「名門中高に合格しても安泰ではない!」9浪経験した教育インフルエンサーが教える「2つの失敗パターン」

「わが子が名門私立中高に合格した。これで大学受験もひと安心だ」
過熱する中学受験を勝ち抜いた家庭の多くは、そう安堵しているかもしれない。
しかし、トップ校に合格したにも関わらず、受験に失敗する子、多浪に陥る子、無名大学に進学する子は一定数存在する。
「大学受験は単純な学力だけの勝負ではありません。模試や成績では目に見えにくい要素が、実は合否を分けているんです」。そう語るのは、9浪して早稲田合格を掴み、教育系インフルエンサーとして注目を集める濱井正吾氏だ。
受験における「失敗の共通点」とは何か、親としてはどう対策をとるべきか、全3回にわたって掘り下げていく。連載全3回の第2回。
目次
ネットが普及しても「情報格差」は埋まらない
前回、大学受験における「当事者意識」の重要性についてお話ししました。では、当事者意識の欠如は具体的にどのような問題を生むのでしょうか。
私は9浪して早稲田大学に入学し、周囲の学生からさまざまなカルチャーショックを受けました。入学者の多くが東京や神奈川などの中高一貫校出身でした。
彼らと話していて気づいたのが、名門中高一貫校の真の強さは、偏差値や合格実績の数字では測れない「情報の厚み」の差です。
例えば、早稲田の世界史で「長屋王が夏に氷を作っていた」という教科書にない問題が出題されたとき、地方の受験生は「こんなのどこで知るんだろう?答えられるはずないじゃん」と困惑します。でも中高一貫校出身の学生は「先生が教えてくれたよ」と当然のように答えるんです。
これって偶然じゃないんですね。名門校の教師陣は研究者レベルの知識を持っていることも珍しくありません。受験についても最難関大学の特殊な出題傾向まで熟知している先生も存在します。日本史や世界史の教師は、一般的な教科書の範囲をはるかに超えた詳細なレジュメを作成し、「入試で出るかもしれない」マイナーな史実まで網羅的に教えてくれる学校もあるのです。
この圧倒的な情報量こそが、名門校生が難関大学入試で発揮する真の競争力なのです。重要なのは、この差は単なる「知識量」の問題ではないということです。名門校では、どの情報が重要で、どの時期に何を学ぶべきかという「情報の質」まで体系化されているのです。
さらに重要なのは、先輩たちの具体的な軌跡が見えることです。「何々部の先輩はあまり勉強していなさそうだったけど、この時期からこう頑張って東大に受かった」というロールモデルが身近にあります。これによって、抽象的な偏差値や模試の数字ではなく、体感的で実践的な受験戦略を学校生活の中で自然に習得できるんです。