「東大出身」の肩書は恋愛・結婚に有利に働くのか?なくならない東大生の“特権意識”

「東京大学」の肩書きは恋愛・結婚市場において有利に働くのか?そんな問いに対し、『東大卒の研究』(筑摩書房)の著者の一人であり、現在は東京大学多様性包摂共創センターDEI共創推進戦略室准教授でジャーナリストの中野円佳氏が、東大出身者へ行った調査を踏まえて解説する。みんかぶプレミアム特集「名門校の真価」第5回。
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圧倒的に婚姻率が高い東大男性
一般的に「東大生」は、男性であっても女性であっても“モテない”イメージがあるかもしれません。
「東大の男子学生の恋愛力が高いか」と問われると、正直なところ少なくとも在学中にはあまりそのイメージはありません。これは、東大では男女の割合が8:2と、男性が圧倒的に多い構成比になっているため、必然的に男子学生が学内で相手を見つけることが難しい点も影響していると思います。
ただし、『東大卒の研究』で私たちが2022年に東大の卒業生に対し行った調査では、東大男性の婚姻率は東大以外の大卒の男性と比較しても顕著に高いことが明らかになりました。2020年の国勢調査における40~54歳の大卒男性の未婚率が21%なのに対し、2022年時点で年齢が42~51歳の東大男性で、配偶者がいたことがない人は9%でした。
この結果を受けた率直な感想は、「想像していた以上に、東大男性は結婚できるんだな」です。在学中に出会ったというケースもありますが、卒業後に職場や紹介、お見合いなど多様なパターンで配偶者を見つけています。というわけで、男性については、「東大卒」であることが結婚市場で有利に働いていると言っていいでしょう。
「女の東大は引かれる」は誤り
一方の東大の女子学生は、男女比8:2という割合が、男子学生とは逆の方向に作用します。要するに、学内で相手を見つけやすいということです。これは東大以外にも、女子が少ない学部や職場全般に言えることだと思います。
婚姻率で言えば、上記の国勢調査における40~54歳の大卒女性の未婚率は18%だったのに対し、東大卒の42~51歳の女性で、配偶者がいたことのない割合は14%となりました。つまり、東大男性と比較した場合には東大女性のほうが婚姻率が低いことは確かですが、「東大女性は結婚できない」という言説については、真だとは言えません。
また、合コンや婚活のような場では「東大」と言いにくいという話はよく聞きますが、卒業後に一旦就職してしまえば、同じ会社での学歴の差はそこまでないと思うので、同僚の出身大学で「東大と言ったら引かれてしまった」ということはあまりないのではと思います。
配偶者の属性はバラバラです。ただ、東大女性の配偶者の半分は東大男性となっています。女子学生の比率が上がってきていることで、右肩上がりとまではいかないものの、少しずつ東大出身者同士の結婚の比率が上がっています。
「東大女子お断りサークル」のカルチャーはいまも残っている?
『東大卒の研究』での私たちの調査結果を見ると、男女ともに少なくとも「結婚力が低い」とは言えないことがわかります。ただし、とりわけ一部の男子学生については、彼らの持つ“特権意識”が、差別やハラスメントにつながることもあると感じています。