得た成果なのですから誇ったっていいじゃないですか。

 人によっては熱が出ようが勉強、布団に入っても不安で寝られないから勉強というくらい自分を追い込みます。この努力は認められるべきでしょう。

 ですから、この場を借りて言いますが、「学歴なんて関係ない」という大人のほうが、僕は頑張る受験生をバカにしていると思います。

 受験生は受験生なりに限界に挑んでいるわけで、そこに水を差す必要はまったくありません。少なからず、そういったことを言う人は、今の受験生より勉強を頑張った経験があるのでしょうか。

「勉強ばかりしてちゃダメだぞ!」というスポーツ派の大人も同じです。

 勉強だからダメなんでしょうか?別に野球だってサッカーだって同じですよね?

 本人が頑張ると決めたわけですから、それは全力で応援するべきです。

 少し受験生の皆さんとは違うところに意識が向いてしまったかもしれませんが、僕が言いたいことはシンプルで、「受験勉強を頑張るのは、日々甲子園を目指すのと同じぐらい尊いものである」ということです。

 ですから、「あいつ勉強ばっかりしちゃってイタいよな」のようなことを言われても気にする必要はありません。皆さんの勉強する姿は最高にかっこいいと僕は心から思います。

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この記事の著者
びーやま

教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。

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